職場にむかうバスの車内で、前に立っている女性が傘を手にした瞬間、ふとバンコクにいるかのようなフラッシュバックが起こりました。
あの人もこの人も日常のタイ人で、私が外人。バンコクのバス車内なら車掌さんが切符切りをカチカチいわせながら車内をぐるぐるまわるのを、現実にいないそれすらハッキリと目の前に映しながら前を見る。
でももうそれはどこにもない景色。テクノロジーの発展と時代の移り変わりのさなかにあった一瞬の切り取りで、記憶に留めていた私が忘れてしまえば無になる幻か。
旅に出たいと思う衝動に変わりはないにしても、浦島太郎にならなければならない覚悟は持たなければならない。