急に全身の血の気が引いた。
私が搭乗予定のフライトは
7:40発プノンペン行き。
現在7:35
ドデカイ空港の端から端まで5分でどうやって行けるだろう？
無理だ。
諦めたらそこで試合終了、とかよく言うけど
きっとこれは物理的に無理だ。
9時頃にはみっちゃんに会って
感動のハグをする予定だったけど
それももはや幻想だ。
え！ほんとに無理なの？
インポッシブル？
でも、とりあえずやってみよう。
もしかしたら、
遅れているかもしれないし！
ディレイを願おう！
やっぱり諦めたらそこで試合は終了なんだ！
って、みんなが口を揃えて言うんだもの。
だから、きっと違いない。
このセリフは
様々な映画やドラマのテーマにもなってきたじゃないか！
私は無心に走りだした。
早朝の空港を、全速力で前に進んだ。
人があまり居なくて、良かった。
何故か渋谷の山手線のホームを走って
怒られた時のことを思い出した。
ここでは怒られませんように！
怒られても走るけどっ！
とか思いながら
走って走って走りまくった。
すると
EASTの文字が見えた。
あれ？着いた！？EAST着いた！？
いけるのか！
チラッと手元の携帯をみた。
時計を見た瞬間、目ん玉が2倍に広がった。
手元の時計はなんと
「5:40」を指し示していた。
およ？
二度見した。
5:40だった。
5:40？
2時間巻き戻った。
全速力で走っている間に2時間巻き戻った。
無心に突き進む間に奇跡が起きた。
およよ？
夢を見ているのか？
今までの一連の流れはなんだったのか？
何？イリュージョン？
ふと見上げた空港内の時計も5:40を知らせていた。
つづく
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