目を閉じて夜桜を思い出す



まだ冷たい風に吹かれながら



ほんのり灯りを灯したように揺れる



私の蕾は 幹のあたたかい滴に触れ



ふくらみを増し やがてほんのり桜色になり



ゆっくり開花する



ゆっくり ゆくっり 風に揺れ



風に滴をなぞられて やがて満開の桜となる



春先の風はまだ



冬の厳しさを残し時に 激しく吹きあれる



風の流れに身をあずけ やわらかくしなり



桜色の声を放つ



昼間に聞けない夜桜の声



風はいたずらに激しさを増す



折れないように 吹き続け



やがて桜は



風と共に花びらを散らす



目を開くと春のまぶしい朝の光が



桜を照らし そよ風の中で微笑んでいる