日経ビジネス副編集長 上阪 欣史さん記事

 

※以下、日経ビジネス電子版記事 転載

 

新型コロナワクチンの接種開始から

約3年がたつが、接種後の健康被害の

認定件数も急増。国は健康被害者の

全例調査に乗り出すべきだ。

 

新型コロナワクチンの接種が始まった

2021年2月から23年12月27日公表分

までで、国の予防接種健康被害救済制度

に基づく、被害認定件数は5735件。

うち死亡認定は420件に上る。

 

 一方、コロナ以外の3種混合(MMR)

や結核予防のBCG、インフルエンザなど

のワクチンの被害認定者数は、データが

残る1977年から2021年までで

3522件。死亡認定は151件だ。

 

つまり、接種後2年10カ月の間に認定

されたコロナワクチンの被害件数は、

過去45年間のすべてのワクチンの

それより1.6倍も多い。

 

国や自治体の認定作業も滞っている。

定期的に開かれる厚生労働省の審査会に

よる1月15日時点の総受理件数9910件

のうち、約59%は認定されたが、

3割は審査に着手すらできていない。

 

全国各地から押し寄せる被害申請に

行政の対応が追い付かない。

 

ワクチン被害を調査する一般社団法人

ワクチン問題研究会の福島雅典代表理事

(京都大学名誉教授)は

「憂慮すべき薬害。国はワクチン接種後

の健康被害者と死亡者を全例調査

すべきだ」と訴える。

 

これに対し厚労省の武見敬三大臣は

1月の記者会見で「医師などに副反応疑い

の報告を義務付けている。情報を総合的

に勘案し、審議会において安全性を

評価している」とだけ述べ、全例調査

には否定的な見解を示した。

 

国が実態調査に動かない中、同研究会は

独自の臨床研究に乗り出した。

ほんべつ循環器内科クリニック(北海道)

が、全国の15の医療機関と提携。

ワクチン接種後に起きるギランバレー

症候群や心筋炎などを、国際的な

疾病名称にもなっている

「ワクチン接種後症候群(PVS)」と

同定し、このほどデータベースへの

登録を始めた。

 

 神経系や血管などに障害か

 

臨床研究の実施は23年11月、

浜松医科大学の倫理審査委員会の承認を

得ている。

各医療機関からワクチン接種開始後の

21年2月以降のPVSとみられる

カルテを収集。

24年2月29日までに300症例の登録を

目指す。

 

データを統計解析し、24年秋には

最終報告書を提出。

診療のガイドラインと厚労省の

ワクチン政策の見直しに役立てる考えだ。

 

研究会では健康被害の原因を突き止める

検査技術も開発中だ。

コロナワクチンの多くはウイルスの

たんぱく質である「スパイクたんぱく」

の遺伝情報の一部を含む。

 

これを注射して体内でスパイクたんぱく

ができると、それに対する抗体が作られる。

 

このスパイクたんぱくは、接種後短時間

で消滅すると厚労省は説明する。

だが、投与された成分は体内の多くの

細胞に取り込まれ、免疫系がその細胞を

異物と見なして攻撃。

 

その結果、神経系や血管などに様々な

障害が副反応として現れる恐れが

あることが、世界的に複数の論文で

報告されている。

 

研究会メンバーで東京理科大学の

村上康文名誉教授(分子生物学・免疫医学)は、このスパイクたんぱくの存在を

免疫染色技術で立証する技術開発に

取り組んでいる。

 

だが、こうした研究を民間任せに

していいのか。

ワクチン接種推奨の旗を振った国こそ、

積極的に取り組むべきだ。

 

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