今日はちょっと固めの記事を書いてみました。

自分でもまだまだ掘り下げが浅いなと感じながら、投稿してみます。

 

昨今の物価高騰の原因と対策

 

 

米価高騰は物価高の元凶か?

一部の評論家やメディアが「令和の米騒動」の象徴として、2024年から2025年にかけての米価急騰を物価高の元凶だと指摘しています。実際、5kgあたり4000円を超える価格高騰が続き、消費者物価指数(CPI)の食料品カテゴリを大きく押し上げました。この現象は、猛暑による不作や集荷競争の激化が重なり、家庭の食卓に直撃したのは事実です。

 

しかし、これは全体の物価高の主因ではなく、あくまで目立つ一部の症状に過ぎません。CPI*全体への寄与度は数パーセント程度で、本質的なドライバーはエネルギー価格や輸入品の高止まりにあります。米価だけを槍玉に挙げる議論は、問題の全体像をぼやけさせてしまうリスクもあります。

 

*CPI(Consumer Price Index、消費者物価指数)は、総務省が毎月発表する経済指標で、全国の世帯が購入する商品・サービスの価格変動を総合的に測ったものです。​基準年(現在は2020年)を100として、物価の平均変化をパーセントで示し、前年同月比で「2%上昇」などと報道される身近な「物価の体温計」です。

 

また、日本人の食生活は大きく変化しており、主食としての米消費量は1990年代のピーク時から半分近くまで減少しています。総務省の家計調査データでも、1世帯あたりの年間米購入量が顕著に減少し、パン、麺類、パスタなどの代替品が台頭。忙しい日常や健康志向、外食の多様化が背景にあり、特に若年層で「コメ離れ」が加速しています。

このトレンドの中で、2025年の米価高騰は一時的な需給逼迫(猛暑不作と観光需要増)が原因でしたが、2026年に入り在庫過多とさらなるコメ離れが進む中、一転して価格暴落のリスクさえ指摘されています。

 

 

日欧米の賃金・物価比較

欧米諸国では、2022年以降のグローバルインフレ局面で、賃金上昇が物価高を上回る好循環が生まれています。例えば米国では名目賃金上昇率が年平均5-6%に達し、実質購買力は1-2%程度上昇。欧州でもドイツやフランスを中心に労働組合の力で賃上げが進み、生活水準の維持に成功しています。これにより、物価高が「一時的な痛み」として吸収され、消費意欲の低下を防いでいます。

 

一方、日本はここ30年にわたる「失われた30年」で名目賃金がほぼ横ばい(年0.5-1%程度)、物価上昇分を実質賃金で相殺できず、購買力が2割以上低下。家計の可処分所得が圧迫され、貯蓄率の上昇や消費低迷を招いています。つまり欧米諸国にくらべて、長年賃金が上がっていないので、物価が上昇し生活を圧迫している感覚が大きいということが言えると思います。この「片肺飛行」状態が、食費安定を切実に求める声となっている背景です。

 

 

ロシア侵攻が加速させた構造問題

2022年2月のロシア・ウクライナ侵攻は、世界的なエネルギー・穀物価格の急騰を引き起こし、日本経済に深刻な打撃を与えました。日本は食料自給率がわずか38%、エネルギー輸入依存度が9割超と脆弱で、小麦や天然ガス、石油の価格高騰が即座に生活必需品に波及。サプライチェーンの混乱が輸入インフレを加速させました。

 

しかし、この外部ショックがもともとの日本特有の構造問題を露呈させたのです。製造業の空洞化、非正規雇用比率4割超の労働市場歪み、政府の長期金融緩和偏重による企業投資・賃上げ意欲の低下、そして産業政策の遅れ。これらが積み重なり、侵攻のインパクトが他国より大きく増幅されました。結果ここでも、前項の賃金停滞を招き「失われた40年」へと突入していく事態となっています。

 

 

衆院選の焦点と大前研一氏の提言

今回の衆議院選挙では、「令和の米騒動」が象徴的に取り上げられつつも、焦点は米価単体ではなく、全体的な物価高対策と賃金上昇に集中。各党が減税、補助金拡大、春闘支援を公約に掲げ、有権者の生活安定化の要望に応えようとしています。与野党ともに短期的な「痛み止め」政策が目立ち、長期的な成長戦略は影を潜めています。

短期的な対策はある程度必要であるとしながらも、世界的な経営コンサルタントの大前研一氏の提言が光ります。最近の著書で「日本は観光立国へシフトせよ」と強調し、資源乏しい日本がインバウンドを成長エンジンに変えるべきだと主張。これはインフレリスクを実体経済の強化により吸収し、長期的に安定した日本経済の構築を目指すものです。しかし、選挙戦ではこうした長期ビジョンがほとんど反映されず、防衛や社会保障が優先されているようです。これらも大事なことですが、将来への布石とのバランスをどう取っていくかということも難しい選択なのかもしれませんね。

 

**大前研一さんの提言の概要

提言の核心

最近の著書や講演で、日本が資源貧国ゆえに「観光立国」へ大胆シフトすべきと主張しています。製造業依存から脱却し、インバウンドを経済の柱に据え、GDP押し上げと地方活性化を実現する戦略です。

 

市場ポテンシャルの規模

氏の試算では、観光市場を現在の約5兆円規模から、政策強化で50兆円超に成長させるポテンシャルがあると指摘。消費単価の高い富裕層誘致、地方分散型観光、MICE(会議・展示)推進で実現可能としています。

 

2025年の実績データ

2025年の来日観光客数は過去最多の約4,268万人(JNTO推計)を記録し、消費額は9.5兆円超に達しました。 円安と大阪万博効果で急増しました。オーバーツーリズムなどネガティブな面もでてきています。

 

具体策のポイント

  • 地方誘客: 東京一極集中を避け、地方の文化・自然を「体験型」商品化。
  • 高付加価値化: 長期滞在欧米客向けにガストロノミーやエコツーリズムを強化。
  • インフラ投資: 空港拡充やデジタルプロモーションで、2030年6,000万人目標へ。

 

 

今後の展望:失われた40年はいつ終わる?

1990年代初頭のバブル崩壊から数えて、すでに「失われた40年目」に突入した日本経済。生産性低迷、少子高齢化による労働力減少、グローバル競争力の相対的低下が悪循環を生み、賃金主導の好循環が遠のいています。2026年現在、AI・デジタル化の遅れも加わり、抜本的な改革なしでは「50年目」への延長線上すら見えてきます。

解決の鍵は、賃上げを通じた内需活性化とイノベーション加速ですが、政府・企業・個人の三位一体改革が不可欠。

 

物価高の真の解決策は何か? 賃上げ実現のために、私たち一人ひとりができることは? 日常の選択から政策提言まで、私たちみんなが考えないといけませんね。政治家にだけ任せていてもいけないのかな。<終わり>