アマンダ美帆です。
「こんなんになったんは、
あのワクチン打ったけーじゃ。」
90歳の父は担当医に対して、
はっきりそう伝えた。
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78歳で極早期の胃がんを
自らの違和感から見つけた人だから、
この体感は確かなものだと
家族だからわかる。
内受容感覚に優れているのだ。
主治医から
家族に説明することがあるらしく
病院診察に付き添って欲しい
との依頼があった。
自動車整備会社を経営
48歳でA型肝炎に罹患、
家族や社員を養うために
事業所を休ませるわけにはいかず、
激痛や倦怠感などを極限まで耐え、
脂汗をかきながら
自力で治癒するに至る経験を持つ人
それ以降、
健康には配慮を重ねてきた。
漢方薬を煎じては、
異様な匂いのするお茶を
長年に渡り飲んできた。
80歳になるまで、
猪を追いかけて
毎日山を歩いてきた人
新型ワクチンは、
接種してはならない
と話していたのに、
家族に隠すようにして
1回目を接種。
４日後に心房細動を起こした。
解毒をさせ、
食養生もあり軽快はしたが
父は接種したことを非常に
後悔してきた。
90歳を迎え、
息切れや不整脈をはじめ
足にも浮腫が
目立つようになってきた。
もう十分生きた。
加齢のせいだ、
ということもできるだろう。
だか、人の寿命というものは
第三者の物差しで
測れるようなものではない。
父は若い頃から必ず毎日、
煮干しで出汁をとり
お味噌汁を作り欠かさず飲む。
晩酌が好きで、
昔は毎晩の楽しみだったけれど
定年以降は
週に2回の晩酌日を決めて、
その日を楽しみに過ごしてきた。
お酒の日の夕方に、
肴を買いに行くのも
楽しみの一つ。
ゴルフは週に3回
コースに出ることもあった。
最近は、
コースの半分も回れないらしい。
父は自身が亡くなったら、
献体すると決めている。
その手続きも長きに渡り
自分自身に向き合いながら
進めてきたのだ。
不思議なのは、
この担当医が父の生活背景を
まったく知らないことだ。
長い付き合いのはずなのに、
どんな環境に住み、何を考え、
どんな仕事をしできた人物で、
どんなものを好み食し、
誰と生活をし、
どんな交友関係を築いてきたのか
を知らないことだ。
何も知らず、
データやレントゲンのみから評価をし、
薬を処方してきた、という事か。
仕方がない。
存の医療とはこういうものだから。
今回、医師から伝えられたのは、
間質性肺炎、慢性心不全、
肺高血圧症が起きていて、
いまは元気そうに
生活ができていたとしてもいつ、
胸が苦しくなって
呼吸もままならなくなるような
状況になってもおかしくはない、
という。
しかしながら、
父は確かな感覚から言葉を紡ぐ。
「こうなったのは、あれよ。
ワクチン打ってからじゃけ。
あれからおかしいんじゃけーの。」と、
担当医に向かって淡々と話す。
他意はない。
そうだったからそうだと
話したに過ぎない、という感じで。
担当医は顔色を変えず、
それはあまり関係がないと…という。
思わず
「今回のワクチン始まってからの
副作用報告、
岩国市だけでもすごいらしいですね。」
とわたしが口を挟む。
それに対して医師は
「心筋炎とかはあるみたいですね」
と一言。視線を合わすこともない。
いや、
心筋炎どころの騒ぎではないことは
ご存知のはずですよね？
と、冷静に伝えた。
僻地区域にある小さな公的機関だから、
認識としてはこの程度でしょうけれど、
医療を提供するものとしての
認識の甘さをみた思いだった。
と同時に、
医療の在り方そのものに対する
危うさを感じた。
さて、ここからだ。
再び既存の医療と
対峙するときがやってくる。
対立したいわけではない。
父のために、
既存の医療を利用しながらも、
協力できることがある、
と考えているのだ。
膝を突き合わせて、
時間をかけていきたい。
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アマンダ美帆
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