ついにこの日が来てしまいました。

 

88年間お世話になった母の体が荼毘に付されます。

 

一番迎えたくない瞬間です。

 

告別式が済み、母を乗せた車が斎場へと向かいます。

 

炉の前に運ばれた棺。住職の読経が始まります。

 

係の方が「では、これより棺を炉の方に進めます。」

 

「母の体を燃されたくない。」そう考えたら、多分泣き叫んで棺にしがみついたと思います。

 

そう考えないように、必死に頑張りました。

 

棺に一礼し、「お母さん、また私を生んでね。」そう言って母を見送りました。

 

炉に入り始めた時、最後の言葉をかけました。

 

「ありがとう。」

 

1時間ほどして、館内放送で収骨室へと促されました。

 

そこには世界一大切だった、世界一大好きだった「世界一のお母さん」の姿はありませんでした。

 

係の方が並べてくれたのでしょう、お骨が母の形をしていました。

 

私たち家族と、参列してくださった皆さんで母を壺の中に入れてあげました。

 

母が小さな箱の中に入ってしまいました。

 

最後に係の方が細かいお骨や粉状になってしまったものを寄せ集めてくれたのですが、息子のたっての希望で、遺骨ペンダントに粉状になったお骨を入れていただきました。

 

お骨を持って帰宅すると、Оさん(葬儀社の方)がすでに待っていてくれて、祭壇を作ってくれました。

 

「49日まではお母様はこのお家にいらっしゃいますので、食事は今までどおり続けていてください。ご家族の皆さんと同じものを同じタイミングで供えてあげて、皆さんが食べ終わったタイミングで一緒に片付けてあげてください。」と言われました。

 

さげたものはそのまま捨てていたのですが、後日Оさんが来訪されて、「さげたものはご家族が召し上がってください。捨ててしまうとお母さんが食べたことになりません。」と言われ、出来るだけ私か息子が食べるようにしています。

 

今日から母のいない生活が始まります。