あちこちに散らばっていた仲間達が、パラソルの下に集まって来た。

新人の私達は、クーラーバックにびっしり詰まっている缶ビールやカクテルを、皆に配る。

まだ酔ってもいないのに、「配るだけじゃなくて、飲ませて~」というとある先輩に、切り替えせず困っていたら、「そいつにはもったいないから、海の水でも飲ませてやって!」と横槍がはいる。

ひととおり渡った頃には、既に二本目を手にする人がいる…あれだけあった飲み物がたちまち飲み干されていく。


旅行のタイトル通り、夕食は「バーベキュー」…で、このプライベートビーチにて「花火」の夕べ。

幹事より、バーベキューの設営や買い出しの担当が発表される。

同じ部屋の同期♀は、買い出しに「おしゃべりな別の部の同期」と私で、残り3人は設営とわかれた。

とりあえずは一旦着替えに部屋へ戻って、ロビーに集合…「憧れの先輩」も買い出しチーム!

いよいよ真夏の一夜が始まる
「じゃぁ、…また今夜ね!」
「はい…っ。」

「憧れの先輩」達やとりまき化した先輩女子に混ざりひと泳ぎしたあと、喉が渇いてひと足先にパラソルの下に戻っていた私の耳にかすかに届いた会話…なんと、「総務部の先輩(♂)」と「総務部の同期」

えっ?いつの間に?…心の中で叫んだ。


「やっぱね~!」…今度は近くで聞こえた。

海にも入らず、さっきまで寝息を立ててたはずの「おしゃべりな別の部の同期」が、ガバッと身体を起こしてつぶやいた。


同期仲間の連絡担当である「おしゃべりな別の部の同期」に言わせると、今回の旅行に参加した内の何名かは、♂先輩のご指名だったとか。


何にも知らなかったのは私だけ?

しかも「憧れの先輩」は、競争率が高かった事を知り、昨日の出来事が「夢の中の出来事」に思えてきた。

やっぱり大人の世界は難しい!
「きゃ~っ!先輩、かっこい~ぃ!」

「おしゃべりな別の部の同期」が、私の隣で黄色い声をあげた。

学生時代、バレーボールで鍛えあげた引き締まった「憧れの先輩」の身体に、悩殺されたらしい。

目が合った事でドキマキしていた私は、その声につい視線を落としてしまい、余計にドキマキしてきた。

普段、スーツの下に感じていた胸板の厚さは予想以上で、肩から腕にかけて綺麗な筋肉が伸びている。

はっとしたのは、私自身もビキニだった事を思い出し、慌てて「憧れの先輩」の視線から外れた。


そのうちに日焼け対策が終了した女性先輩たちが現れた。

アピール度が新人の私たちとは違い、なんとも積極的。

いきなり「憧れの先輩」たちの輪の傍へ行き、きゃっきゃ!と、かわいらしくはしゃぎ始めた。

社内では…特に女子トイレでは見せないはしゃぎぶり。

あまりの上手さに、呆気にとられる私たち…

それと始めて認識した事実…「憧れの先輩」を狙う女子はたくさんいたんだ!