仕事が予定よりも若干早めに終わったので、
今日しかない!と、歌舞伎座へダッシュ。
幕見通しで夜の部拝見。

一幕目「蘭平物狂」
松緑さんのご長男大河くんが尾上左近として初舞台。
前回、松緑襲名時の「蘭平物狂」も見ております。

お父様、お爺様を亡くされ、後ろ盾を失った後での松緑さんの蘭平の記憶がありますので、
今日の左近くんとの共演には涙、涙でございました。
役柄も親子という設定ですしね。

自分の病気では一切泣かなかったのに、親子ものには無条件に弱い。
すぐ泣いちゃう。


幕見席には大勢のお客様がおいででしたが、
最後の立ち回りの前の舞台転換の際に帰ってしまわれる方が何人かいて、
あー、大立ち回り見てほしかったーと思いました。

お時間の都合でしょう。
決して、徒然草の仁和寺の法師の石清水八幡詣でではないですよね。。

外国人のお客様もとても楽しんでおられました。
ほんとクールジャパン!!


二幕目「素襖落」、略(苦笑)


三幕目「名月八幡祭」
ファムファタールの美代吉は福助さんで見たかったというのは
皆さん共通の思いではないかと思いますが
(芝雀さんが悪いとかではなくて、福助さんがハマりすぎなのです)
事前に感じていたそうした予想をいい意味で激しく裏切った
吉右衛門さんの熱演に脱帽するしかありません。

「あれは佃、あれは築地、そしてあれは鉄砲洲…」と言う時、
吉右衛門さんの視線のその先にその景色が見えてくる。

「勧進帳」の時にも感じたことです。

しかし、なんというか、こんな何てことない芝居でも渾身なんですね、すごい、すごすぎる。

吉右衛門さんは役の肚をしっかり捉え、
その捉えたアウトラインどおりに自身の身体できっちりと再現なさる。
そこに少しのブレもないのです。


だから、芝雀さんの美代吉が多少物足りなくても
(何度も本当にすみません!!)
吉右衛門さんの中の美代吉がすくっと舞台上に存在していて
違和感なく見ることができる。

田舎の商人が手練れの深川芸者にメロメロになってしまう姿も
本当に本当に本当に可愛らしくてお上手だなと思うのだけど、
その後の気がふれてしまった演技にしても、ほんと鬼気迫るもので
同種の「籠釣瓶」に比べるとスケール小さいお芝居と感じてしまうこのお芝居も
吉右衛門さんが演じると、よりリアリティを追求したお話なんだなと
納得できてしまう(笑)


本当に本当にすごい。
見に行けてよかったです。


ほとんど歌舞伎だけが、この先長く生きていたいと
私の煩悩をくすぐります。


役者の皆様、いつも命懸けの舞台、どうもありがとうございます。
私も命懸けで見ます。
あ、でも、素襖落の時は座り続けてると体に良くないと思って
モゾモゾしすぎてしまいましたガーン


明日がまた皆様にとってよい一日となりますように。