先週録画しておいたものを、4回くらいに分けて夜寝る前に見ていた。

太宰の生涯なんて本気で観たら体に毒。しかも寝る前なんだし。

だから、軽く見流していたというのに
「斜陽」のラストをトヨエツ(太宰)と菅野美穂(太田静子)がそれぞれに
読み進める(音読)場面は、本当に美しかった。

「斜陽」という小説の成り立ちを理屈っぽく考え合わせなくとも、
もう十分にあの演出の意味はある。

そしてラスト。

妻・美知子(寺島しのぶちゃん)は、太宰の手紙をお守りにしていたが
結婚生活の中で信じられなくなって、それらを燃やしてしまう。
太宰の書いたものすべてが信じられなくなってしまう。


それを受けてのラスト。
太宰死後の、妻・美知子のモノローグ。


「私の元には、太宰の言葉だけが残りました。

彼のほんとうは、いったいいくつあったのか。

でも最後に私を

あの人のたった一人の読者に戻してくれた。

それだけで十分です。」


泣ける!
最初見たときどきっとして目が覚めそうになって
二度目見直したとき泣いていて(笑)
興奮すると書き写したくなる習性のため(笑)、三度目を見ていた。

太宰と心中した富栄は、
(あくまでもドラマの中で)太宰の言葉とその存在を一致させようとしていて
心中以前に彼女も彼女の中の太宰も死んでいたと思う。


ほんとうの彼は、ってものを求め出したら、一緒に死ぬしかないんだ。


『でも最後に私を

あの人のたった一人の読者に戻してくれた。

それだけで十分です。 』



それだけで、十分です。