人妻でもあり女流作家でもある著者リディア・アヴィーロワの
チェーホフとのプラトニックな愛憎劇。
なんと10年間。


原題を直訳すると、確か、『わたしの中の人生のチェーホフ』


この原題が言うとおり、あくまでもリディアの中のチェーホフとの恋が描かれている。



仮面舞踏会でたまたま会って、「あなた、わたしが誰だか分かってるの?」
「それは『かもめ』の初演を観れば、僕があなたが誰であるか分かってることが明らかになります」
みたいな辺が一番エキサイティングでした。

著者は生存中にこの本を刊行することを許さなかったので、
没後4年後くらいに刊行されたそうな。

これ読んでて、山田詠美の『姫君』の中の一編「検温」のあるセリフを思い出したよ。
「恋には証人が必要ですよ」
あー、この一編大好きなんですけど、この辺が特に好き。

リディアも証人を必要としてたのね。