先日ニュースで介護士不足について取り上げられている記事を見ました。

 

毎年1万人の介護士を雇用する必要があるのに対して、

介護プログラムを受けている人たちは約9千人。

しかも、その中の多くは看護師の勉強を続けて、介護士として雇用されることは少ないという内容でした。

単純に考えて、元々毎年すでに千人足りていないのに、

せっかく介護プログラムを受けた人たちの多くは介護士ではなく看護師になっていく。

看護師も不足しているので、優秀な人たちには是非看護師になってもらいたいですが、

ただ、介護現場で働いている人たちからすると、この状況に喜ぶことは出来ません。

 

 

ここ最近、介護現場でも職員不足が顕著に表れはじめてきています。

今働いている介護士の多くは、高齢者介護に従事しており、

その中の多くは、この数年で定年退職を迎えます。

前に「介護士の年齢層」という記事でも書きましたが、

若い介護士が入ってこないにも関わらず、

定年退職していく介護士の方が多ければ、必ず職員不足になります。

私が働き始めた時は、臨時職員がたくさんいて、

会社側は選ぶことが出来たのですが、今は臨時職員の申し込みさえ減っていて、

慢性臨時職員不足の状態になっています。

今いる臨時職員で、なんとかシフトを回していますが、

将来的に職員不足になるのは、毎年入ってくる人数を見ると目に見えて分かります。

 

介護士になりたい人が減っている理由は、給料の低さとステータスの低さ。

高校で介護士のプログラムを取っても、その後、その中の多くは看護師の勉強を続けるので、

介護士として働いている若者はほとんどいません。

 

スウェーデンは、自分の仕事のステータスをとても気にする文化です。

そして、スウェーデンでの介護士のステータスは皆さんが思っている以上にかなり下です。

日本では介護福祉士という免許がある分、少しステータスがありますが、

スウェーデンの場合、介護プログラムがあるにも関わらず、

介護士というと、「あっ、あの誰でも出来る仕事ね」くらいの価値しかありません。

なので、ここ最近は介護士をしている人は、

勉強が出来ない人か外国人がする仕事という雰囲気になっていて、

ステータスを気にするスウェーデン人にとっては魅力的な仕事ではありません。

そして、それに輪をかけて低賃金。

今の若者たちに、介護士なんて低賃金・重労働だから、

もっと勉強していい仕事に就きなさいっていう人が多いのも事実です。

実際に研修に来る介護プログラムを取っている高校生たちのほとんどは、

看護師や社会福祉士などに向けて勉強を考えている子たちがほとんどです。

誰も、「卒業したら、介護現場で働きたいんだ!!」と意気込んでいる子はいません・・・。

 

 

スウェーデンも日本と一緒で、高齢者が増えていくという一方で、

介護職員が減っていくという現実にあります。

ただ、少し希望があるのは、戦争で祖国を追われた難民者たち。

難民者問題はいろいろありますが、彼らの中には、自分の国で医療従事者だった人たちもいて、

知識と経験があるけれど、言語と社会システムのせいで仕事に就けない人たちもいます。

時々、ほとんどスウェーデン語が出来ないのに、何故か仕事がすごく出来る人もいて、

話を聞くと、自分の国で看護師だったり、家で家族を介護した経験があるなどの人もいます。

そういう人は、言葉の問題さえなければ、今すぐにでも現場で戦力になります。

 

私自身も自分が外国人という立場で、スウェーデンの介護現場で働いているので、

言語の問題や社会システムの理解に苦しむことがありますが、

それでも大切なのは、利用者のことを考え、彼らが必要な介護を提供できることだと思っています。

正直な気持ちを言うと、介護プログラムをしっかり受けて、ちゃんと資格を持って、

スウェーデン語がちゃんと出来てetc・・・などと悠長なことは言ってられない状況にあるような気がします。

なりふり構ってられないんじゃないかなぁと思う、最近のスウェーデン介護現場状況です^^;