コード・カッティング、について書こうとしたんだが、いろいろ考えてしまった。
一口にカッティングといっても実にいろんな事が関係してくるのだ。
僕らが若い頃はカッティングの上手いやつがギターがうまいやつ、だった。
大学の頃にPOPSをやっていたのだが、周りから「お前、手首固いな。」と言われ、必死に練習した記憶がある。
その頃練習していたのはCharさんのSmokey
,とか吉田美奈子さんの愛は思うまま
(ギターは松木恒秀さん)とか、山下達郎さんのSparkle
とか。
その頃はまだ学生が音楽を聴くのはカセット・テープだった時代、こういう曲を30分くらいのテープにずっと録音してエンドレスでかけて練習してた。
コード・カッティングというとギターをあまり知らない人は「コードをジャカジャカやるやつ」と思うかもしれないが、ではコード・ストロークとカッティングの違いは?
ストロークは複数の弦を鳴らす右手の奏法であるのに対し、カッティングは左手の動きも含めた奏法である。
カッティングはつい右手の事ばかり目がいってしまうが、実は左手が大きなポイントである。
音を切るからカッティングであって、音を切るのは右ではなく左の作業であり、左手で音の長さをコントロールするのがカッティングのポイントとなるからである。
もちろん右手のストロークは重要だ。
だが、ストロークの事だけを考えていると右手に力が入ってくる。
するとずっと強いだけの音になってしまい、これではグルーヴもへったくれもなくなってしまう。
右手は基本的には規則正しいストローク動作を行う。
これにアクセントをつけていく。
ここでのアクセントは、強く弾く、ではない。
どちらかというと力は一定で弾く弦の高低で任意の音を強調する、に近い。
アクセントではない音はコードを押さえていても、1本から2本くらいの弦をストロークして、アクセントを付けたい音の部分ではじめて弦全体を弾く、あるいは高い音を弾く。
こうすることで右手をしなやかに使いながら強弱をつけられるようになる。
右手の動かし方、パターンによって異なる。
意図的にあまり強弱をつけないようなパターンの場合、ひじを動きの支点にして腕を振り、ピックガードに向かう角度でストロークする。
この場合は意図的に手首を動かそうとはしないほうがよい。
ひじから先を振ってそのいきおいで手首が動く感じになる。
いわゆるコード・カッティング、はこの弾き方。
この弾き方ではアップ・ストロークが弦に対し、逆らうような角度になるのでアップ・ストロークを重点的に鍛える。
私個人はこのようないわゆるコード・カッティングも練習したが、この弾き方のままだと弾きづらいものも出てくる。
コードを押さえたまま弾く弦を変える事でグルーヴを出したり、Funkなどで使われる単音(他の弦はミュート)を使ったパターンなどは、右手は腕よりも手首の運動になる。
動きの支点になるのは手首を曲げて折れるあたり。
ここがあまり動かないようにうちわをあおぐように手首を使う。
(私は、通常のピッキングの場合とこのカッティングをする場合とでピックの持ち方を微妙に変えている。カッティングの場合は手首を少し曲げるので曲げた状態でピックが真っ直ぐ弦に向かうようにしている)
まず、4弦5フレットあたりを小指で押さえる。
小指で押さえる理由は他の指で他の弦をミュートするからだ。
他の指が弦から離れてしまうような人はこれの前に左の練習が必要だ。あしからず。
そしてそのままネックの上あたりで4弦を狙って手首を振る。
できるだけ小さい音でアクセントもつけないように。
これを練習することで手首が回転してくる。
これができるようになったら弾く位置を通常の(フロントPUのうしろあたり)にして同じように練習。
その後、2拍4拍の頭などだけ高音弦を弾いてアクセントをつける練習。
次にはアップストロークの部分にアクセントを付ける練習。
(これだけでも1日やそこらでできるようなことではない。最低は1年くらいの根気強さでやってください。)
この弾き方は4 beatを刻むような、コードを押さえて低音弦と高音弦を弾きわけるような練習をするのも手首の使い方を覚えるのによい。
あ~右手の話だけでこんなに書いてしまった。
肝心の左の話は次回!
いくつか参考音源のリンクを張っておきます。
ぜひ聴いてみてください。
Lee Ritenour - Rio Funk
Al Di Meola "Al's Guitar Tips
Paco De Lucia y John McLaughlin
Robben Ford - Magic Sam
My Funny Valentine / Bill Evans & Jim Hall
寺尾聰 - Re-Cool HABANA EXPRESS