その輪に入りたい
その日は診察日で、
私は待合室でじっと順番を待っていたわけです。
白いワンピース、
黒髪の清楚な娘さんが隣にいらっしゃって、
ちょっと気にかかっていました。
(かわいい方だな~。付き添いかしら?)
と、思いながらチラチラ見ていたところ、
「○○さん、今日はデイケア?」
と、おじさんがその子に話しかけたではありませんか!
「えっと、今日は診察です。」
口ごもりながら(そこもかわいい。)答える娘さん。
(えええええ!この方ももしかしたらお仲間?!)
私、ビックリしました。
一度デイケアに見学に行ったけど、
ここまで症状が落ち着いていそうな方はいなかったのです。
さらに横から
「○○さん、久しぶり。」
と、男の子が。
この子も、友禅のアロハにエビスのジーンズという
ここをシブヤハラジュクと勘違いしてんじゃないの?
というほどの気合の入ったお洒落ぶり。
さっきから、
目立つ付き添いだな~と感心していた人でした。
(……この人たちも、心の病気なんだ。
そしてこの病院のデイケアに通ってるんだ。
初めて見た……。)
……私は思いました。
(私はおばさんだけど、お友達になりたい!)
と。
でも、イキナリ話かけるような度胸も根性もなく、
時間だけが過ぎてゆき……
「ぽこさん、お待たせしました。」
と、先生が知らせに来てくださって、
私は診察室へ。
通りすがりに彼女にちょこっと、会釈をしました。
すると彼女は少しいぶかしげに、
だけとコクンと顔を下げてくれました。
もうね、すっごく心残りです!
私はデイケアに通っていません。
色々話し合える同病のお友達が身近にいないのです。
まあそれはしょうがないのか、と、今まで思ってきました。
でも、なんだか同じくらいの回復度に見える、
感じの良い人達が、すぐ、そこに!
帰りがけにちらりと見たら、
三人は仲良さそうに話し合ってていました。
ああ、また会えないかなぁ。
(その時は頑張れる……かな?)
