金魚のフンのような話 PART2 | 統合失調症の海をゆく

金魚のフンのような話 PART2

個展のお知らせの葉書が、

我が家へヒラリと舞い込みました。

「良かったら来てね」

と、一言そえられていました。

だから、

「お嬢さん芸のままだったら何て言おう。」

と、私は複雑な気持ちで

個展会場へ入って行ったのです。


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……人間て、ここまで進化できるもんなんだ!!

驚いたなんてもんじゃない。

色使いはシャープに研ぎ澄まされて。

デッサン力も格段に、

別人かというほどに上達して。

何よりも、いい雰囲気が出て。

「購入してもいい」

思わずそう思うほど。

さらに、最も私が驚いたことに、

ほとんどの作品がソールドしていたのです。

「あっ、久しぶり。」

手を上げた彼女は、昔と変わらない

パステルカラーの上質なワンピース姿でした。

今は週に3回、画塾の先生をしながら、

(人あしらいの上手さが想像できます。)

創作活動を続けるということで、

絵一本で生活をしているそうです。

「すごいね、すごいね!すごい良くなってる!」

私はただひたすら、繰り返しました。


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「そうかな?

でも、基本は地元にいた頃から変わらないよ。

洗練されただけ。」

彼女は相変わらず如才のない笑顔で

私に言いました。

変わらない?イヤイヤ、

ご実家の援助は当然あったにせよ、

この大変化の裏には、

血がにじむような努力の日々が

あったんじゃないかなあ。

人間の才能って、当然あるだろうけど、

純粋にその作画や製作の才能だけが

必要なんじゃなくて、更に、

あきらめない事が大事なんじゃないのかなぁと、

(まあ、彼女はとてもお金持ちだったから

無茶な入学も優雅な修行生活も

できたのですが)

あの日から考えるようになりました。

でも、その時、

私の中のブラックぽこが言ったのでした。

『そんな風にやれたのは

ご実家にお金があったからだよね。』

まだまだ続いて恐縮なのですが、

またまた続かせてください。