勇司:いえいえ、部屋が汚い、片づかないことは決して悪いことではありません。ここ数年、「片づけ」がブームになり、それ自体は良いことだとは思いますが、「汚いのがいけない、悪だ。だから綺麗にしなくては!」となってしまうのは違うと思うのです。
部屋の状態にいい悪いはない、というのが僕の持論です。

りょ:先生~(泣)! その言葉を待っておりました。なんだか片づけられないのがダメ人間みたいな風潮があって、責められてるような気がしちゃうんですよ。特に汚部屋出身の自分にとっては。

 ところがですよ! 最近、だいぶ綺麗に出来るようになったら、今度は汚い部屋がやたら目について、「片づけなさいよ!」って家族に当たってしまうんです。それってなんか違うなーって思ってたところです。

勇司:そうでしたか。部屋が綺麗な人からすると、部屋が汚い人にはイライラするし、言いたくなるものですからね。でも、それはあくまで自分自身の問題。相手は悪気があって、困らせようと思ってやっているわけではないですもんね。その人なりに日々精一杯生きている中で、次第に散らかっていってしまうものなのです。

りょ:そうですよねぇ。悪気はないですもんね。

勇司: 「部屋が綺麗だからいい」「汚いから悪い」と決めつけるのではなく、「なぜそのような状態になるのか?」、その本質的な部分を見てあげることが大切だと思います。

りょ:「汚い」という状態の奥にある根本的な問題やその人の本当の姿を見てあげることで、部屋も心も人生も変わっていきそうな気がしますね。

勇司:ホントそうです。僕自身、空間心理カウンセラーとして、部屋に関するご相談を数多く受けてきてわかったことがあるんです。

 それは、部屋が汚い人は「大きな可能性」を秘めている、ということです。

りょ:またまた~! そりゃいくらなんでも言い過ぎでしょう(笑)。

勇司:いやいや、そんなことないんですよ! 部屋が汚い&片づかない人は、表面的には「自分に自信がないんです」と言う人が多いですが、実は心の奥底では自信があって、確固たる自分というものを持っているんです。

りょ:なぬ? 汚部屋の人は、実は自信家ということですか!?

勇司:いわゆる「堂々と自信に満ち溢れている」というようには見えないかもしれませんが、実は深層心理では、自尊心が高く、自分の理想像もしっかりと持っています。

 そういう方は、「自分はこのままではダメだ」と思いがちなので、いろんな本を読んだり、セミナーに通ったりして、崇高な知識やノウハウを取り入れる傾向があります。だけど、なかなか変わることができず、また本やセミナーに頼る、ということを繰り返しているのです。


りょ:あれ? それ、かつての自分!? 自己啓発本を読み漁り、高額のセミナー&セッションに行ってましたがな~(苦笑)。そして、本とセミナーの資料とグッズがどんどんかさばり、部屋が荒れていく、というありさまでした。言わずもがな、自分に自信がなく、本を読めども、セミナーに通えども、その状態は一向に変わりませんでした(涙)。

勇司:それは、本当は「変わりたくない確固たる自分」があるからです。本を読んでそのノウハウを取り入れようと思っても、深層心理では「いや自分にはもっと違う方法がある」「自分はこんなはずじゃない。もっと良くなるはずだ」と、常に自分の考えのほうが優位に立っているんですね。

 まぁ、いわゆる頑固、とも言えるでしょう。

りょ:あちゃー。自信がないと口では言いながら、実は我が強いですね。意外と自分に対する要求が高いというか、「自分自身を特別視」してるところがあるかと思います。

 でも、表面的には「ダメだ。足りない」と思ってるから、どんどん外側から足していっちゃうんです。だから、自分自身がより良く変われるようなグッズや資料なんかを買い込んじゃって、部屋が汚くなるんです。

勇司:なので、そういう方は自分に自信をつけようとか、自分を好きになろうとか、外部のものに頼って一生懸命努力するのを一度やめてみたほうがいいです。そして自分の内側にあるもの、すでに持っているものを認めてあげたほうが、前進できます。

りょ:それ、ご名答ですわ。私もここ数年で、自分自身を認めつつあって、だいぶ心もお部屋も変化できましたもの。

勇司:それは良かったです。実は部屋が汚くて片づけられない方のプラス面はまだあるんですよ。

 そういう方は、「枠外思考」なんです。

 枠にとらわれず、豊かな発想ができるので、クリエイティビティが高い方が多いです。

 片づけるということは、「枠にはめる」ということですから、それが出来ないということは、枠から自由にはみだせる、ということになるんですね。

 なので、片づけられない人には、研究者や発明家、アーティストなどにも多いです。

 しかも、心の底に「確固たる自分」があって、自尊心も高いので、自分から生まれる資源が豊富なんです。それをしっかりと信じて認めてあげれば、才能は開花しますよ。

りょ:なんと、なんと! 汚部屋傾向の自分も勇気がわいてきましたよ。

 時々アイデアがわいちゃって、その都度あちこち取りかかるから、部屋が散らかってしまうというのもありますね。

 片づけられないことをプラスに捉えると、えらい可能性を感じてきます。これは新しい発想です。勇司さんも、片づけられないタイプ(笑)? ですよね?

勇司:僕はそうですね(笑)。でも、それを認めてあげたら、もう外に求めることもなくなり、自分の本来の自信や能力が以前よりも発揮されてきたように思います。

部屋が汚い人は実は自信家ってホント?
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