商標が非類似とされた例 | SIPO

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審決例(商標):類否158

 

<審決の要旨>

『本願商標は、「菓の季ふくのたね」の文字を横書きし、そのうち「菓の季」の文字の上に「かのとき」の平仮名を小さく横書きしてなるものであるところ、そのうち「かのとき」の平仮名は、その位置関係などから、その下の「菓の季」の文字の読みを表したといえるものである。そして、本願商標の構成中「菓の季」の文字と「ふくのたね」の文字とは、同じ書体、大きさ及び色彩で等間隔に一列に表されており、外観上、一体的に看取されるものといえる。

 また、上述のとおり読み仮名と考えられる「かのとき」の文字を踏まえ、本願商標全体より生じるといえる「カノトキフクノタネ」の称呼は、9音とやや冗長ではあるものの、無理なく一連に称呼し得るものである。

 そうすると、かかる構成においては、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標全体、又は、その構成中の「菓の季ふくのたね」の文字を一体不可分のものと認識、理解するとみるのが相当であって、他に構成中の「ふくのたね」の文字のみが、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。

 したがって、本願の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、本願商標の構成中「ふくのたね」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。(つまり、非類似の商標である)(下線・着色は筆者)』(不服2023-22037)。

 

<所感>

審決は本願商標を構成する「菓の季」の文字と「ふくのたね」の文字を一体不可分と把握して引用商標「福の種」とは類似しないと判断した。しかし、原審のように一体不可分ではなく「菓の季」の文字と「ふくのたね」の文字は分断可能として類似するという判断もあり得る。事案にもよるが、近年は類似の範囲を狭く解釈する傾向にあるので、今回のような審決が多くなっているように感じる。よって、これから新たに出願する商標を創案する際にはこのような点も十分考慮して行うべきであろうし、それによって類似しない商標を創案することができるのではないだろうか。