「……とまぁ、こんな感じかな。

 話下手でわかりにくかっただろうけど」

キルアは疲れたようにため息をついて苦笑しました。

アイリもユナも考えこんだように俯いて、

 言葉を発しませんでした。

 しばらくして沈黙を破ったのは、アイリでした。

「それも本当のお話なの?」

 キルアはただ頷き、

「長老に聞いた昔話だよ」

とだけ言いました。アイリとユナは視線を合わせました。

「そんなことが……。

 でもどうしてリーシャは村に戻らなかったのかしら?

 ユイが戻ってきてほしいと望んでいること、

    わかっていたでしょうに」


キルアはユナを見ました。

「確か、人生をもう一度やり直したいって言ってたよ。

  子供を亡くして、村にいるとそれを思い出すからって」

 アイリは勢いよく立ち上がり

「でもっ、リーシャとユイは友達だったんでしょう?

 子供な記憶と一緒に、ユイのことも捨てちゃってよかったの?

     もし私がユイなら、すごく悲しいよ……」

そういって、落ち込んだように座りました。

ユナはアイリの頭をなで、キルアを見ました。

 「ねぇ、キルア」

キルアはただ首を傾げました。

「リーシャは、どうなったの?」

アイリはぱっと顔をあげました。

 ユナは冷静にキルアを見つめていました。

「リーシャ?そりゃあ……」

キルアは言葉を切り、微笑みました。

「生きてるよ」

アイリは呆然としたあとすぐに我にかえり、

 キルアに詰め寄りました。

「い、生きてるって、本当?リーシャは村にいるの?」

キルアは頷きました。

「リーシャはまだ生きてる。

 さっきの話も、リーシャから直接聞いた話だよ」

アイリの表情がぱぁっと輝きました。

「ユナっ、リーシャが生きてるって!」

ユナは微笑みました。

「そうね。リーシャと長老を会わせることができるかもしれないわ」

アイリは大きく頷きました。