親と喧嘩した

テストで赤点とった

先生に怒られた

部活でミスをした

好きな人にフラれた

友達に無視された

いいことなんて

ひとつもない




私は独りだ

誰も私を認めてくれない

私は不幸だ

誰も私をわかってくれない

私は不要だ

誰も私を見てくれない



死にたいと思った

死のうと思った

放課後

屋上に行った

フェンスから身を乗り出して

世界を見た

赤い赤い夕日が

ビルばっかりの
無機質な世界を彩っていた

そこにおもちゃみたいな

ちっぽけな人間がいた

笑っちゃうくらい

ちっぽけだった




今やろうとしていたことが

馬鹿らしく感じて

死ぬのをやめた

その日はじめて

夜中に家に帰った

玄関の前に親が立っていて

私に気づくと駆け寄ってきた

お母さんに優しく

お父さんにきつく

抱きしめられた




なんだ

私は必要とされてるんだ

こんな世界でも

いいことのひとつくらい

落ちてるかもしれない

もう少しくらい

生きてみようと思った

幸せ

見つけてみたいと思った