黒蝶のワルツ


 あるところに猫がいました

   灰色の体と綺麗な空色の瞳の

その猫はかわいそうな猫でした


 猫は一人目の飼い主にいじめられてしまいました

いっぱいいいじめられたので逃げ出してしまいました



 猫が公園のベンチの下で寝ていると人間が近づいてきました

その猫はその人の飼い猫になりました

 でもその人はしばらくして猫を捨ててしまいました


猫はまた一人になってしまいました

 猫はお腹が空いてフラフラと歩いていました

歩いていると大きな木を見つけました


 そこに哀しい瞳の男の子がいました

猫はその男の子にそっと近づきました 
 
 男の子は猫に気づくと手を伸ばしました

猫は男の子の隣に座りました

 2人は空があかくなるまで木の下に座っていました

暗くなってくると男の子は立ち上がりました


 猫が小さく鳴きました

男の子は猫に「一緒にくるかい」と言いました

 猫はフラフラと近づいて男の子に寄り添いました

男の子は猫を抱き上げると家に帰りました

 その男の子は猫を大切に育てました

猫は幸せでした



 数ヶ月が経って


男の子は猫に言いました






 「僕はもうすぐ死んでしまうんだよ」



猫は賢い猫でした

 男の子に会えなくなるかもしれない事を悟りました

猫はいつも男の子の傍にいて 支えていました



ある日の夜

 男の子は猫を起こしました

とうとう別れの時がきたのです

 猫は男の子に寄り添い

頬を舐めました


 男の子は猫に語りかけました

「僕は今までずっと友達がいなかったんだ

  君に会えてよかった

君に会ってから 僕は生きたいと思うようになったんだよ」

 猫は黙って聞いていました

「でももう生きられない

  僕は死んでしまうんだよ

君を置いていってしまことが 心残りなんだ」


 男の子はそっと猫に触れました


 「君にこれをあげる

会えなくなっても 僕はいつも見守っているから

 君には僕の分まで たくさんの物事を見て欲しいんだ

海を見てみたかったなぁ・・ 」

 男の子は猫に小さな鈴の付いた首輪を付けました


「ーありがとう 君に会えて本当によかった

      僕の分まで 生きておくれよ」



そう言って 

 男の子は動かなくなってしまいました

猫は悲しんだけれど
 
 もう一度頬を舐めて そっと家を出ました



それから猫は旅に出ました

 その猫は死ぬまで飼い猫にはなりませんでした

猫は死ぬまでたくさんのものを見ました



 そして最後に男の子が見たいと言った


海にいきました

 綺麗な蒼でした

キラキラと輝いていました


 猫はいつまでも海を見ていました

そして猫は海を見ながら死にました


 誰もがその猫をかわいそうだと言いました



でも猫は幸せでした

 男の子に会えたことが一番の幸せでした


そして猫は死んだ後

 男の子に会うことができました


それから2人はずっと一緒にいました

 幸せに暮らしました・・・・



     end


 

  ※) これは去年書いたもので、簡略化したものを応募しました
   その関係で簡略化した方は公開できません  ご了承下さい