エースの山本を準決勝の韓国戦にぶつけたため稲葉監督はメキシコ戦で2失点を喫しながら勝ち投手になった森下を決勝の米国戦の先発にぶつけた。初回米国打線を三者凡退に抑え上々の滑り出し、序盤の先制点をどっちが取るかが試合の行方を左右するのではないかと思っていたが、重ぐるしい緊張感の中、その先制点をたたき出したのは意外にも侍日本8番村上(ヤクルト)だった。
150キロを超える重い球質のストレート、チェンジアップ、カットボール、ナックルなど多彩な球種を持つN・マルチネスが投げたベルト付近の外角に流れるチェンジアップを泳ぎながらレフトスタンドに持っ行った村上の一打、日本のプロ野球が使用している球と違って飛ばない球だけに村上がうまくバットの芯に捉えたといえよう。
力任せに無暗に振り回さず選球眼もある米国打線を中盤5回まで3安打に抑えた森下の予想以上の好投で
どうにか最少得点の1点を守った。2番手で登板したのが千賀。故障明けでどうにか五輪メンバーに間に合わせた感じだが、落差のあるお化けフォークは150キロ後半のストレートを投げる千賀の武器、しかしコントロールに不安がある。ましてや1点差で投げさせるにはあまりにもリスクが大きい。それでも四球と死球を各一つづつ出しながらも6回1イニングを0で抑えた。
千賀の後を受けて7回から登板した若手の伊藤が長打を許しながらも攻めのピッチングで米国打線を0に抑えたが、8回先頭打者オースティンをヒットで出塁させたところで岩崎に交代。岩崎は米国の主力3,4,5番を見事に三者凡退に抑えた。わずかに1点差を完璧に抑えた岩崎のピッチングも見事だったが、ここがこのゲームの勝敗の大きなポイントだったと思う。
その裏8回日本は先頭打者山田のヒットと坂本の送りバントで1死2塁の追加点のチャンスをつくり、吉田が浅いセンター前ヒットで山田が三塁まで走ったところでセンターがホームに悪送球、それを見た山田がホームに頭から突っ込みクロスプレーになった。主審はセーフの判定だったが米国側がビデオ判定を要求、結果判定通りセーフ。貴重な追加点が日本側に入り2-0となった。
最終回マウンドに上がったのが侍日本のクローザー栗林(広島)。幸い9回は下位打線6番から。6番を三振、7番を外野フライに討ち取り2死。あと一人というところで迎えたバッターは8番バッターN・アレン。1-2と追い込まれながらもしぶとくライト線にヒット。このゲーム3本目のヒット。最後まで諦めない姿勢は見せた。いっぽう栗林も気合の声を出しながら一球入魂でキャッチャーのミットめがけて投げ込む。栗林は最後のバッターJ・ロペスをセコンドゴロに討取りゲームセット。侍日本の選手はマウンド上に突進、互いに抱擁、歓喜の喜びを爆発させた。野球が五輪の正式種目になって初の金メダルを獲得した侍日本、無傷の5連勝で優勝に花を添えることができたことを心から祝福したい。
尚、今大会のMVPは山田哲人(ヤクルト)に決まった。打率350、ホームラン1,打点7,盗塁3。長打力、走力に長けた1番バッターとしてリードオフマンとしてチームの勝利の原動力になった。