6大学時代からなじみ深い神宮のマウンドではこれまでヤクルト打線に負けたことがなかった森下、その森下がこれだけヤクルト打線に打たれたことはなかった。コントロールがいい森下が5回終了した時点で既に投球数が100球を超えていた。それだけヤクルト打線に苦しんでいた。

 

ヒットを打たれながらも要所を抑え、5回まで1-2とカープがリードしていた6回、2死から代打内山、塩見に連打され、ランナーを2人置いて2番山崎に投げたやや内角低めの153キロの渾身のストレート。バットを短めに持った山崎が真芯で強くたたいた打球は右中間スタンド中段にとび込み4-2と一気にヤクルトが逆転。このとき森下の投球数は121球だった。同じストレートでも序盤の球とは明らかに球威は落ちていたと思われるが、それをスタンドまで持って行った伏兵山崎の思いきりのいいバッティングを褒めたい。

 

交流戦でパリーグのチームに惨敗したカープ打線だが、それでも打率はセリーグ1位だけにリリーフ防御率1位のヤクルトの今野、コールから7,8回に2点づつ奪うも、火が付いたヤクルト打線を止めることができず7回裏にも5失点、10-6で押し切られた。この試合クローザーマクガフを休ませて若手梅野が最終回に投げ、ランナーを出しながらも0で抑えチームは7連勝を飾った。

 

このゲーム1点リードされた5回表に登板し、2回を内野安打1本に抑えた木澤。明治の森下同様六大学で慣れ親しんだマウンドでの好投、それが6回の山崎の逆点劇を呼び込んだのでは。巨人戦でもしかり木澤が投げると勝利につながるような強運を感じる。自身もこの試合の勝ち投手になり4勝目をマーク。山崎と並びこのゲームのヒーローとなった。打率も2割4分を切るなど打撃が低迷していた3番山田哲人が3安打と吹っ切れ、4番村上が3盗塁と足でも魅せるてくれるなど内容の濃い試合だった。

交流戦前は投打のバランスがよく非常に手ごわいチームだった広島、交流戦はパリーグのチームに投打共に精彩を欠き、最下位に終わった。過去にも交流戦で2桁連敗をしたこともあり交流戦に苦手意識があるのかもしれない。リーグ戦では大瀬良、九里、森下、床田など非常に安定した投手陣だったが交流戦ではかなり打ち込まれたようだ。

 

その意味でも交流戦終了後、リーグ戦に戻って巻き返しを狙う広島との初戦が非常に大事になると思っていた。先発はサイスニードと大瀬良。球威と変化球の精度の差、また打線のつながりという点で交流戦の好調さをそのまま出せたヤクルトが中盤までに5-1とリードし、打ってもサイスニードが2安打、1打点の活躍、投げては自身最長の8回までカープ打線をわずか1失点に抑えた。

 

ヤクルトが8回うら2点を追加し7-1と6点差としたこともあり9回は抑えのマクガフでなく石山を起用した。ところが大差がありながら石山は先頭打者4番マクブルームにいきなり死球、その後続く3打者に連続ヒットを打たれ1点を奪われたところで、マクガフに交代。マクガフはヤクルトの守護神にふさわしい完璧なピッチングで長野、会澤、野間を三者凡退わずか9球で討ち取り大事なリーグ戦に戻った初戦を勝利で飾った。マクガフは巨人のセーブトップだった大勢に並ぶ21セーブを達成。チームも6連勝。

 

 優勝まであと1勝としていたヤクルトがソフトバンクを破りパリーグ全球団から勝ち越しを決め、交流戦史上初の完全優勝を達成した。他のチームと比較して絶対的なエースがいない中でのこの偉業はヤクルトファンとしてこの上ない喜びであり、大きな拍手を送りたい。

 

高津監督は試合後のインタビューで「リリーフみんながMVP」と答えていたように、先発が打たれてもその後のリリーフ陣が0に抑えている。このゲームでもヤクルト先発のスワレスは初回に野村に2ラン、4回にも2死満塁から松田に2点タイムリーを打たれ4失点をしている。このように先発が決して安定しておらず、苦戦を強いられた試合が少なからずあった。正直1-4と中盤3点のビハインドを負った時点で勝つのは厳しいのではと思った。

 

しかし5回表ソフトバンク先発大関から村上の2ランがとびだし4-3と1点差に迫った段階で逆転の手ごたえを感じた。次の6回表ヤクルト打線は津森を攻め2死満塁としたところで左打者キラー防御率0.79の嘉弥真を村上にぶつけて来た。フルカウントから投げた嘉弥真のスライダーは内角低めの難しいコース、それを払うように村上が振り抜いた打球はライナーでライトスタンドのラッキーゾーンにとび込んだ。見事な満塁ホームランである。

 

村上は今シーズンこのゲームを含め3度の満塁弾を打っている。あとは巨人戦でシューメーカー、堀田から。この3本の満塁弾はいずれも低めの非常に難しいコースで普通の選手ならヒットを打つのも難しい球だった。このコースの球をホームランにできるのは限られた選手しかいないだろう。一方で外角高めがなかなか打てない。しかしこの試合5回表大関からの2ランは外角ではなかったが高めだった。高めを克服出来たらさらに打撃の幅が広がるはずだ。

 

村上は昨日の試合で4打数3安打ホームラン2本6打点を上げている。7得点のうち6得点を一人で上げているのだからすごい。彼を「村神さま」というファンがいるがこの試合での活躍はまさにそれにふさわしい働きである。この好調さを長く維持してリーグ戦に戻ってもチームに貢献して行ってもらいたい。

 まずは実力のパリーグの全チームに勝ち越し完全優勝を達成したヤクルト選手たちを心からおめでとう、といいたい。