先日、フジテレビで放映された「野田聖子50歳の出産」を見た方もおられると思うが、これほど人の命の尊さを考えさせられたことはなかった。これほどまでしてわが子が欲しい親もいると思えば、欲しくもないのにできてしまい始末に困って放置して死なせたりする親は後を絶たない。


 また幼いわが子をせっかんして死に至らしめたり、十代の未成年が小学生を殺害したり、金銭目当てに他人の命を奪うなど、マスコミに殺人事件がない日はないくらい人の命が簡単に失われている。


 野田聖子は、わが子が欲しくて不妊治療を受けたが、それも叶わず一昨年、アメリカ女性から卵子提供を受け、50歳にしてようやく男児を出産。しかし生まれた子供は心臓疾患、臍帯ヘルニアとわかり手術を余儀なくされる。自らも高齢出産で体調悪化に苦しむ。


 生まれながらにして難病を少しづつ克服しながら、必死に生きるわが子を病院に見舞いながら言葉が通じるはずもない1歳にも満たないわが子を励ます彼女の母性愛はとても感動的だった。


 健康に生まれ、何の不自由もなく成長し、中学、高校生、あるいは大人になっている人も生まれた頃は皆、無邪気(まさに邪のこころもなく、ましてや他人の命を奪う犯罪を犯すような人間になるとはだれも予想だにできない)だったし、親の愛を一心に受けた時期があったのだ。


 不幸にして親の愛情を受けずに育ったり、里子に出されたりして育った方も少なくないが、一人の命の重さ、尊さを認識していれば他人を傷つけたり、殺害するような犯罪は起こせないはずだ。この番組を見て、あまりにも粗末に人命が奪われている昨今の世の中に野田聖子は、わが子の出産を通して命の尊さを改めて考えるべきだと訴えているように感じられた。