動物好きな人、いやこれまで動物を嫌いだった人にも是非手にとって読んでもらいたいのがこの本である。そこには捨てられて猫、障害を抱えた猫を助ける犬とその飼い主の献身的な動物愛が綴られている。捨てられながらも必死で生きようとする猫たちの命の大切を尊さを教えてくれる書である。
子供の頃住んでいた田舎でわが家で飼っていた猫が放し飼いの犬に追いかけられ家に駆け込んでくる様子を何度も見て「犬猿の仲」と同様に犬と猫は生まれつき仲が悪い動物だと思っていた。また犬には自分より弱く、逃げる動物を追うという習性が本能的に備わっているのかもしれない。
ところがこの本の主人公であるジニーという犬は、捨てられた子猫、溝に落ちた猫、障害を持った猫など救いを求める猫のかすかななき声も見逃さず救い出す、まるで神から遣わされた猫の救助犬のような犬である。
本の表紙を飾る一枚の写真はジニーの顔に頭をこすりつけている猫と犬の微笑ましい写真である。命の恩犬であるジニーに対して全幅の信頼を置いている猫の様子がうかがえる。
ジニー自身、動物愛護センターに預けられていた決して幸せな犬ではなかった。知人の勧めでフィリップという中年男性にもらわれきた。彼はそれまで建設業に携わり、何不自由のない暮らしをしていたが、仕事中の事故で右腕に損傷を負い、職を失い暗い生活を送っていた。
その生活を一変させたのがジニーだった。傷ついたり、障害を持った猫をジニーと共に救助する話がマスコミで紹介されると、たちまち大きな反響を呼び、教会や学校に公演依頼が舞い込んだ。また個人的に支援を申し出る人も表れた、フィリップはこの仕事を通して生きがいを取り戻した。フィリップは自宅に家主から制限されている10匹までの猫を飼う傍ら、何人かで協力して100匹もの野良猫の餌やりや避妊手術を施している。
日本でも野良猫を排除しようとする人たちと、可哀そうな野良猫に餌やりを続けている人たちが人たちとのトラブルが起きている話を聞く。イタリアのローマでは飼い主のいない野良猫に餌をやり続けている人には税金が一部免除されると聞いている。欧米では人間に危害を加えることのない野良猫に対し寛容である。もとはといえば彼らもどこかに飼われていた猫である。人間の勝手で野良猫になった猫にもう少し温たかい目を注いでもらいたい。そして人間と同様に縁があって、この世に生を得た短い命を大切に見守ってやりたい。