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LOVE LIFE

趣味時々ひとりごと

今日もまた私が会社員だった頃のお話しです。

そこの会社は守衛所で受付を済ませると、待合室のような部屋で相手を待つシステムになっていました。
相手は勝手にやってくる訳ではなく、部屋に設置された社内電話で呼び出すのです。
守衛所から相手に電話してくれればいいのに、いつもそう思っているのですが、この会社のやり方なので従わざるを得ません。
そしてその日もその部屋から電話をしました。
2回程の呼び出し音が鳴った後、女性の方が電話に出ました。
私は社名と名前そして用件を伝え山本さんを呼んでもらうようにお願いしました。
と、その時です。
思いもかけない言葉がその女性の口から発せられたのです。
「私、誰だか分かりますか?」
「えっ?」
いきなりそう言われたので、ちょっと動揺してしまいました。
「あの、私の事を知っているのですか?」
「お会いした事があるのでしょうか?」
何を言っていいのか分からず、ついそんな言葉が口をついて出たのです。
「ふふふ!」
ふふふって何?
彼女の意味深な笑いに私はまたしても動揺してしまいました。
「私、恵子です。」
「えっ?恵子さんって?」
「鳥居恵子です。」
「えっ!鳥居恵子・・・」

思いもよらない名前が耳に飛び込んで来ました。
恵子は私よりも一回り年下の女性です。
そして以前短い間でしたが付き合っていました。
私がその当時勤めていた会社を退社する事になり、それを境に何となく自然消滅してしまったのです。
その彼女がこの会社にいたのです。
驚きました。
彼女も私が会社を辞めた後、ほどなくして辞めたのだそうです。
その事は噂で聞いてはいましたが、まさかこの会社に勤めていたなんて。
本当に驚きました。
彼女は私がこの会社に来ている事を前から知っていたと言いました。
何度か見かけたのだそうです。
そして私が掛けた電話にも出た事があるのだと。
次にまた自分が電話に出る事があったなら、その時は話しをしようと決めていたのだそうです。
声だけでしたが、何となく甘酸っぱい思い出が蘇ってきました。
彼女は既に結婚しています。
もう会う事は無いと思いますが、9年振りの声だけの再会に心が激しく動揺した1日でした。