友A「あ、ここ隣の席になったんやね。…吉沢、(直人と)仲良くしてあげてね」
吉沢「(うん、あん、おんを足して何かで割った言葉)」
友A「仲良くする気ないやん!笑」
友B「…どういう仲なんや?」
吉沢「えっと…元、1年G組。あと、一緒に科学の探究活動やったよね」
直人「あったね…あと、国語の先生を一緒に呼びに行った」
吉沢「あ〜…あったね」
直人「確か、先生が来ないからって言って吉沢が教室出てったのを、学級委員長やったから、みんなに追いかけろって言われて、追いかけたんよね」
吉沢「そうやったんや」
直人「ちゃんと呼びに行くタイプなんやね」
吉沢「……僕はいつだって、正しくありたいから」
先生を呼びに行くところは嫌いですが、そういうところが僕が彼を嫌いではない理由だとも思っている。
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僕は吉沢(仮名)という別に仲良くないクラスメイトのことをただ面白いからというだけで度々ブログに(勝手に)書いているわけですが、本当に俺たちって仲良くなくて、もちろん互いに嫌いというわけではないと思いますが、僕らが会話をするのは授業中にたまにある「人と話さなきゃいけない」みたいな時がほとんどで、たまに雑談もしますが、大抵僕が話を振って、吉沢がボソッと何か言う、みたいなことをスローテンポで数ラリー繰り返す程度です。人見知りなのか僕に興味がないのか、吉沢から僕に話しかけてくることってほぼないのですが、案外話したがりでもあるみたいで、吉沢は喋る時いつもそこそこ長尺です。話長いなと思わんこともないですが、僕は彼の話が長いのが嫌かと言われたら決してそんなことはなく、むしろ彼の長い話が聞きたくて話しかけてるまであります。問題は、彼、あまり僕の話を聞いてくれたことがなくて、それは僕の話が面白くないってのもあるのかもしれませんが、僕が何を言っても大抵「そうなんや」とかで終わってしまい、ちょっと悲しくなります。
悲しくはなりますが、「俺が話を振る、吉沢が話す、俺は何も言わずにただ聞く」というのが何だかんだ吉沢と僕が交流するに当たっての最適解なような気もしています。
そんな気がしていたある日、英語の授業の前の休み時間、吉沢が、最近あった英語のテストの問題用紙を俺の方にぽんと差し出すようにして、それから(吉沢にしては)大きな声で「英語…!」と言ってきた。吉沢に話しかけられるというイレギュラーに僕は少々過剰に驚いてしまい、そして「ん?」と聞き返した。吉沢の差し出しているプリントが僕の席と吉沢の席の間の通路を塞いでしまっていて、クラスの男子がそこを頑張って通り抜けようとし、吉沢は少し慌てたようにプリントの位置をもとに戻した。男子が去っていった後、僕が警戒態勢になりつつ吉沢に少し顔を近づけると、吉沢は先程の声量に反して自信なさげな小さな声で「どうやった…?テスト…」と言った。
僕は「そんなことかい!」と拍子抜けしてしまって、でも、普段話しかけてこない吉沢が「そんなことかい!」というような事でわざわざ話しかけてくれたことが確かに嬉しくもあって、「あんま自信ないかも」みたいなことを返す僕はきっと変な笑顔を浮かべていたと思う。吉沢は「…ああ、何か昨日もそんなこと言ってたか」と、いつもの薄ら笑った口で言った。
という話をその日の夕方に会ったあびさんにしたら、あびさんは「かわいい」と言って笑った後、「徐々に心を開いてるのかもしれないね」なんてことを言っていたと思いますが、確かにそうなのかもしれないと思う反面、そんなことで吉沢と「ちょっと仲良くなった」みたいなことを思うのは、あまりにも吉沢という人間を過信しすぎているような気もする。
僕と吉沢はそこまで仲良くないし、多分これから先めっちゃ仲良くなるってこともないと思う。若干悲しいことを言っているような気もするけど、僕が吉沢という人間の可愛げとか面白さを毎日のように発見することができるのはきっと、ある程度の距離があるからだとも思っていて、吉沢とはこれからも「そこまで仲良くないクラスメイト」でありたいと思っている。