中身のない日記

中身のない日記

17歳が頑張って書いております。

僕は基本コンタクトなのですが、演劇で使う用の伊達メガネを去年の夏くらいに買いました。1000円くらいのやつで、ガタついています。

 

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宮崎には、メガネロックというアツいイベントがあるらしい。好きな音楽を、新しい出会いを求めて、街中に設けられた複数の会場をあっちこっち移動する、藤井太一郎さん主催のサーキット形式の音楽イベント。

「メガネロック」という名前のイベントに行くのは初めてではないが(1月にぱーくのお別れイベント的なのがあった)、サーキット形式ってのは初めてで、俺は何週間も前からタイムテーブルと見つめ合って、行きたいステージに丸をつけたり何たりとワクワクしながら当日を心待ちにしていた。

 

 

そして、5月17日。今日が当日である。

 

開場は午前11時半なのだが、前日、アニキに「10時半くらいに顔合わせが終わるから、その時間に待ち合わせよう」的な連絡をもらっていたので、それくらいの時間を目処に宮崎の街中に向かった。

待ち合わせ場所であるアートセンターのベンチ、僕らの間では「脳落語ベンチ」とか呼ばれてる(前にそこであびさんとアニキが脳落語の話でめっちゃ盛り上がったことから来てる)そこには、既にアニキと、くにやさんと井口さんとイノキさんがいた。頭に手ぬぐいを巻いてサンダルを履いているという、5月下旬にして既に夏の装いのアニキに「HACO行こうぜ!HACO!」と言われたので、とりあえず着いていく。道中、「直人、これ誰か分かる?」とアニキだったかイノキさんだったかに、くにやさんのTシャツにプリントされた男性の顔写真(後に反町隆史さんと判明する)を指しながら言われたが、その時はマジで誰か分からんくて、真剣に悩んでいたら、井口さんに「竹之内豊って言えば、くにやさん喜ぶかも」と耳打ちされた。結局言うタイミングがなくて言わなかったと思う。

 

 

HACOでは今日、くにやさんがライブをやることになっていて、井口さんとイノキさんも友情出演と称して出られるそうだ。

HACOに着いて、アニキたちに「直人は座っとけ」と言われたので、とりあえず外に運び出されたソファに座って、ステージの準備をする様子を見ていた。何か手伝った方が良いかなと思ったけど、余計なことして迷惑かける方が怖かったのでとりあえず静かにしておいた。

アニキも俺の隣に座って既に何かに浸っていて、「楽し〜…今死んでも悔いないわ」なんてことを言っていた。それ言うにはまだ大分早いやろとは思ったが、アニキが楽しそうにしていると俺も嬉しい。

 

 

 

 

ソファに座ってアニキと話している時、何かの話の流れで「直人とまるは互いにもっと素直になったほうが良い」的なことを言われた。

 

 

準備をしていたら(見ていたら)、藤井さんが赤い袋を持って現れた。サンタクロースみたいだとちょっと思った。

アニキが藤井さんに「直人に何か言えよ」と言って、藤井さんは僕の顔を見て少し悩んでから、「いいねぇ!」と言った。アニキが「何だそれ」って顔をしながら「何だそれ」みたいなことを言ったら、藤井さんは「今の時代、下手なこと言ったらセクハラとかパワハラになるっちゃじ?いい、という褒め言葉しか使えんとよ」みたいなことを冗談めかした感じで言った。

藤井さんから昔のライブハウスの話を聞いていると、藤井さんって暴力的なところを居場所としてきたんやろうなと思うことがよくあって、でも多分藤井さんはそのライブハウスの暴力性みたいなところをある種の美しさと思ってるんだろうなと思うんだけど、でも多分そんな藤井さんも藤井さんで、このコンプライアンスだらけの世の中に上手に適応しようとしてるんだろうなと思う。

 

藤井さんはメガネロックの旗を持ってきて、すぐに去っていった。アニキが去っていく藤井さんの後ろ姿を見届けながら、「藤井!良い一日にしような!」とデカい声で言って藤井さんに拳を差し出していた。藤井さんが拳を返してくれたかどうかは、目の前の電柱が視界を遮るせいで見えなかった。

 

 

HACOにおった時、何かのタイミングで撮った

 

しばらくHACOで過ごした後、開場の時間が迫ってきたのでチケットが置いてあるアクターズスクエアコーヒーという店に移動する。道中、井口さんにBeRealに写ってもらうなどした。

 

「CLASSROOMで予約してた、直人です」と受付で言うと、久しぶりにちゃんと予約がされていたみたいで、取り置きのリスト的なものの、「直人」と書かれた欄の横に「いつもありがとう」と添えられていた。お姉さんたちが「いいバンドですねぇ」的なことを口々に言い合っていた。

 

アクターズスクエアコーヒーの店内は薄暗くて、でもライトがチカチカしていて、ステージで何かの音楽の演奏が行われていた。

井口さんやアニキはすぐに環境に適応して、小さくノるなどしていたけど、俺は一向に慣れず忙しなく辺りを見回していた。

 

店内にリョウスケさんがいた。手にミンティアを持っていて、パッケージのシールを全部剥がす珍しいタイプの人間であることを知った。アニキとリョウスケさんが「そこは普通剥がさんやろ」「いや、剥がすやろ」みたいなことを言い合っている近くで、井口さんが床にしゃがんだ状態で「ミンティアのパッケージのかっこよさを再確認しました」みたいなことを言っていた。俺もこれからミンティアのシールは剥がしていこうと思う。

 

 

アニキが「午睡を観に行く」と言うので、みんなでLAZARUSへ向かった。

道中、石川さんや伊藤さんなどと合流して、井口さんが「こうして人が増えていくの、何かいいですね」みたいなことを言って俺も同意した後、「伊藤さんってこんな大きかったっけ?」と、背の高い伊藤さんの後ろ姿を見て言った。伊藤さんは厚底っぽいスニーカーを履いていたから、「厚底履いてるから?」と言ってみたら、「ああそれか、よく見てるね」と言われた。

 

 

LAZARUSには大学生っぽい人が結構いた。

アニキが観に行くと言ったから来ただけで、午睡というバンドのことは今まで名前しか知らなかったのだが、確か前にFNSでちょろっと観たSUGAR HOUSEのギターを弾いていた気がする息子さんがいるバンドだったと思う。その息子さんは大学生だと聞いた覚えがあるので、今ここにいる大学生っぽい人たちは、彼らの知り合いだったりするのだろう。

 

 

程なくして、バカデカSEと共にステージが始まった。

ボーカルの、ふわふわ髪にメガネをかけた人の姿を見て、こないだのFNSが終わった後に「わ、ご飯が炊けちゃう!」と言いながら慌てて帰っていった人であることに気づく。あの後食べたご飯は美味しかったのだろうか。

 

午睡の演奏が始まって割とすぐに、生活の中に音楽がある人たちなのかな、と思った。

いや、こうしてバンドを組んでライブをやっている人間はそりゃみんな「生活の中に音楽がある人たち」なんでしょうけど、何と言うか、彼らのライブは、ライブ特有の「非日常感」がなくて、日常の延長線上にこのライブがあるように感じた。「音楽の力でどうにかこうにかしてやるぜ!!」みたいな、聴き手の心や体をどうにかしようとする音楽というよりも、僕らの日常に自然に溶け込んで、静かにずっとあり続けるみたいな、そんな音楽であり、初めて聴く僕にもすっと馴染んでいくような感覚があった。

もしかしたら、ボーカルの方が「わ、ご飯が炊けちゃう!」と言いながらライブ会場を後にしたという何気ない一幕にも午睡の音楽性は現れていたのかもしれない。

 

ボーカルの方は曲の合間にあわあわしながら、「いつもはMCの時に面白い話してるんですけど、時間がなくて!」みたいなことを言った。歌っている時のどっしりとした落ち着きに反し、それ以外ではずっとあわあわしてたのが面白かった。

 

ボーカルの方「夕べ見た夢の話をしようと思ってたのですが…時間がないので文章にしたのを物販で配ってます。ちなみに坂上忍の研修医時代のエピソード、という夢でした」

 

アニキが良いと言うから期待してたけど、かなり良きライブだったと思います。俺が見たトップバッターが彼らだったの、良かったな。

 

 

午睡のステージが終わり、外に出ようと後ろを振り返ったらやすよしさんを見かけたので、少し駆け足で追いかけて、声をかけた。

「これからCLASSROOMを観にドラゴンヘッドに行きます」と言うと、やすよしさんは「まだちょっと時間があるかい、アクターズスクエアコーヒー行かん?今、n3q?やってる」みたいなことを言ったので、とりあえず着いていくことにした。

 

やすよしさんの隣を、スマホの画面の反射を利用して前髪を整えながら歩く。画面にうつる僕の顔が、すごく機嫌のいい時の顔をしていたので、そのままやすよしさんに「僕、機嫌がいい時の顔をしてます」と言ってみると、やすよしさんはにこにこしながら「今日、機嫌いいよね」と言ってくれた。今までやすよしさんを前にして機嫌が悪かったことなんてなかったと思うけど、やっぱり機嫌がいいと分かるらしい。

 

僕がやすよしさんを好きな理由の一つに、「多分やすよしさんも僕のことが好きだから」ってのがある。

 

昨日俺縮毛矯正かけたんすよみたいな話をしながら2人で歩いていたら、前方に信号待ちをしているあびさんたちを見つけた。やすよしさんが声をかけたら全員振り返って、確かあびさんの他にイタロさんとモッコリさんと、あと誰か2人くらいいた記憶がある。

あびさんは俺の顔を見て「嬉しそう」と言って笑った。

やすよしさんが「直人、昨日縮毛矯正かけたらしくてさ」みたいな話を始めようとしたが、あびさんたちはすぐに自分たちの世界に入ってしまって聞いてなくて、やすよしさんが「聞いてねぇし」と呟いていた。

 

 

あびさんたちの集団に遅れをとるような形でアクターズスクエアコーヒーに入り、その時、n3q?はMC中だった。

何の話してたかは忘れちゃったけど、最後の曲の前だったっぽくて、ボーカルの方が「腰の重いことで有名な我々ですが…新曲を作りましたよ」的なことを言っていたと思う。

僕は後ろの方で「CLASSROOM間に合うやろか」みたいなことを考えながら、ぼんやりと前の方の人たちが曲にノッて踊ってるのを見ていたら、前の方にいたやすよしさんがスッと僕の隣まで来てくれて、嬉しかった。

 

スマホの時計をチラッと見たやすよしさんが「そろそろ行く?」と小声で聞いてきたので、頷いて、曲の途中で外に出た。

 

階段を降りようとしたら、あびさんとタツロウさんも外に出てきて、喫煙スペースで煙草を吸うと言うので、やすよしさんと一旦戻る。

やすよしさんは煙草を吸いながら、さっきしそびれていた「直人、縮毛矯正をかける」の話をあびさんにしていた。

 

談笑していたら、あびさんが階段の下を覗いて「シンプソンや。体でわかる」と呟いたので、彼が見ている方向を見たら、下からシンプソンさんとしょうへいさんが階段を上がってくるところだった。

シンプソンさんとしょうへいさんは有り得ない遅さで階段を上ってきて、我々に「おおー!」みたいな感じで挨拶をした。

 

彼らと入れ違うように僕らは階段を下り、ドラゴンヘッドスタジオへ向かう。

4階にあるスタジオまでの階段を上り、中に入るとアニキとまるさんがいて、まるさんと無言で会釈をした。まるさんとはいつもこんな感じである。

一度会場の中に入ったんだけど、知ってる人がいなくて心細くなって、すぐに外に出てきた。

 

外には、いつの間にか現れたMACH10さんがいた。

前会った時どんな髪型だったかは思い出せないが、めちゃくちゃ髪型が変わっていて、えげつない反射をするサングラスをかけていた。

 

 

そろそろライブが始まるというので中に入る。上手側の最前にMACH10さんがいて、僕はそのすぐ斜め後ろにいたら、アニキが準備をしながら「MACH10、暴れるから危ないよ」みたいなことを言ってきたが、別に抵抗とかはないので聞き流した。

 

 

CLASSROOMのライブは、ボーカルがリュックサックを背負ったまま始まった。1曲目は確か「I'M IN YOUR VICIOUS CIRCLE」。この曲めっちゃ好きや。

アニキは英語の歌詞をいつもよりハキハキと歌い、曲の途中で、撮影していたMACH10さんの携帯に噛みついていき、俺のにも噛みついてきて、その後誰かのところにも行って、ステージに戻って客たちに向かって中指を立てていて最高だった。リュックサックを背負って、Tシャツに履き心地が良さそうな素材のズボンに、サンダル、といったラフな格好の顔つきが優しすぎる人がここまでめちゃくちゃやってるのを見る時特有の嬉しさってあると思う。

 

1曲目が終わった後、アニキはリュックサックをおろした。

 

その後もアニキは椅子の上に立ったり、身体中にコードを巻き付けてみたり、まるさんにめちゃくちゃ顔を近づけて叫んでみたり、伊藤さんの肩に手を置いて全力で振り払われたり、そんな風にめちゃくちゃやっていて、嬉しかった。俺は何だか分からないけど泣きそうだった。かっこよすぎて何か泣きそうなる、という感情を教えてくれたのはCLASSROOMだな。

 

アニキは最後、客たちに突っ込んでいき、くにやさんにしがみついて押し倒し、何か2人で抱き合いながらその辺を転がっていた。アニキとくにやさんの間には、年齢を超えた友情というものがあると思うし、友情を超えた何かがあると思っていて、2人のそういう「何か」を感じ取れると嬉しい。床に転がっているアニキのケツ?足?をマジで全く知らない女の人が踏みつけるような感じで蹴っており、とんでもない度胸だなと思った。

 

 

ライブ終わり、一度スタジオを出たまるさんが、酒か何かが入ったカップと焼きかまぼこみたいなのを持って戻ってきて、焼きかまぼこを僕に差し出しながら、「食べる?」と言ってきた。僕は魚介類が全般食べれず、まるさんもそれを知っているので「いや、かまぼこ食べれないので大丈夫です」と返すと、まるさんは「いや、これかまぼこちゃうねん」と言った。「え、かまぼこって書いてあるじゃないですか」「かまぼこなんやけど、かまぼこじゃないねん」「何なんですかそれは」みたいなやり取りをして、こんだけ勧められたら断るのもあれだと思って、一つもらう。口に入れたら、かまぼこの味だった。「どう?」と聞かれたので、「かまぼこっすね」と言った。

 

「何か今日、髪めっちゃ良い感じですね」

「マジ?…あ、確かにめっちゃ時間かけてドライヤーしたわ…あと、クシ使うようにしたんよ」

 

まるさんと無言でただ見つめ合うだけの時間があった。先に見つめてきたのはまるさんで、先に逸らしたのは僕だった。

 

 

花想いを観にLAZARUSに行こうと、僕とアニキとアニキの奥さんのれなさんとまるさんと、あと何たらって名前の少年とスタジオを出た。何たらって名前の少年は、アニキの最近できた友達らしくて、僕と同い年とのことだったが、僕よりタッパがあり僕より随分と大人びた雰囲気を持っていた。まるさんが「僕、前のコピバンフェスでめっちゃ喋ったで!」と言っていたが、少年は何か微妙な反応をしており、「ホンマに僕めっちゃ喋ったねんで!」と言うまるさんに俺は「彼にとっては消したい過去だったんじゃないですか」と、今までにまるさんにされた意地悪全てにやり返すつもりで言った。

 

道中、MACH10さんと合流。(MACH10さんはさっき一旦LAZARUSに消えていた)

少年はどうやらMACH10さんに気に入られたみたいで、マシンガンのように音楽の話をされていた。他人同士の会話なので内容までは聞いていないが、「〇〇ってジャンル分かる?」「分かんねぇっす」みたいなやり取りを3回くらいしていたような気がする。

 

花想いが始まるまで、外でみんなで屯する。

MACH10さんのことを「MACH9」とか言ってみたり、アニキか誰かにクソガキだといじられたのに対して「今年の目標はクソガキで行こうかな」と言ったりしながら待った。

 

 

花想いは確か鹿児島のバンドで、僕は今まで名前しか知らなかったんだけど、メガネロック前にアニキやまるさんが「花想いはいいバンドだよ!」と言っており、それなら観に行くかと楽しみにしていた。

 

中に入ったら、花想いは既に始まっていて、オシャンティーなメロディに合わせて、透明感がある綺麗なお兄さんが「温泉に浸かりた〜い!温泉に浸かりた〜い!」と歌っており、状況を受け入れるのに時間がかかった。

「花想い」というエモーショナルな名前の方々が「温泉に浸かりた〜い!」とか歌っていることを誰が予想できただろうか。というかバンド名良すぎるだろ本当に。

 

「温泉に浸かりた〜い!」に全部持っていかれて、MCで何を言っていたかとか、そういうのは全く覚えていないんだけど、でも確かに彼らの曲は俺の心に残っていて、日常に戻ってこれを書いている今でも、何かのタイミングでふと思い出すような存在になっている。彼らの残り香は、私の日常を彩り続けている。

 

そろそろHACOでのステージが始まりそうになっていたので、井口さんと一緒にLAZARUSを後にした。

 

 

HACOに行ったら、既に何人か人がいて、僕はかめもときえさん(イラストレーター)としれっと相席する形で椅子に座った。かめもとさんとちょこちょこ話しながら開演を待っていたら、アニキ夫婦、あびさんややすよしさんやまるさん、MACH10さん、宇野旧さん(歌人)、どこかで見たかもしれない人たちがぞろぞろと入ってきて、座れない人が現れるくらいには沢山人が来ていた。普段のライブじゃ、かめもとさんや宇野旧さんのような森ガールみたいなほんわかした雰囲気の人をなかなか見かけないから、そんな人が2人もいて、何だか新鮮だった。


ちょっと準備に時間がかかるというので、MACH10さんが「臨時司会」をすることとなった。MACH10さんがヘラヘラしながらくにやさんとの出会いを語るなどしていたら、準備は整って、MACH10さんは「宮崎の𝒔𝒖𝒑𝒆𝒓𝒔𝒕𝒂𝒓 くにやァァ‼️カモォォン‼️」ともちろんデスボイスで言ってはけていき、くにやさんが現れたタイミングで藤井さんがやって来て、「うおっすげっ!そんなおる?3人ぐらいやと思っちょった」と言った。藤井さんはやがて出ていった。

 

くにやさんが自己紹介で「奇人の…」と言い出して、観客のあびさんが「自認奇人はいないんよ」とツッコんでいた。くにやさんはそれを聞いていたのかいなかったのか知らないが、「あのー」と何かを言いかけて、結局何も言わないままギターを弾き、歌い始めた。


「悩み事をかくすの 案外、下手だね🎶

ひじをついた姿勢で 爪をかんでる🎶」


…田原俊彦??


くにやさんのステージは、くにやさんが「今夜は無礼講〜🎶ピィーッ‼️」と言った後に、何かをブツブツ言って急に「すぅさぁッ‼️」と叫び、何か急に終わった。ガチで意味が分からん。


くにやさんは「いぐっちゃーん!」と後ろの方で観ていた井口さんを呼んだ。

 

井口さんはくにやさんの隣に立つと、「歌詞が、田原俊彦の…抱きしめてTONIGHT…?」とさっきのくにやさんの歌にツッコんだ後、「悩み事を隠すの〜🎶」とくちずさんだ。するとくにやさんは井口さんのマイクを奪い取り、少々誇張した田原俊彦さんのモノマネをしながら井口さんと無理矢理肩を組み、井口さんを巻き込んで歌い始めた。井口さんはかなり戸惑い気味であった。井口さんも大概奇人の部類だと思うが、くにやさんはそんな井口さんさえも困惑させるほどの大奇人である。

井口さんは何とか切り替えて、乗っかって歌い始めたが、すぐに「違う違う!」と止めた。


こうして、やっとこさ井口さんとのコラボステージが始まり、井口さんはゆったりと歌い始めた。くにやさんのアコースティックギターに合わせて歌う井口さんの姿は驚くほどに妖艶だった。

井口さんはくにやさんの方を見て綺麗な声で歌い上げた後、「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントを取って、それから頓痴気な踊りをしながら、時に「ィヨーオッ!!」という謎の掛け声を入れながら歌い始めた。動きは頓痴気なんだけど、それでもやはり妖艶さはあって、というか、俺大丈夫のライブを観た時にも思った気がするけど、井口さんって何しててもちょっと色っぽい。それはエロいとかいう言葉で下品に片付けられてしまうものじゃなくて、何と言うか、純粋に見惚れてしまうような感じ。芸術作品。

歌い終わった後、井口さんがくにやさんの顔を見つめながら裏声で「ママ…」と連呼する、という怖すぎる時間があった後、2人は雄叫びを上げて、ステージは終了。

この意味分からん感じ、狂気、そして美しさ妖艶さがまさに井口𝐖𝐨𝐫𝐥𝐝というような感じで、俺が井口さんを好きな理由が全て詰まったみたいなステージだった。そして井口𝐖𝐨𝐫𝐥𝐝は、くにや𝐖𝐨𝐫𝐥𝐝との相性がいい。何かもう2人で建国してほしい。

 

さて、お次はイノキさん。井口寿則というヤバ男のヤバステージの後ということもあり、すごくやりづらそうに出てきた。分かる。

イノキさんとは去年の9月にCLASSROOMの企画の打ち上げで出会い、たまに遊んだりするのだが(遊ぶメンツにたまにいるみたいな感じ)、不思議なことに、彼の歌声を聴いたことは一度もなかった。

今まさに始まるという時、ポロポロ書店の店主さんがエプロンを着たまま、バラが挿してある花瓶を持ってきて、それを見たアニキが「めっちゃいい!」と言った。

店主さんが客席に座ったところで、イノキさんとのステージが始まった。

くにやさんが端っこに置いてある椅子に小さく座って、ギターを弾いている。すごく繊細な音だと思った。そしてその繊細なギターにイノキさんの歌声が絡んでいって、逆に僕の心は解けていくような感覚だった。

アニキが「DONBLAって本当に緊張と緩和だよな」と言っていたが、DONBLAではないけどまさにこのステージがそうだと思う。この、井口さんとのステージのような緊張とイノキさんとのステージのような緩和のコントラストが本当に心地良かった。美しかった。

 

最後に、全員で「やぱぱ」を歌おうということになっていたらしかったが、その前にくにやさんが寺内タケシという人が特集された音楽雑誌の朗読を始めた。詩とか小説ではなく、雑誌の朗読なのが新しい。その雑誌は、「エレキ禁止令」という「エレキギターは非行の温床になる」とエレキギターの所持や演奏を禁止するという風潮?ルール?に立ち向かってエレキギターの健全性を示すためにいろいろな高校を回った、みたいな感じのことを言っていた。何か、別にそういう訳ではないと思うんだけど、何故か自分に向けられた朗読のような気がして(エレキギター弾かないのに)、聞き入ってしまった。

朗読はかなり長いこと続き、井口さんやイノキさんが急かすように「やぱぱ〜」と歌い始めた。しかし今のくにやさんは急かしの「やぱぱ」をもBGMにしてしまい、どんどん自分の世界に入っていっていく。

しばらくして、流石にいよいよヤバいと思ったのか、くにやさんは朗読を中断して「まあ端折ると…」とか言い出していて面白かった。


最後の曲、おれがくにやさんの曲の中でいちばん好きな「やぱぱ」が始まった。

即興か用意してたものか分からないけど、3人が各々手を叩いたり、口ずさんだり、裏声で「ママ…」と言ったりしてリズムを取ってやぱぱを歌うというくだりがあった。火がついたくにやさんが「すぅさぁッ‼️」と言った後、井口さんが乗っかるように「イーヤーサーサー‼️‼️」と声を張り上げ、それは違うだろ、と誰かが笑う。それからはもうめちゃくちゃで、くにやさんは「MACH‼️んーMACH‼️」と言って多分あんまよく分かっていないであろうMACH10さんをステージに引っ張り出し、MACH10さんはとりあえず輪に入ろうとデスボイスで参戦し、マイクの前に立って「We are MACH10‼️」と叫んだ。I am MACH10ではなく、We are MACH10。MACH10さんがそう叫んだことにより、ここにいる全ての人は「MACH10」ということになった。「MACH10」という形でひとつになった、とも言える。くにやさんだけが「俺は嫌だ‼️」と言っていたが、楽しそうだった。客席では終始、音楽ライブとは思えない豪快な笑い声が響き渡っていた。


こういうこと


くにやさん、井口さん、イノキさん、MACH10さんによる謎セッションは最後、4人で円になって肩を組み、リズムを取りながら叫ぶ、みたいな感じになっていて、そのタイミングで何も知らない藤井さんがやって来て、絵に描いたような苦笑いをしていた。


結局よう分からん感じで、HACOでのステージは幕を閉じた。


 

HACOから出てきて、スマホの時計を見たらもうゆめゆめ忘れズはとっくに始まっていて、とりあえず走ることにする。藤井さんたちが行く方向に走ってたらやすよしさんとばったり会って、「どこ行くと?」的なことを聞かれたので「LAZARUSどっちですっけ」と聞くと、「あっち」と僕の進行方向とは逆を指さされたので、思わず「うわぁ!」と声を漏らして、方向転換した。

 

LAZARUSのいちばん近くの信号が赤で、足止めされた。信号を挟んで向こう側にアニキがいて、少ししてやすよしさんも現れて、僕のことを待っていてくれた。

信号が青になって、駆け出したら、アニキが「行くぞ」と言ったが、多分2人は歩いてLAZARUSに行くつもりだったみたいで、俺は一刻も早くゆめゆめを観たかったので、2人を置いていった。

走る僕の後ろから、アニキが「クソガキ!」と言う声が聞こえた。分かる。

 

 

LAZARUSに入ったら、もう何曲かやった後だったみたいで、すぐに「日めくり」だったか何だったか、知っている曲が始まった。

ゆめゆめを観るのは2、3ヶ月ぶりくらいになる。久し振りにイタロさんのふわふわした歌声を生で聴けて嬉しかった。

 

MCでイタロさんが「基本的に人に興味がないんで、人とぶつかることはないんですけど…」というようなことを話し始めた。

僕が今までに観てきたゆめゆめのライブのMCは大体、イタロさんが何か喋って、モッコリさんが相槌を打ったりちょっと喋ったりする、みたいな感じで進んでいく。イタロさんよりいくつか歳上であるモッコリさんの相槌が優しくて、いつもほっこりするのだが(韻を踏んでいるわけではない)、何か今日のMCはちょっと緊張感があった。

イタロさんは「人とぶつかるのは、互いに本気だからだ」みたいなニュアンスのことを言った後、「僕が思うクリエイティブは本物であることですが、嘘も本物だと思うんです」みたいなことを言って、それから、「人とぶつかるのは互いに本気だからであって、それを外から嘲笑する奴には僕興味ないんで!…お疲れ様でした!」と言った後、曲は再開した。

 

イタロさんの曲ってあったことをそのまま書いたと言うより、あったことを一旦バラして、情景とか思ったことをもう一度拾い集めて作ったみたいな歌詞だと思う。歌詞を聴いて「つまりこういうことが歌いたいんだな!」みたいなのがパッと分かるというよりも、歌詞全体を咀嚼して頭の中で映像にして、そこで初めてニュアンスが分かる、という感じだ。

イタロさんのMCが何を意味していたかは完全に分かりきれてない部分があるが、完全なる僕の考えで言うなれば、自然体でとにかく真っ直ぐなまるさんの歌詞も本物であると思うし、イタロさんみたいな少し回り道をした歌詞も本物であると思う。

 

 

ゆめゆめ忘れズが終わって、外に出たら伊藤さんがベンチに座っていたから、しれっと隣に座る。

スマホを見ていた伊藤さんは、少しして「おお」と言って顔を上げて、俺を見てくれた。

アニキとやすよしさんとはぐれてしまったことに気付き、伊藤さんに、ゆめゆめを観る前にあったアニキとやすよしさんとの下りを話すと、伊藤さんは「クソガキだな」と笑ってくれた。

 

ふらっと現れたのか、威風堂々と現れたのかは忘れたが、どこからかまるさんも現れて、誰かに「いやほんまに、僕今日ずっと走ってるんすよ!」みたいなことを言っていた。

そして、俺に向かって「直人は走っとる?…どうせ絶対走っちょらんやろ」と言ってきたから、「いや、めっちゃ走りましたよ。さっき、LAZARUSへの道間違えたから」と返すと、まるさんは「バカ!バカ!」と笑った。面白がってる笑みというより、嬉しがってる笑みで、多分まるさんは僕がバカだと嬉しいんだと思う。

 

近くで、まるさんと伊藤さんが、「今のうちに飯いかんと食う暇ないすよね」みたいな会話を始めた。

まるさんがずっとうどんの話をしていて、それに対して伊藤さんは「熱いものはさっさと食えないからなぁ」みたいな反応を示していた。まるさんは「今の時期やったら冷たいのもあるっすよ!」と言っていて、まるさんうどん好きやなぁと思った。

 

会話を聞きながら、段々と体調が悪くなっていた。朝もそんなに食ってなくて、昼は抜いてて、そんな状態で走ったのが良くなかったんだと思う。暑いし今日。いや、体調が悪いというよりも、ただどうしようもなく疲れているに近いんだけど、この後にも観たいバンドが控えている今、これは由々しき事態であった。

 

何か食べるにも食欲ないなぁ、と思っていたら、どこからともなく現れた井口さんに(この界隈の人間は、みんな急に現れる)、「何か食べといた方がいいですよ!」と言われて、すぐ近くのファミマに連れて行ってもらい、inゼリーを買ってもらった。これじゃ病人だな、と思った。

 

 

井口さんは「僕はこれから、アクターズスクエアコーヒーで涼んで、また戻ってきます」と言って去って行ったので、結局コンビニに行ったらしい伊藤さんとまるさんが座っているところの近くに座った。

何かまるさんに話しかけられたけど、何を話しかけられたのか全然覚えていない。やられすぎてたから、目も合わせず何となくで返事をしていたような気がする。もしそうだったらマジでごめんなさい。

 

座っているところから、LAZARUSのクロークに掛けられているモニターが見えるんだけど、そしたら次のVERANPARADEがもう演奏をしているみたいだったので、戻ってみたら、どうやらまだリハ中のようだった。

疲れていたので、リハからぶっ通しで観続けるのはちょっとしんどいなと思い、一旦伊藤さんたちのところに戻る。

 

はぐれていたアニキが戻ってきて、「暑いから移動しようぜ」と俺らが座っていたベンチ?花壇?の向かいにある飲み屋?の店先の屋根の下に移動していた。僕以外がそっちに移動して、僕だけ残っていたら、まるさんに「直人もこっちおいでよ」と言われ、僕も移動する。

アニキが、「直人が、今年の目標はクソガキなんすよとか抜かしやがってた」みたいなことをみんなに話して、それに対してまるさんが「もう達成しとるやろ」と言った。ちょっと腹が立って、彼の頑丈な肩を軽くはたいた。まるさんはニヤニヤしてた。

 

もうそろそろ始まったよな、と思って、もう一度中に入ったら、人があまりにも多すぎて、こりゃ観れんわって思って、残念な気持ちになりながらもう一度外に出てきた。これVERANPARADE諦めかぁ…と思ってたら、アニキやまるさんが観るぜと言うので、やはり諦めきれず、もう一度中に入った。

 

 

VERANPARADEをここまで遠くで見るのは初めてだった。

 

僕は背が低いので、時折背伸びをしたりしながら観ていたら、しばらくして、誰かに背中を叩かれた。振り返ったらアニキで、アニキは俺に「おい、前行くぞ」だったか何だったか、そんなことを言った。俺はどうしたら良いか分からずアワアワしてたら、アニキは俺の手をガシッと掴んで、引っ張りながら前の方に歩き始めた。ライブを観ていたら後ろから人が来て隙間を譲る瞬間ってのは何度も経験したことがあるし、特にそれで嫌な思いをしたこともないんだけど、実際にやる側になるとめっちゃ申し訳なかった。でも、腕を引っ張られながら人の隙間を縫って進んで、光がどんどん近づいてくるあの光景、俺は忘れられないと思う。

 

VERANPARADEをここまで近くで見るのは初めてだった。

 

アニキが連れてきてくれた場所にはまるさんもいて、僕のすぐ目の前でアニキとまるさんが楽しそうに飛び跳ねていた。アニキが飛び跳ねる度、背負っているリュックのチャックがどんどん開いていき、このままだと中身が飛び出てきそうだったので、こっそり閉めようとするが、お構いなしに飛び跳ねるもんだから全然閉まらず、僕の隣で観ていた女性と2人がかりで閉めようとしたが、閉まらず、諦めた。

 

最近ホロホログラムという日記のZINEを出しているあびさんはMCで日記の話をしていて、流れで「やすよしさんも毎日日記をつけてますからね」と言った。やすよしさんは明らかに戸惑っていて、その様子を見た観客たちが笑うと、あびさんは「笑ってんじゃねぇぞ…」とバキバキの目で低い声で言った。あびさん、普段は朗らかなのにステージに立つと急に尖り出すから面白い。いや、あびさんはずっと尖っていて、その「尖り」の一面を見せるのが今はステージだけ、というだけなのかもしれない。だとしたら、あびさんが一番輝く瞬間はライブの時、ということになる。

 

あびさん「最後にナイトウォーリーという曲をやるので、みんな、ステージに上がって歌ったりしていいですからね」

 

歌ったりしていいですからね…?と戸惑いながら始まったナイトウォーリーを観ていたら、いつの間にか現れたくにやさんがアニキを背後からステージに押し込んだ。

他にも色んな人がステージに上がったり上げられたりして、ステージ上にはマジで意味分からん人数がいた。

まるさんはどこかからかマイクを取ってきて、あびさんの首を絞めるくらいの勢いで肩を組んでほぼゼロ距離で歌っていて、アニキはギターを弾くやすよしさんの肩を掴んだり頭を撫でたりとちょっかいをかけていて、藤井さんは何かよく分からんけどとりあえずいるみたいな感じで、ステージ上を彷徨いていた。

最終的にあびさんは客たちの方にダイブしに行き、ギターの取り合いが始まり、まるさんは視界から消えていった。

 

僕はその一部始終をただ黙って見ていた。とんでもないものを見てしまったと思った。

 

 

ライブ終わり、いつの間にか僕の視界から消えていたまるさんが演者顔で演者用の出入口から出てきて、しかも何か上裸で、本当に意味が分からなくて笑ってしまった。

 

 

転換中、アニキとコンビニに行って、LAZARUS戻ろうとする道中でやすよしさんと会って、アニキが「やすよしに何か言ってやれよ」と言うので、「良かったですよ!」と言うと、やすよしさんはニヤニヤしながら「直人にそう言われるのがいちばん嬉しいわ〜」と言っていた。ライブでギターを弾いているやすよしさんは本当にかっこよすぎる。

 

AOIを観ようかと思っていたけど、先に入っていったアニキが「これは人多すぎやわ」と言って出てきて、俺も疲れていたから諦めて外でしばらくゆっくりすることにした。

 

アニキとしばらく2人で話していて、喋ったり笑ったりがしばらく続いて、少し静かになった時、俺はアニキに「ありがとう」と言った。「ありがとう」と思ったからだ。それはアニキが遠慮がちな俺を引きずって行って前の方でライブを見せてくれたことに対する「ありがとう」だと思っていたけど、考えるうちに何か俺はアニキという存在に感謝しているような気がしてきた。

この世界(世界?)に一人で飛び込んできた僕を捕まえてくれたアニキがいたから今俺はここにいる訳で、アニキがいたからこそ見ることができたものや知ることができたものがある訳で、アニキがいなかったらきっと今こんな楽しい人生は歩んでいない訳で…と、何かそういうことを考えていたら、無性に「ありがとう」と言いたくなったのだ。

アニキは始め、あんまり素直に受け取ってない感じだったが、少しして、にこにこしながら「おれにこんな可愛い後輩ができると思っとらんかったわ〜」みたいなことを連呼し始めた。

 

 

あびさんがライブハウスから出てきて、「これからジンイットブックスに行かなきゃいけないんですけど、歩きませんか」と声をかけてきて、俺とアニキとくにやさんで着いていくことにした。

4人で若草通りを横並びで歩く。俺は端っこにいて、僕の隣にアニキがいる。アニキの隣でくにやさんとあびさんが普通に手を繋いで歩いていて、何でそうなっているのかは分からなかった。手を繋いで歩くとか、恋人や夫婦もしくは親子とかじゃないとあんましない気がするが、よく考えたらそれって俺の固定観念でしかなくて、別に好きだったらどんな関係性でも手を繋いで歩いて良いわけである。俺もF−くんと手繋いで歩こうやろうか。…結構嫌やな。


歩いてる途中、猫がいた。若草通りを歩いているとよく見かける茶色い猫。多分、飼い猫。


俺が猫を見ていると、少し離れたところにいたくにやさんが「目線を合わせんといかんわ」と言った。僕が言われた通りしゃがみこんで猫の顔を見ていると、くにやさんも僕と顔の高さを合わせるようにしゃがみこみ、猫を見ている僕を見ているくにやさん、というような構図になっていた。



 

途中からアニキとくにやさんは自由奔放に行動し始めたため、あびさんと俺だけでジンイットブックスに向かった。

開いていないジンイットブックスの薄暗い店内であびさんは作業を始めて、僕は窓際の椅子に腰掛けて見ていた。あびさんは本の売上が良いことを喜んでいて、何故か俺も嬉しかった。

程なくして、井口さんとかめもとさんもやって来て、店内は薄暗いままだったが、少し賑やかになった。


少ししてジンイットブックスを出て、4人で帰る道中、やすよしさんが誰かと立ち話をしていて、アニキたちもその辺りにいた。

立ち話が一段落したあと、みんなでLAZARUSの方に帰る。奇抜な見た目の集団と共に行動するのは楽しい。



LAZARUSに戻って、みんな各々観たいライブの会場に移動した。誰かはAOIを観にLAZARUSに入っていき、誰かは何かを観にどっかに行った。




僕はしばらく外にいて、外にいたらAOIが終わったみたいで、伊藤さんが外に出てきて、イタロさんも現れて、僕が座っていた花壇に座った。

僕と同じように外にいたアニキが「俺の目標はクソガキなんすよ〜‼️」と俺の発言をまだイジっていて、伊藤さんが「笑い方もクソガキっぽいよな。ギャハハ‼️ギャハハ‼️」と僕の笑い方をめちゃくちゃ馬鹿にしてきて、怒って伊藤さんを小突いたら、彼はちょっと逃げながら「いてっ‼️いてっ‼️」と笑っていた。

アニキはこれからQuackeriesを観るためにfloorに行くとのことで、まだQuackeriesのライブは先だったが、早々に街に消えていった。

その他、色んな人がぞろぞろと若草通りの方に歩いていき、その中にいた藤井さんが「ほらみんな〜春ねむり観に行くよ〜」と我々やその他の人に声をかけてきた。僕はQuackeriesが観たかったからその波には乗らなかった。伊藤さんもそのつもりだったようで、しばらくした後、2人でfloor Rに行くことにした。

 


伊藤さんと2人で行動することって普段あまりなくて、2人で一番街を歩くのは新鮮だった。

伊藤さんとはほとんど目が合わなかったが、居酒屋を指さしながら「ここって昔マックだったんよね」みたいなことを教えてくれたりした。僕が知らなかった風景を伊藤さんは知っている。


「めちゃくちゃメガネロックのフライヤー貼ってありますね」

「んね…くにやさんたちの名前は載ってないね」


「FLOORのエレベーターってめちゃくちゃ煙草の匂いするじゃないですか、だからエレベーター乗るといよいよやって思うんですよね」

「確かに」

 

floor Rにはアニキがいて、アニキは俺と伊藤さんが並んで現れたのを見て、何故か「似てる!似てる!」と言った。何か雰囲気が似てるらしい。



いよいよ僕が今日最後に観るライブ、Quackeriesの出番の時間になった。

みんなまだAOIの余韻に浸ってるのか、それとも、都会から来た春ねむりさんの方に流れたのか、floor Rは信じられんくらい人がいなかった。

有り得ん!と思ったが、人がいない分めっちゃ近くで観れるからまあ良しとする。

程なくしてメンバーの皆さんがステージに立った。

みんな明らかに「人少なっ!」というような反応をしていたが、「まあまだAOIの余韻に浸ってるんですよね」と開き直って、ライブは始まった。


Quackeriesはとにかく楽器の音がめちゃくちゃかっこいいと思う。シンプソンさんのドラムまじでやばい。嬉しい音のデカさだ。そして、マイクさんやしょうへいさんが色んなところを動き回って楽しそうに演奏するから、こっちもめちゃくちゃ楽しくなる。僕の近くにはアニキがいる。アニキは歌っているマイクさんにめちゃくちゃ顔を近づけてみたり、手を伸ばしてみたりしていて、見るからに楽しそうだった。アニキが楽しそうだと、嬉しい。

何曲目かに、「I'm a barber」という曲をやっていた。

そういえばまるさんが好きだと言っていた曲であることを思い出して、でもまるさんは何かの手伝いでその場にいなかったので、すごく残念だと思った。


Quackeriesのライブはアンコール含めてマジであっという間に終わった。最後に観るのに相応しすぎるライブだった。



ライブ終わり、エレベーターの前に椅子がいくつか並べられたスペースがあって、アニキ、れなさん、伊藤さん、俺でしばらく談笑して過ごすことにした。突然、エレベーターからくにやさんが現れた。くにやさんはさっと僕に何かをくれる。見たら、ピンク色のバラみたいな花だった。僕は裾野以外でも花持たされになるのか、と思っていた矢先、アニキが俺の花に噛みついてきて、花びらの一部を食いちぎって、それから数回咀嚼した後、不味そうに吐き出した。

アニキに食いちぎられたことによって一部が欠けたバラの花を見ながら、伊藤さんに「…食べます?」と冗談で聞いてみたら、伊藤さんは「やぁだよ、クソガキ」みたいなことを言って、それからまた「ギャハハ!ギャハハ!」と僕の笑い方の真似をしてきた。伊藤さんは相当僕の笑い方が気に入ったのだろうか、それとも僕のことが気に入ったのだろうか。

 

 

Harry Potter

 

 

くにやさんも交えてしばらく話した後、くにやさんはPPCのライブを見にホールに行き、僕たちはもうライブは良いかと下に降りて、飯行こうぜとなる。

 

既にかなり酒が回っていて上機嫌なアニキは少し前の方を歩いていて、れなさんがそれに続く。僕と伊藤さんはほぼ横並びでアニキに着いて行っていた。伊藤さんは、ばったり会ったアニキの知り合いが赤い服を着ていたのを見て「GEZANみたいだったな」と呟いていたが、多分俺に向けて言ったんだと思う。

 

 

どこに行くか迷って、最終的に「伊藤さんとアニキでじゃんけんをして、伊藤さんが勝ったら新時代、アニキが勝ったら串カツ田中に行こう」ということになり、伊藤さんが勝って新時代に行くことになった。

 

新時代に入って、いちばん出入口に近いテーブル席に座る。ドアにいちばん近い椅子に僕、右隣に伊藤さん、向かいにれなさん、その隣にアニキという形で座った。

伊藤さんは「はい」と言ってメニュー的なものを渡してくれて、「あー、ありがとうございます」と言って手元を見たら、メニューではなく何か胡散臭いチラシみたいなもので、思わず笑ってしまった。「いや何すかこれ」と言ったら、伊藤さんは答えずに笑った。

 

注文という行為が苦手なので、何を頼むかとかは全任せしたら、少ししてアニキたちチョイスの色々なものが卓に届いた。



 


「で、直人は」

「えっ、れなぽんって直人のこと、直人って(呼び捨てで)呼んでんの!?」

「そうよぉ…ごめんねぇ、(直人って呼んで)大丈夫?」

「いやもう、全然」

「私はれなぽんで良いかいね!」

「おれはタメ口で良いからな」

「俺、まず呼んだことない」

 

という具合で4人で話していたら、伊藤さんはずっと僕の笑い方をバカにしていたけど、彼の笑い方も大概変であることに気づいた。「伊藤さん、ずっと笑い方バカにしてきてますけど、伊藤さんもなかなかですよ」と言ったら、伊藤さんは不満そうな顔で「は?」と低い声で言って、それから「えっと、どんなんだったっけ。ギャハハ!…ん?ギャハ!ギャハハ!」という感じで、俺の笑い方を思い出そうとチューニングみたいなのをし始めた。

 

まるさんも呼ぼうとなって、誰かがまるさんに連絡を入れたが、まるさんは中々来ず、結局4人で致死量の鶏皮の串(伝串)を食って、そろそろ帰らなきゃいけない時間になったので、まるさんのことは諦めて店を出る。


伊藤さんの車で駅まで送ってくれることになった。

伊藤さんが運転席、アニキが助手席、僕とれなさんで後部座席に座る。

車内で何故か血液型の話になって、アニキが伊藤さんに向かって「伊藤ってもっと珍しい血液型だと思ってたわ」と言うと、れなさんが「何?ぎょう座とか?」と言った。いきなりれなさんがしょうもないボケをかましてきたことが何かめちゃくちゃ面白くて、俺は思わず大笑いしてしまった。それを見たアニキとれなさんが「これで笑うのはおかしいだろ」「直人が笑ってくれたからいいとよ!」と言い合い始める。伊藤さんは運転しながら「ギャハハ‼️ギャハハ‼️」と俺の笑い方を馬鹿にしている。ビデオカメラを回したい瞬間だった。俺は笑いながら、何だかすごく泣きそうだった。



直人



とても良い写真