百合の花咲く谷間の物語

百合の花咲く谷間の物語

日頃の生活のよしなしごとをつづります

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つぶつぶの色の群れが静かに時を刻み
鳥や獣の声がこだまする時
閑寂の森が大きく呼吸を始める
差し込んだ光に風がささやくと
澄んだ奥深い青がエメラルドに変わる

生きとし生けるものが憩い集う森
湿り気を帯びた命の園
刻まれたぬくもりの記憶が蘇る
エメラルドグリーンの世界に宿る数知れぬ足跡

雫の一筋が森をつたい
細長く伸びた蔓が地上に届く頃
深紅の鳥が空に飛び立つ
悠久という名の奥深い森
少し霧がかったエメラルドの夢
室温2℃

よく晴れた日の朝
なのに風呂場の窓は凍てついて動かない
その窓と同じように少しこわばった身体を
少し無理しながら 少し力を入れて 少しずつ伸びをする

霜枯れた自然公園の通り道には
小さな足跡がテンテンと続いている
色あせた枯れ葉がハラハラと舞い落ちる
そこだけが周りと隔離されたような時間

ゆらり ふわり ひらり

あるものは紙飛行機が飛ぶように
あるものは回転しながら真っ直ぐに
またあるものはブランコのように

透けるような青い真澄の空に 褐色の雪が降る
手の届かない高さから地上に生命を託していく

氷の張った池には50を超すカモが身を寄せ合い
太陽が訪れる時を待っている
身を震わせ羽繕いをする姿に
聞こえるはずのない音を聞く

地上で朽ちていく枯れ葉達は霜という服に身を包み
寄り添い合って暖をとるかのように固まっている

コゲラが樹をつつく音が静かにこだまし
枯れきった藪の中をシジュウカラが騒ぐ

なんにもしたくない

そんな日




寒空の小道を少しうつむき加減で歩く途中
頬に小さな雪が触れたような瞬間
小さな声が漏れる

遠い時間がやって来たのか
遠い時間に戻ったのか
まるでわからないけど
理由なんていらない

会いたい気持ちを詰め込んだ封筒
いつかを夢見て波打つ便箋
幾重に重なる月日
降り積もる季節

時間は簡単に過ぎる
でも簡単に取り戻せる
壁なんてない
あるのは無という空だけ

ぬくもりにあふれた背中に腕をまわし
触れたことのなかった身体をつつむ
やわらかな髪が頬を撫でる
知らなかったはずの香が
まるで知っていたかのように鼻をくすぐる
両手に抱えきれないほど会った話題も消えてなくなる
まるで跡形もなく
頬にこぼれそうな雫
声が変わっていく

想像を超えた感動は言葉を奪う
ただそこにあるという現実が心焼き付ける
深く 熱く しかも くっきりと

指先を離れたぬくもりと交わすサヨナラ

山 また山と出会わず
人 また人と出逢う


恋をしたい

我を忘れるような恋でなく

見つめるだけで震えるような淡いものがいい

草花に話しかけるような微妙なものがいい

はらはらと舞う枯葉のような儚いものでいい


わからないけど


ただ 人を好きになりたい

好きだなぁ って素直に言える

そんな感じのものでいい

結ばれなくてもそれでいい

すべてを忘れる時間が欲しい

少しだけでいいから


降り出した雨に寄り添う二人


世界が


止まった

卒業式で渡した絵
君は今でも持っててくれて
卒業してからもらった手紙を
僕は今でも持っている

郵便受けに落とされたマドンナからの手紙
見知った文字に変わらぬ親しみが溢れてる
帰国直後の素敵な雷

「来年はぜひ作品を直に観てみたい」
叶うかしれぬ淡い約束
今の君は雪降る土地で新しい家族と暮らしてる

あれからいくつの日が流れ いくつの年が重なっただろう
降り積もった歳月など一瞬に消える
手紙という名の心の絵
互いが選んだ違う道
時間と距離を超えて行き交う伝書鳩
いつともしれぬ神の望む日

幸せってこういうこと

花の終わった百合一輪
秋風に大きくその身を揺らしてる
ピアノの余韻が空の雲と同じ速度で渡っていった