博多ポートタワーから全景が見下ろせる福岡国際会議場、マリンメッセ福岡 B館、福岡サンパレスを会場として、第63回日本リハビリテーション医学会学術集会が開催された。
私は現在、宇宙空間でも利用できるかもしれないCKC筋力評価トレーニングの方法について研究しているので、下記の講演に非常に興味があった。
教育講演41
宇宙医学とリハビリテーション医学
杏林大学 医学部 リハビリテーション医学
山田 深 先生
【抄録抜粋】
国際宇宙ステーション(ISS)における長期滞在ミッションは,宇宙を「一時的に訪れる場所」ではなく,「生活の場」として捉える視点を決定づけたといえる.ISS計画におけるエクササイズおよびリコンディショニングは,ミッションを成功に導くために不可欠な業務として位置づけられている.
現在進行中のアルテミス計画では,月面での滞在と反復的な船外活動が想定されている.月面は地球の約6分の1という部分重力環境であり,筋骨格系への機械的負荷は不十分となる.限られた環境下で実施されるエクササイズには,筋力維持にとどまらず,運動耐用能,バランス能力,作業能力の維持が求められる.
将来の有人火星探査では,数か月から1年以上に及ぶ微小重力下での宇宙航行と,火星表面における約3分の1重力環境での長期滞在が必要となる.限られた水や食糧,空間や機器など多様な制約の中で実施されるエクササイズは宇宙飛行士の健康管理における必須の要素であり,帰還後の機能回復までを見据えた包括的な戦略が求められる.
【講演メモ】
国際宇宙ステーション(ISS)の無重力下で脱力すると両上肢を前方に持ち上げて椅子にだらりと座ったような格好になり、これを「Neutral Body Posture」という。
無重力環境に長期に滞在すると、以下の様な身体の変化が起こる。
「宇宙飛行関連神経眼症候群(SANS: Spaceflight-Associated Neuro-ocular Syndrome)」:無重力環境下では、血液などの体液が上半身や頭部へ移動するため頭蓋内圧が上昇し、それが眼球や視神経に悪影響を及ぼす現象が確認されている。視神経乳頭浮腫(うっ血乳頭)等が起こる。
その他に、内頸静脈に静脈血栓を生じた宇宙飛行士が見つかった。
宇宙飛行士は無重力環境での筋骨格系の萎縮を防ぐために毎日、有酸素運動を1時間、筋トレを1.5時間、合計2.5時間のトレーニングを行っている。通常は週に1日休みだが、休まずに毎日運動する飛行士もいる。
有酸素運動はエルゴメーターとトレッドミルの器機が設置されている。
エルゴメーターは立ちこぎである。
トレッドミルはハーネスとバンジーコードで足底がトレッドミルに押しつけられる仕組みになっている。
筋トレはAdvanced Resistive Exercise Device (ARED)(エイレッド)というエアーで負荷をかける装置で、スクワットやベンチプレスなどの運動を行う。
月へ飛ぶアルテミス計画ではこのような大がかりな装置は持って行けないので、小型で円盤を回転させて負荷を生じるケーブル式の運動装置が採用されるとのこと。
これは弾み車(フライホイール)を利用しているようだ。フライホイールは、回転する重い円盤にエネルギーを一時的に蓄え、その慣性でトルクや回転数のムラをならして機械を安定して回す仕組みのこと。







