2009年5月23日のエントリーに追記しました。
「捻挫」「打撲」「肉離れ」など、運動中のアクシデントや疲労に起因する肉体の弱さ、集中力の欠如ににより、怪我を負うことは珍しくありません。
そんなとき、応急処置はどのようにすれば良いのか?
今日は応急処置の基本である「RICE処置」について書いてみます。
「捻挫」や「打撲」によって起こる「炎症」は、患部の速やかな回復を妨げます。ですから、受傷(アクシデント)直後に「RICE処置」を行うことによって、できるだけ炎症を抑え、患部の回復を早めることが重要です。
故障の回復スピードは、受傷直後の応急処置が正しくできるか否かにかかっていると言っても過言ではありません。
「RICE処置」は、一般的に受傷直後に行いますが、痛みや腫れがあるときはもちろん、慢性的な症状があるときにも有効で、この場合は運動終了直後に行ってください。
■RICE処置
Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)という、4つの処置の頭文字からRICE処置と呼ばれています。
★ Rest(安静)
受傷後は直ちに運動を中止し、患部を動かさずに安静を保つ。
★ Ice(冷却)
患部を冷やすことによって毛細血管を収縮させ、損傷した部位の腫れが拡大するのを抑える。また、冷却による鎮痛効果もある。
実際には、氷のう(ビニール袋に氷を入れ即席の氷のうを作ってもよい)やコールドパック、コールドスプレーなどを使用する。
損傷の程度、部位により異なるが、15~30分の冷却後、30分ほど間隔を空けて、同様に冷却する。受傷後24~72時間はこのサイクルを繰り返す。
ただし、損傷程度のみならず、個人差も考慮し、本人の感覚を重要視すること。痛みを感じなくなったまま冷却を続けると、凍傷の危険も孕む。凍傷を回避するために、ティッシュや薄手のハンカチなどを介して冷却するのも良い。
--- 2011年4月22日 追記 ------
※ 現在、最新のアイシング・テクニックとしては、患部を冷やし過ぎず、症状ごとの適温に患部の温度を制御することが重要視されています!
その根拠として:
15℃以下 → リンパ液の排泄が阻害される。
10℃以下 → 下記のものが阻害される。
- 固有受容性感覚(位置覚、運動覚、抵抗覚、重量覚により、体の各部分の位置、運動の状態、体に加わる抵抗、重量を感知する感覚。)
- 繊維芽細胞(上皮組織、筋組織、神経組織を構成する細胞の1つ)の形成
- 毛細血管における微小循環
5℃以下 → インパルス(神経刺激)の伝達。
よって捻挫や打撲など一般的に運動によって引き起こされる外傷の殆どは、アクシデント発生直後から、氷のう等、患部の冷却に使用する媒体の温度が下記のように保たれることが理想的です。首やウエスト周囲の適正温度にご用心!
前額部・頭部: 16~20℃
眼瞼部: 12~16℃
鼻部: 16~19℃
頬部: 14~17℃
下顎部: 14~16℃
頚部: 17~20℃
胸部: 17~19℃
肩部: 12~18℃
腹部・腰部: 27~29℃
腕部・手部: 13~19℃
臀部: 14~18℃
膝部: 12~17℃
下腿部・足部: 13~18℃
(1回3時間程度-症状軽減まで断続的に繰り返す)
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★ Compression(圧迫)
腫れや炎症の拡大を抑えるため、幹部を適度に圧迫する。冷却に氷のうを使用する場合は、氷のうを当てたまま上から伸縮包帯やバンドなどを巻く。
冷却後も、テーピングやパッドで継続的に圧迫した方が良い。
★ Elevation(挙上)
心臓より高い位置に挙上することで、重力を利用し腫れや炎症を抑える。