さて、前回まで「バレエ(運動)時の水分補給について」追求してまいりましたが、最終回です。


これまでご紹介してきた方法だけでも、一般的には充分にパフォーマンスを発揮することが可能だと思いますが、更なるプラスアルファを求めてみましょう。



BCAA(Branched Chain Amino Acid:分岐鎖アミノ酸)を追加する


運動時のエネルギー源となるのは、主に糖質と脂質ですが、運動量(強度)が上がれば上がるほど、アミノ酸がエネルギーとして使われる比率が高くなります。


もともとアミノ酸は、主に筋肉をはじめとする様々な組織を構成するタンパク質成分である他、身体にとって様々な重要な機能を担っています。


多くのアミノ酸は体内で酵素の作用によって合成されますが、9種類のアミノ酸については体内で合成されないため、食事など外部から摂取する必要があります。この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸(トリプトファン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン)」といいます。


中でも「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」はBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ、筋肉を構成している必須アミノ酸の約30~40%を占め、運動時に効率よくエネルギー源として利用されます。また最近では、筋タンパク質の合成を促進し、筋肉のコンディションを維持するという報告もあります。


ところが、血中のBCAAが不足すると、筋肉(たんぱく質)を分解してBCAAを取り出そうとする・・・つまり、運動量(強度)が上がれば上がるほど筋肉は分解され、筋肉を発達させるどころか、良好な状態に維持することすら困難になってくるのです。


ですからBCAAを運動前後に補給するのは、非常に重要で意味のあることなのです。


BCAAはスポーツドリンクやサプリメントによって摂取できますが、普段用意している飲み物に加えて粉末状のもの(アミノバイタルなど)を利用すると便利かもしれません。


補給は運動の30分前までに!


ちなみに魚、卵、牛乳など、タンパク質が豊富に含まれる食品、および母乳に含まれるバリン・ロイシン・イソロイシンの比率はおよそ1:2:1だそうです。



まとめ:運動時~運動後に理想的な水分補給のポイント


1. 自身の体調、その日の現地(スタジオ、舞台会場など)の気温、湿度、運動量(強度)によって適量目指して調節。これは個人差があるので、日々の実践でコツを掴むしかなく、アナログなものなのです。


2. 飲料をガブ飲みせず、咀嚼しながら徐々に飲み込む。これは吸収スピードを速める効果、飲料を体温に近づけ胃腸への刺激を軽減する効果があります。


3. 飲料にはナトリウムを中心としたミネラルが含まれること


4. 飲料の糖質濃度は2.5~5%とする。


5. 糖質の種類はマルトデキストリンとブドウ糖のミックス。蜂蜜も良い!


6. +αとしてクエン酸やBCAAを追加する。


7. 1時間以上の運動であれば、30分前までに250~500ml運動開始~終了までに1時間当たり500~1000mlの水分を補給する。一度に飲む量は200ml前後、それを10~15分置きに


8. 運動直後(できれば20分以内)に、水分と同時に炭水化物(糖質)、たんぱく質(吸収効率の高いホエイプロテイン)、ビタミン類(B群・C・Eの充実が理想)も補給する。


9. 運動後の水分補給は、食事量が減らないよう200~350ml程度にする。



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