前回、「意識することの難しさ」を書きましたが、補足です。


どうしても下腹の奥を意識し辛い場合は、下腹を手で触れながらやってみてください。筋トレ、ストレッチなど、対象となる筋肉を意識することが非常に重要なのですが、このときも手で触れてあげると効果が上がりやすくなりますよ!


さて、今日のテーマは「柔軟性が低下したことによりコントロールできなくなる」です。



---【大前提】-----------------

■バランスボールの基礎知識(追記あり)
http://ameblo.jp/svcam/entry-10200336809.html
・特に「基本姿勢」←コレが大事!

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■柔軟性が低下したことによりコントロールできなくなる


僕はよく患者さんに「筋力と(筋肉の)柔軟性を高めることが重要」だと言います。


しかし、世間では「筋力」と「柔軟性」が反比例するものだと誤解されていることが非常に多いのです。



例えば、「試合(本番)前にはあまりストレッチをしない方が良い」という話を聞いたことがありますか?


当然、”し過ぎ”は良くないですし、これは「筋肉が伸びきってしまい収縮力が低下する」という理論に基づいた話です。ですから間違いではありません。


しかしこの話は、筋肉の「柔軟性」について正しく理解していないと、「ストレッチは良くない」と誤解してしまう可能性があるのです。



そもそも筋肉の「柔軟性」とは何でしょうか?


1.身体の柔らかさ?(180°開脚できるなど可動域が広い)

2.触れた感触の柔らかさ?(ストレッチやマッサージで柔らかくなるなど)



どちらも筋肉の「柔軟性」に関わるもので、確かに間違いではないのですが、今日知っていただきたいのは


☆ 筋肉の柔軟性が高い=筋肉が良く伸縮する



ということです。



「な~んだ、常識じゃん」とか言わないでください。


「筋肉の柔軟性」と聞いて、良く伸びることの重要性は分かっていても、「良く縮む」ことの重要性をしっかり認識してた方、少なくありませんか?


なぜなら、「トレーニング=縮める=硬くなる」「ストレッチ=伸ばす=柔らかくなる」というイメージが圧倒的に広く認識されていると思うからです。


決して間違いではありませんが、補足して言い換えると「筋肉を縮めてばかりでは硬くなってしまうが、トレーニングの方法によっては柔軟性を損なわずに済む」のです。


そこで、本題の「柔軟性が低下したことによりコントロールできなくなる」という意味を簡単に説明しましょう。


筋肉は疲労してくると、硬くなります。実際に触ってみてもその硬さは分かりますし、伸びにくくなり、そして縮みにくくなるのです。


縮みにくくなるということは、いわゆる筋力を発揮することができませんよね?


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ひとくちに筋肉が収縮(縮む)すると言っても、こんなに種類があります。


◆等尺性筋収縮=アイソメトリック
筋肉がその長さを変えないで力を出す筋収縮様式


◆等張性筋収縮=アイソトニック
筋肉が長さを変えながら力を出す筋収縮様式のことをいい、筋肉の力の出し方の違いにより短縮性筋収縮とがある伸長性筋収縮がある。


※短縮性筋収縮=コンセントリックス
筋肉が短縮しながら力を発揮する筋収縮様式


※伸長性筋収縮=エキセントリックス
筋肉が伸長(引き伸ばされながら)しながら力を発揮する筋収縮様式


★実生活の中で、もしくはバランス系のトレーニングの中で、最も活動している収縮様式は「伸長性筋収縮=エキセントリックス」であると僕は考えています。
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疲労して筋肉が硬くなると、引き伸ばされる力に対して筋力を発揮できなくなるため、自分の意思でコントロールすることが難しくなります。これは多くの場合、筋肉は伸ばされるか縮めるかどちらかの方が意識しやすいからです。


で、結局、姿勢を維持できない、もしくはバランスを取り辛くなってしまう訳です。


そこで、トレーニングの前後に必ずストレッチをするのが望ましいのですが、更に、インターバル中(合間)にも軽くストレッチを入れて縮み硬くなった筋肉を伸ばし、血流を促進させます。固まったと感じる部分を(可能な範囲で)大きく動かすことも有効です。


こうして、こまめに筋肉を疲労から回復させながらトレーニングを行うのです。これが「トレーニングの方法によっては柔軟性を損なわずに済む」ということです。


そして、筋力と柔軟性が高まると、試合(本番)前に普段通りのストレッチをして筋肉の収縮力が低下するということはありません。


クラシックバレエのトップダンサーの方など、舞台の袖でめちゃくちゃストレッチしているじゃないですか!(中には生まれつき筋肉が非常に柔らかく、あまりストレッチをしない方もいらっしゃいます)


普段通りのストレッチをして本来の力を発揮できなくなるというのは、筋力不足に一因があるのです。