文字ののさばる世界において
得てして美しい女というのは
人に非ず
半透明な心技体を持ち
ひらりと読む視点の
真ん中に着地する
僕はその体を掴もうと
躍起になるが
左手は空を切るばかり
どれほど
水晶体を変形させただろうか
凸状レンズを屈服させるほど
僕は君に会いたかったのだ
ようやく会えた
人間にとても
よく似ている でも
君の頭の上には皿が乗っている
大切にしないと
死んでしまうのです
と彼女は云った
だから大切に扱ってください
と彼女は云った
その日から
彼女は僕の食卓になった
彼女が捧げる食物は
義務と必然でもって
僕の空腹を満たした
割れるものだと知ることは
認識というより常識に近く
半透明さを失った彼女は
世の常識に従って死んだ
皿が割れたわけではなかった
皿なんて
たかが皿なのだった
常識を鈍らせた僕が
彼女を大切に扱わなかった
結局はそれが原因だった
割れた彼女を箱に詰めた
猫の額ほどしかない
小さな箱に
僕は今日も生きている
間違ったふりをして
間違ったままで
iPhoneからの投稿