風、猫、影の3領主が現在の領主に変わってから数年がすぎ妖精郷はゆるやかに新時代へ向けて動き始めていた
~ユグドラシルシティ・エギルの酒場~
この日は店主のエギルの計らいで店を貸しきりにしてもらいキリトと風、猫、影の3領主たちが店へときていた
「久しぶりだなお前ら」
「貸しきりにしてもらって悪かったな」
「さすがに領主が3人もきてるとなるとあけたままにできんからな」
「私たちの家だとあの子達がいるから下手な話はできないしね」
「うちの子なんてノゾミちゃんと目を輝かせて聞いてそう」
「エギルさん、リズさんとクラインさんはきてないんですか?」
「あいつらにも頼んで情報集めしてるんだよ」
「何かわかったことはあるのか?」
エギルが考え込んでいるとキリト達は顔を見合わせエギルが口を開くのを待った
「お前達にとってはいい方のことかもしれんが時代が動き始めたようだ」
「どういうことですか?」
「音と工房は領主が変わるらしい」
「他は?」
「確定してないが土もだな」
「後は火と水と闇だね」
「火の方はクラインに調べてもらってるが期待薄だろうな」
「リズには何を頼んだんだ?」
「店にくる客から情報集めしてもらってるんだよ」
「ちなみに音と工房はレインとセブンなのか?」
「当面は両方とも代理を立てるらしいけどな」
「あの2人なら話は通しやすくなるね」
「問題は火と水と闇か」
「正直その3つに関しては不確定な情報が多すぎてな」
「私たちの知り合いでは火はクラインさんしかいませんし」
「あいつも俺達の世代のやつだし受けないだろ」
ここまで話すとエギルの表情は渋い表情となり言い辛そうに口を開いた
「ここからが悪い方なんだが火の方がどうもな」
「クラインが何か言ってたのか?」
「あいつの話しだとどうも分裂してるらしくてな」
「次の領主をめぐってですか」
「リーファとシリカのところにもちょっかいを出してたのいただろ?」
「ユージーン将軍の部下ですか?」
「そいつらとカゲムネが対立してたのが分裂にまで発展したらしい」
「内部分裂だね」
「カゲムネはよく思ってなかったみたいだからね」
「領内のことだし俺達は放っておくしかないだろ」
「私たちの領まで飛び火したりしませんよね?」
「お前達の領にまたちょっかいを出すかもしれんな」
「そうなったらあの子達に頼むしかないわね」
「お前達の娘だろ?」
「俺達の娘ではあるけど領主がわざわざ出る訳にもいかないだろ」
「それに妖精剣舞(フェアリー・ブレイドダンス)をあの子達に継いでもらってからもう数年経ってるしね」
「<迅雷>に<桜花>と<雷華>、<絶対零度>二つ名持ちが4人いるし」
「親衛隊よりも強いと思いますよ」
火妖精の過激派の暴走を心配していたエギルだったが4人の親バカに嘆息しため息をついた
「いずれにせよ時代はようやく新時代に動き始めたのは確かだな」
「これからがどうなるかよね」
「お前達は火妖精の件には関わるつもりはなんだな」
「子供たちに任せるさ。俺達は出張る気はないけどな」
「私たちも直接出る気はないし子供たちと親衛隊に任せますよ」
「うちは要請があれば支援はするけど基本的には中立かな」
「フィリアちゃんのところは要請しなくてもノゾミちゃんとスズネちゃんがいますし」
「うちの子が調子に乗らないといいけどね」
「それはうちのもかな」
「手に負えないようなのが出てくれば多少は出張るかも知れんけどノゾミたちならそうそう手に負えない相手なんていないだろうけどな」
「後は水と闇がどう動くかだな」
「読めないからなんとも言えんのがな」
火妖精領内での内部分裂、全く読めない水と闇の動向
新時代へ向け不安要素を抱えつつもゆっくりと確実に時代の歯車は動き始めていた
ーつづくー
ーあとがきー
新時代へ動く妖精郷を書いてみました
次回は竜使いと竜殺しの剣を書いてみようと思います
シリカとスズネの話しです