後編です。
何だか普段見せる優男さんの甘く蕩ける姿勢とは少し違うやも?な今回。
兄さんの事なら何でも読んでしまう優男も時々読めない時がある。
とね………そんな内容でもあるこのお話。たまにチラホラ出たりしますが今回はドドーン!とお届けするのもまた美味しい←
しかーもあの!優男が兄さんを強く叱る場面ってのも物珍しい気がしますがー………(笑)
さて参りましょうっ!!普段は温厚、激甘優男が今回ばかりは違う顔も見せてるね。男な優男と色気ダダ漏れ兄さんって正きも時々エロ模様!?それも勿論大好きでっす!!なーんて言ってくださる二人の熱い場面を堪能したい方は胃薬と暴れる場所をご用意の上どぞっ!!(どんなだよ
【正しい気持ちの伝え方・番外(迷心・後編)】
「此処も僕は、好きですよ………」
囁かれる声にビクリ身体が揺れる。
部屋の灯りに照らされ剥き出しとなった白く浮き上がる鎖骨へとカリッ。歯を立てられてイェソンは浅く息を詰めた。その場所を柔らかい舌が優しくなぞっていく。
「眠るには……まだ早い。」
もう何度目の熱を吐き出しただろう?
冷えた床の感触すら熱く感じる程互いの熱を共有している。もう嫌だと告げているのに、無理矢理入れられたキュヒョンの熱は衰える事を知らない。
意識が遠のく度に至る場所へと歯が立てられて、その度に嫌でも意識が浮上する。
「まだ、足りない………」
低く腰へと響く声は普段の彼らしからぬ狂気にも似た音を含ませる。こんなにも激しく求められた事なんて………無い。
「もう声も出ない?」
クスリ笑う姿は何時もの彼と同じモノ。
「でも………まだ離しては、あげられない。」
なのに放たれる言葉はとても強い響きを帯びる。
時折荒く攻め立てられて、もう何度となく放たれた熱が身体の中で嫌な音を立てるのに。
それでもまだだと彼は言うのだ。
「こうして僕に抱かれている貴方は……本当に綺麗だ………」
普段の愛らしく笑うイェソンとは違う顔。
赤く熟れた唇も、上気した頬も快楽に伏せる瞳もその全てが綺麗なのだと。
「誰にも見せないその顔も……僕だけに見せてくれる貴方だって………」
スルリ頬を撫でてキュヒョンは仄かに笑う。
「なのに………僕が貴方を、捨てる………?」
「………………ッ……ン……………やっ」
イヤイヤと首を横に振る。
もう力の入らなくなった身体は腕すら上げられない。
それを知っていて、キュヒョンは敢えて強めにイェソンの腰を引き寄せた。
「そう思わせた僕に………腹が立つ。」
「…………………ヒョ、ナ……?」
小さく呟かれたのはイェソンへと向けられた怒りでは無く、キュヒョンが自分自身へと向けた怒り。
それにイェソンは虚ろな瞳をユルリ目前の相手へと向けた。
「時々貴方を判ってやれない時がある……」
互いの唇が触れるか触れないかの距離。吐息は熱く、それだけで全身へと甘い痺れが走り抜ける。
「だけど僕は貴方じゃないから……きっと一生、全てを判ってはあげられない。」
それは仕方のない事だと、そう割り切ってはいるのだと。
「だけど………悔しくて、苛立つ。」
そんな自分自身に、苛立つ。だからせめて自分がどれだけ相手を愛しているかを。
「どんなに囁いたって、貴方が僕の想いを信じられないなら……」
その理由を今の自分は読んであげられないから。
「もう、こんな形で伝える事しか………僕には出来ない。」
そのまま床へと預けられていたイェソンの身体を引き寄せる。辛うじて肩へと掛かっていたシャツはスルリ腕を滑り落ち。細いその肩口へと、また紅い跡を一つ。
「貴方の全てに………僕を刻んでやる。」
切なさと苦しさを織り交ぜたその瞳の強さに、イェソンは目の前が霞む気がした。
キュヒョンがこんなにも激しい想いを持っていただなんて知らなかった。
何時も優しく、仕方ないなぁと全てを受け止めて微笑んでくれる優しい旦那様……
自分よりも大人で何にも動じない、そんな彼ばかりを見ていた気がする。
だけど本当はこんなにも激しい心を押し止めて、自分を見守ろうと必死で強さを演じていただけなのかもしれない………
いや、前にもそんな彼を見た気がしたのに………きっとそれは自分の身勝手で、押し殺させていただけに過ぎない。
「……ッ…………お、れを……すき……?」
何とか紡いだ言葉にそのまま身体を引き寄せられる。
繋がったまま膝の上へと乗せられて、その事で深くなった場所がまた悲鳴を上げるけれど。
「貴方が、好きです。」
真摯な眼差しのその言葉が、痛みを和らげてくれる。
「おれを………あい、してる……?」
気だるさを何とか騙して大好きな頬へと手を触れる。そうすれば熱情だけを篭らせた強い瞳を向けて、彼は必ず欲しい言葉をくれるのだ。
「貴方だけを、愛してる。」
旦那様の想いを疑った事なんて無かった。何時だって彼は自分を見ていてくれる。それはあの痛みを与える言葉を聞いた時ですら、信じて止まない強い想い。
ただその確証を持てる程…………自分に自信が無かっただけの。弱くて小さな自分自身の心のせい。
だから、もっと強くなれる言葉を。
「おれを………」
絶対に不安を感じない事なんてきっと出来ないけれど。怒りでもいい………彼が。キュヒョンが自分だけを想っているという、その強い想いを。
「俺を………すてな」
「その言葉は、聞かない。」
言葉と共に深く甘いキスが降り落ちる。
頬へと触れていた手をキュヒョンの首筋へと回し自ら角度を変えて。
こんなにも自分から彼を求めたのも、初めてかもしれないとイェソンは乱した息で深く舌を絡めていく。
「………好きで、いて。」
コツリ額を合わせて囁くのは、我慢しようとしていた求めるその想い。
「あい、してて………」
俺だけを。
「……………ずっと?」
そんな風に態と聞かれる事へと、イェソンは少しの間を置いてから。
「……………ん…………ずっと。」
蕩ける様な微笑みがイェソンへと向けられる。そうしてまた深くキスを贈られるその瞬間に、心臓が止まるんじゃないかと何時もイェソンは思うのだ。
「キュヒョナの………ばか。」
だから照れ隠しにと、吐息と共にそれを言えば彼はまた幸せそうに微笑むのだ。
「そんな『ばか』を好きな僕の奥様も……きっと『ばか』です。」
囁きは極上の甘さを帯びて。
更けていく夜の闇へと深く静かに溶け込んだ。
優しい感触と朝の光に意識が浮上する。
額に瞼に、頬に鼻の頭にと………至る場所へと感じるその感触は愛して止まない大好きなモノ。
「……………や。」
まだ眠いのだ。それを訴えてもそのキスは降り止む事を知らないらしい。
「もう10時、回ってますよ?」
クスクスと囁く声は何時もの優しい旦那様の甘い声。
それに心地良さからまた意識が遠のくけれど、旦那様はそれを許してはくれないのだ。
「貴方の『大切な子達』がご飯はー?って……泣いてます。」
同時にヌッと目前に差し出されたモノに、イェソンはパチパチと目を瞬いた。
「10日に一度、でしょう?」
言われて目の前に出されたのは丸々とした形のサボテン。タンコマと名付けたソレは、キュヒョンが買ってきてくれた大切な自分の子供の一人。
大好きだった愛亀のタンコマが成長し過ぎて少し前に水族館へと寄付した。その別れは本当に辛くて、心にポッカリと穴が空いた気がして………
そんな時にキュヒョンが買ってきてくれた一つのサボテン。丸々としたフォルムが何だかタンコマを思い起こさせて、それからイェソンは毎日の様に成長を楽しみにサボテンを眺め見ていた。
だからだろうか?キュヒョンはその後も色々なサボテンを買ってきてくれて、今では数十種のサボテンが大きなテラスへと列べられている。
「『一つの笑顔』を手にしたら満足が先立つ……だから次『の笑顔』へと執着し始めて……それは駄目だってね?判ってるんです。なのに、止められない……』」
「…………キュヒョナ……?」
突然言い出した言葉にイェソンは困惑する。
それには笑顔だけで返して、キュヒョンは尚も言うのだ。
「今思うと『サボテンを買ったのは』失敗だったのかもしれない………そう思ってしまう自分が嫌なんです……最低なのは判ってます…でも今は『ジョンウニヒョンがこの子達の』近くに居るだけで…正直辛い…」
言い終えると同時に軽く唇へとチュッと音を立ててキスを贈られた。
が………イェソンは聞き慣れた様で初めて聞くだろうその言葉に呆然とキュヒョンを見つめるばかり。
「貴方に言える訳が無いでしょう?サボテンに………ヤキモチ焼いてるだなんて………」
ふいっと目線を逸らして。そう言ったキュヒョンはハァッと深い溜息を吐き出した。
キュヒョン曰く、暴走にも近い形で自分を抱いた後。気絶した姿を眺めながら思い出したのだと言う。
「何処かで聞いた言葉でしたけど……僕が思っていた事とは余りにも違っていたので。」
だからイェソンの気持ちに気付くのが遅くなったのだと彼は言う。
「買わなければ良かっただなんて……貴方が泣くに決まってる。」
大切に育てて何時かタンコマの様に大きくなるのを楽しみにしているイェソン。掌よりも小さなそのサボテンがそんなに大きくなる事は絶対にナイと突っ込みたい所だが、それでもイェソンのその気持ちをキュヒョンは大切にしてやりたかった。
だが。
「僕は思ったよりも、心の狭い人間だったみたいです。」
人間にならまだしも、まさかサボテンに嫉妬するとは自分自身でも思わなかったらしい。
だからヒチョルへとそれを告げて、思い切りバカにされたのだとまた頬へと一つキスが降り落ちる。
「やっぱり僕は、貴方が言った通り『ばか』ですね……」
ギシリとスプリングの音を響かせて。ベットの端へと腰掛けたキュヒョンは背を向けてしまう。いつの間にベットへと寝かされたのかも記憶にないが、それは今は二の次だ。
イェソンは激しい夜のせいで気だるさが残り過ぎた腕をどうにか上げて、キュヒョンの服をツンツンと引き。
「………かわい」
「それ言ったら泣きますよ、僕?」
背は向けられたまま。きっと言いたくナイ事を告げて照れを隠しているだろうキュヒョンに、イェソンは数日ぶりの笑顔をその口元へと彩らせて。
「そんな『ばか』な旦那様が、俺は………好き。」
だから自分もきっと『ばか』だと。
向けられた背へとチュッ唇を寄せての言葉に、キュヒョンはやっと顔を向けて。見せるのは何時もの困った微笑みと、仄かに照れたその眼差し。
「………だから貴方には、負けるんです。」
頑張って部屋を綺麗にしてくれなくてもいい。料理だって何だって、イェソンが居て初めて感じれる生活の一部なのだから……だからそんなに頑張らなくたって戻って来るのは。戻りたいと思うのは、この場所だけ………そうキュヒョンは笑顔を向ける。
言葉にしなければ判らない事がある。
優しさだけじゃない。喧嘩をして互いの想いを曝け出して………そんな事を出来るこの場所が、一番大切。
「タンコマ、いつでっかくなる?」
「……………砂時計に、聞いてみますか……?」
また何時もの様にコテリ首を傾げる姿に笑顔を向けて。窓辺に置かれた二人の大切な砂時計へと困った質問を託してみよう。
自分達の時間を永遠に見続ける。この大切な砂時計はきっとサボテンの成長も、何時か消えいく自分達の魂の代わりにずっと眺めていてくれるから………
※(前中後編)と題してお送りしたこのお話…………
まさかのサボテン落ちっ!!!!
いやぁ……サボテンにまでヤキモチ焼くとは、流石は優男。見事に兄さんから「可愛い」なーんて言葉を頂きましたよ嗚呼男前ドコ行った?←
こんな【正きも】もあるのですって二人の日常描いてみましたがー………ええ。やぱーり最後は甘いですな胃薬胃薬…(キョロキョロ
ご希望の誕生日プレゼントに添えたかどうか…
皆様も久々な二人を楽しんで頂けたら幸いです。
ではではまた何時か…………