続きです。
今回は(どっち?編)でございます。
何とも断片的なサブタイトルですがー。そうそう皆様、昨日とある読者様がこの長ーいタイトルの略称をね?ポロリとお話している時にお零しになられまして。お!それ良くなーい?長いしタイトル他で書く時凄く助かるでしょコレ!!とまぁピカーンなりまして(他力本願)
今日からこのお話、略称として【正きも】とさせて頂きます!!
(正)しい(きも)ちの伝え方。いいじゃありませんかスラリと言える!
そんな訳で私は今日からそう呼ばせて頂きますがー。
皆様も好きなよーに略称付けてやって下さいませ♪
さてさーて。長ーくなりましたが。前回ギュ氏の出番無かった分、今回は存分にその存在を主張しております!
出たよ優男今度はどんな手で兄さんを甘やかすんだ?お手並み拝見と行こうじゃないか!なーんてあのキュヒョン氏すら上から目線で見れる強者な方はどぞっ!!
【正しい気持ちの伝え方(どっち?編)】
深夜も2時を回った頃、キュヒョンは疲れた体をほぐすように首を回しながら自室の扉を開いた。先ず最初に目を向けるのは自分のベット。恒例となってしまったその癖は愛しい恋人がソコにちゃんと居るかを確かめる為。
布団の膨らみを見て満足そうに少し微笑むと、なるべく音を立てないようにと寝間着に着替える。風呂は明日の朝入ればいいだろう。
深夜帰宅の時はそう決めているキュヒョンはそのままの足でモコリと膨らむベットの中へと身を滑らせた。
「ただいま、ヒョン……」
返事の無いだろう相手の体を引き寄せて腕の中に閉じ込めようとした瞬間、背中を向けていた体がクルリと反転してコチラを向いた。
「おかえり…キュヒョナ……」
そのままキュッと背中へと回された腕に少し驚く。
時たまこうして積極的に甘えてくる時がイェソンにはあるのだ。それは得てして何か不安な事や嫌な事があった時。
「……こんなに遅くまで待たせてしまって、すみませんでした…」
フワリと抱き締め返してやれば、イェソンはそのままキュヒョンの胸元へと顔を埋めてくる。スリスリと頬を擦り寄せてくる行動は何処か小動物のようだと何時も思ってしまうが。
「今日は何があったんですか?」
仕事の後は疲れているが興奮状態に近くもあり、中々寝付けない時も多い。今日は眠れない方が大きいらしく、キュヒョンの脳も冴えていた。
優しく背中をポンポンと叩いてやる。その規則正しいリズムに何時もイェソンは眠ってしまったりするのだが、今日はやはり眠れないようで。
「……キュヒョナ…どっち?」
「………………えー…と…」
何が?とは言わない。暗闇な上に相手は胸元へと顔を埋めているので当然表情を読める筈も無く。それでもキュヒョンはそういえばと自分宛に来たあるメールを思い出した。
それはソンミンからのモノ。仕事を終えた車の中で読んだ内容に、思わず頭を抱えそうになったのはつい数十分前の事。
「……僕は…貴方の好きなスタイルが一番だと思いますよ?」
ソンミンからのメール内容は非常に簡素なモノで。
《ヒョンがウェディングドレスでお前に迷惑掛けるかもって、悩んでる》
ただその一文だけが受信されていた。
恐らくそれだけで判ると思ったのだろう、確かにイェソンの事だ。
何をどう悩んでいるかなんて、キュヒョンには手に取るように判る。
「貴方が着たくないのなら、着る必要は無い。」
嫌な気分のまま式を挙げる事程不毛な事は無いとキュヒョンは思っている。唯でさえやっと許して貰えた結婚。それを幸せな気分で挙げさせてやりたいじゃないか。
「第一……今ヒョンは…式すら挙げたく無い。そう思ってませんか?」
言われた事にそれまでキュヒョンの胸に顔を埋めたまま無言だったイェソンの顔がパッと上がった。その反応が肯定しているのだと本人は判っていないのだろう。素直過ぎる反応も如何なモノかと思いつつ、キュヒョンは上がったイェソンの額に軽く唇を寄せた。
「トゥギヒョン達の願いを叶えてやりたい。でも僕に嫌な思いをさせたくない……だったら最初から式なんて挙げなければいい。」
そう思ってるんでしょう?
まるで数時間前にソンミンと話していた事を聞かれていたんじゃないか。そう思う程ピタリと考えている事を言い当てられて。
「……ソンミナから…聞いたの…?」
コトリ首を傾げて言われた言葉にソコは隠しておいて欲しかったなと思ってしまった。悩みを打ち明ける相手はイェソンが選ぶのだから仕方の無い事だが、それがソンミンだという事に問題があるのだ。
「聞いてないですけど……泣いたんでしょう?」
これだけ悩んでいたならば、きっとイェソンの事だ。ソンミンの前で泣き顔を見せたに違い無い。それにイェソンはコクリと小さく頷いてダメだった?なんて不思議そうに聞いてくるのだ。
自分の泣き顔がどれだけの威力を発揮するかも知らずに。
「駄目では無いですけど……言っても…いいですか?」
「…なに?」
見上げてくる瞳が何を言われるのかと不安に揺れる。暗闇に慣れた目でそれを捉えて、キュヒョンは仕方ない人だなぁと一つ溜息を吐き出して。
「出来れば、僕の前だけで…泣いて欲しいなって……」
何時だって守りたくて、抱き締めてしまいたくなるこの人物。
それはソンミンとて同じだろう。キュヒョンは気付いていたのだ、ソンミンの気持ちに。好きな相手の事を見ていると自然とその周りの目の動きも見て取れる。ソンミンの近頃の瞳がイェソンを切なげに見ていた事に、だから気付いていた。
「でも…ソンミナは俺の事を思って……」
「判ってますよ…だから、これは唯の嫉妬です……」
そう、唯の嫉妬として受け止めておいて欲しい。
でなければ……ソンミンを今以上に傷付けてしまう。きっと彼は今その想いを忘れ去ろうと必死だろう。優位に立っているからとか、そういう事では無く。もし自分が同じ立場で叶わぬ恋をして。それを諦めようとしている中で甘えられたとしたら…きっと諦める事がもっと苦しくなる。
期待している訳では無く、それでも奪いたいと思ってしまう衝動。
その中で、恐らくソンミンは今苦しんでいる。なのにまた甘えられたら…きっと次は気持ちを抑え切れない。そうなった時に傷付くのは、恐らくソンミン自身だろう。
「僕だけに甘えて欲しい…僕だけに貴方の涙を見せて、僕だけに何でも話して……そう思ってしまう、これは唯の子供っぽい嫉妬なんです…」
サラリとイェソンの柔らかい髪を撫でてそのままキスを落としていく。
イェソンの大好きな落ち着ける甘いキス。優しく降り注ぐその感触に、イェソンはキョトン顔のままキュヒョンの行為をただ受け入れる。
「絶対にとは言いません。でも……なるべく他の誰かに泣き顔を見せる事だけは…しないで下さい。」
困ったように笑って、そう囁く唇をイェソンはそっと撫でた。
何だか嘘を並べられているような響き。それでも、その響きが優しさと切なさを帯びている事を感じる。だから、きっとこの嘘は…聞いてはいけない嘘。
「………判った…もう、泣かない……」
他の誰の前でも。キュヒョンの事で悩んだとしても、それは本人に言えばいい。我慢しないで本人にぶつけて、泣きたい時に泣かせて貰う。
「キュヒョナのココでしか……泣かない。」
またキュヒョンの胸へと顔を埋めて。
「だから、俺を一生ココだけで……泣かせて…?」
そんな甘い言葉を言ってくる体を抱き締めてキュヒョンは黙ったまま苦笑した。きっとイェソンは嘘に気付いている。それでも、その嘘を何も言わずに受け入れてくれた。それは、イェソンの優しい心がそうさせたのだろう。
人を深く想えるその気持ちを改めて愛おしいと思いながら、キュヒョンはそれでもやっぱり自分の中にある、少しの嫉妬も織り混ぜている小さな心に苦笑して。胸の中で静かにソンミンへと謝罪の言葉を囁いた。
「…そうだヒョン…」
暫く黙ったまま抱き締めあっていた中で、キュヒョンは不意に声を上げた。
「婚前旅行……行きませんか?」
「こんぜん、りょこう…?」
何ソレ?なんてコトリまた首を傾げるイェソンへと軽く口付けてから、キュヒョンは少し微笑んでみせる。
「ドレスがとか、式がとか。少しソレを忘れて…結婚前の旅行に行きませんか?」
二人きりで……
囁かれた甘い言葉にイェソンは少し間を開けて顔をポワリと赤く染めた。
二人きりという響きが何だか恥ずかしい。
今までも二人きりで何処かに出掛けた事等余り無い。それなのにいきなり旅行だなんて…
「だって、まだ式…挙げたく無いと思ってるでしょう?」
ドレスだって着たく無いけれど、迷ってるんでしょう?
だったら。
「一度そういった事を忘れて、二人きりで何処かに旅行…行きましょ?」
煮詰まった頭では何も良い答えなんて生まれない。
丁度仕事が一段落着いて、纏まった休みを貰える予定だ。
「ホントに……二人っきり…?」
恥ずかしそうにそう告げて来た声は、何処か嬉しそうな響きを含んでいて。
「ええ……僕と貴方だけの、二人きりの旅行です…」
行きましょう?
そうもう一度告げてやると、イェソンは本当に小さな声で。
「………ん………行く。」
恐らく耳まで真っ赤にしているだろう顔を隠すように、ポフリと腕に収まってきた体を強く抱き締めて。
キュヒョンはその数日間でイェソンの心も、そしてソンミンの心もまた。
少しでも雲が晴れてくれればと深く願った。
※優男ギュ、大奮闘の巻(笑)
やぁほら、前回ミン君との件があってそのままスルーってのもなぁと。
なのでギュ氏に解決してもらおうと頑張って頂いた訳ですがー。
何か優男さんは嫉妬よりも叶わぬ恋してるミン君を心配しちゃうという結果に。だけどミン君の事も考えながらそれでも少しだけ嫉妬も混ざっちゃうギュ氏、ホントお疲れ様です(笑)そしてドレスの行方や如何に(ソコ大問題
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