続きです。
何だか異常に幼児臭い兄さんが此処に出来上がっております。
私の中での兄さん像はこんなだったのか!?なんて思いますが私としてはもう少しクールなんじゃ?と兄さんに平謝り状態です。
そんな幼児兄さんおいしいと思うよーなんて思って下さる方はどぞ!!
【Sudden onset13】
久しぶりの雑誌撮影。今日は男性の色気をテーマにするという事で各々が薄着の衣装でスタジオ入りしていた。そんな中で仕度が終わったのだろう宜しくお願いしますと最後にスタジオへと入って来たイェソンの姿に、その場に居た全員の視線が釘付けになった。
「皆凄い衣装だなぁ…」
のんびりと言うイェソンは何ら何時もと変わりない表情でニコニコしている。シウォンの筋肉が凄すぎると笑ってみたり、ヒチョルは何を着ても似合うと頷いてみたり。各人を見て楽しそうにしていたが、周りはそんなイェソンをマジマジと見つめていた。
イェソンは上下黒のタイトな衣装を纏っている。黒い細身の黒いジャケットに黒いジーンズ。ただそれだけ。 だがその胸元は大きく開いていて、動く度に白い肌が見え隠れするのだ。衣装スタッフがそうしたのだろうが、その胸元は綺麗な筋肉が程よく付いていて無駄な肉など無いに等しい。
「イェソン君…見た目より筋肉あるねぇ…」
現場の総指揮を取っている雑誌の編集者がその肌を舐めるように見つめた。その視線を気にするでも無く、イェソンはニッコリと微笑んでいる。それがまた変な色香を発している事に本人は気付かない。
「こう見えて結構鍛えてるんです俺。」
少し照れ臭そうに笑う姿はその場の空気を一気に色目き立たせた。女性スタッフさえも見惚れる姿に、堪らないとそれまで黙っていたキュヒョンが動いた。
「ヒョン、少し開きすぎじゃないですか?」
腕を引っ張られて驚いたのはイェソン本人ては無く周りの方。それに構わず開いた胸元をどうにか閉じようとするが、ヘソ辺りに2つ程しか付いていないボタンではどうしようも無い。そんなキュヒョンにコトリと首を傾げて。そのままキュヒョンの姿を見たイェソンは、少し頬を赤らめてキュヒョンの衣装の裾を引っ張った。
「お前…何か色っぽい……」
ポソリと呟いて恥ずかしそうに俯いた姿にキュヒョンは思わず息を飲む。その表情は自分が彼を抱いている時に見せる顔。
感じている事を恥ずかしく思って隠そうと必死になる表情に近いソレに、キュヒョンはその赤い頬へと手を伸ばした。
「…貴方の方がよっぽど色っぽいですけどね?」
キュヒョンは白いワイシャツを2つ程開けていて、その上から薄手のカーディガンを羽織っている。下は黒いパンツで纏めていたが黒いネクタイを胸元まで緩めて垂らすだけといった女子にとっては美味しい事この上ない服装だった。元々傷跡を見せないような服装でと要望していた為に皆よりも抑え目になった服装だったが、それでもイェソンにとってみれば十分な色気だと言えた。
そんなキュヒョンを見つめつつ、自分の頬に添えられた手に擦り寄りながら色っぽいと言われた事に首を傾げる。自分の何処が色っぽいというのだろう?
「お前しかそんな事言わない。」
そう、誰からもそんな事は言われた事がない。だから毎回首を傾げてしまうのだ。温かい手が気持ち良くて離れないままお互い見詰め合っていたら、後ろから突然腕を引っ張られてイェソンは驚きのまま振り向いた。
そこには嫌そうな顔をしたヒチョルが一人。
「お前ら公開告白したからって何処でもイチャついてイイと思ってんのかコラ?」
不機嫌そのものな表情にイェソンはキョトンとしている。自分達は別段話しをしていただけでイチャついてなんていない。宿舎ではお互いもっとくっついている為、頬に手を触れている位では最早イチャつきの粋に達していないのだと思うイェソンは既に感覚が麻痺していたりする。
「あー…もう怒る気にもなんねぇわ…」
未だキョトリとしているイェソンにヒチョルはキュヒョンへと目線を移した。そのまま周りを見ろと目配せだけで告げてくるソレに、キュヒョンはグルリと周りを見回してみる。そうすれば飛び込んでくるのは周りからの熱視線。自分達を見ている女性スタッフはキャッキャと嬉しそうに騒いでいるし、男性スタッフは頬を赤らめて呆然とコチラを見つめている。
それにやらかしたか?なんて若干後悔した。最近気付いた事だが自分と一緒の時のイェソンは何故だか妙な色気を発しているのだ。それも男女問わず、その視線を釘付けにするような色気。
男性特有の骨っぽさも無いが女性のような柔らかさまでいかない。
そこがまた色気に輪を掛けているのかもしれない。
「……僕の配慮が足りなかったようですね…」
溜息を吐いたキュヒョンにやっと判ったかとヒチョルはゲンナリした表情で二人を見た。
周りの目を奪うイェソンは今や歩く凶器に近い。あの歌番組以降、世間も二人に注目している。何より以前とは全く違うイェソンの雰囲気は二人の関係を肯定するものでしかなかった。
「取り敢えずコイツの目、何とかしろ。」
指差したのはイェソンの瞳。それにまた首をコトリとするからタチが悪い。本人は気付いていないのだろうが、その瞳は熱で潤んでいた。その熱は情事の時に見せる熱と同じもの。恐らくキュヒョンの見慣れない姿に本人すら気付かないまま熱を上げてしまっている。だがそれをどうにかしろと言われてもとキュヒョンは苦笑した。自分の格好を直す事は撮影後にしか出来ない。かといって熱を引っ込める術など今は無い。
「……僕が最初に撮影してイイですか?」
考えた末に出した答え。最初に撮影してさっさと着替えてしまえばイェソンの目に触れる事は無くなる。そうすればこの熱も引くかもしれない。暗にそう告げれば暫し考えた後で、それが最良かとヒチョルも納得したらしい。直ぐに撮影を開始してもらうようカメラマンの元へと向かった。
「顔をもう少し上げて下さい。そう、そのままコチラを怠そうに見て貰ってイイですかー?」
カメラマンの声が飛ぶ。注文された角度を保ちつつキュヒョンの撮影が進み、それを周りは冷やかしたりしていた。
「おーっ!キュヒョナ色っぽいねーっ」
ウニョクの言葉を嫌そうに聞いているキュヒョンは早く終わらないかと思う。遠くから見つめてくる熱い視線が気になるのだ。角度を変えながらも追ってしまうのはイェソンの視線。自分を見つめている視線が妙に熱い。その視線をどうにか外そうと長男二人が何か話し掛けていても、それすら上の空のようで。
「キュヒョンさんコッチに目線いいですかー?」
言われて慌てて目線を戻す。あの視線はマズイ。自分でさえ目を離せなくなる何と言うか、物干しそうな視線。それを周りも見ている事に気付く。撮られている自分を見ているのはメンバーとカメラマン、そして機材を扱うスタッフだけ。他の手の空いているスタッフの殆どがイェソンへと視線を注いでいた。
「はい、これで終了です。キュヒョンさんお疲れ様でした!」
自分の番が終わった事に胸を撫で下ろしてその場を離れる。歩きながら空いていたボタンを上まで閉めてネクタイを外した。そのまま真っ直ぐイェソンの元へと足を進める。近付いていく自分を見る瞳はやはり熱を帯びていた。イェソンの目の前で足を止めたキュヒョンはそのまま何だろうと首を傾げたイェソンの腕を思い切り引っ張った。
「この場で抱かれたいんですか、アンタ…」
何時もよりも低い声。その声で囁かれたイェソンは思わず身を引いてイトゥクの背中に隠れてしまった。その行動が幼児臭く見えるのは恐らく気のせいではない。だがイェソンとしてはその言い口調が本気に聞こえてしまったのだ。となると逃げ出したくなるのは至極当然の事だろう。勿論、近くに居た長男二人にもその声は聞こえていて。
「おまっ!…何脅してんだバカ…」
物騒な物言いだがヒチョルは呆れを通り越して同情してしまう。確かにさっきのイェソンの熱い視線はマズイと思っていた。好きな相手にあんな目で見られて手を出したくならない奴はいないだろう。それが判るだけにヒチョルはキュヒョンに同情してしまうのだ。
「…お前、そんな怖い顔しないの。」
ジョンウナが怯えるでしょー?意外にも冷静な言葉を掛けたのはイトゥクの方。自分の背に隠れてしまったイェソンに怖いよねぇ?なんて話し掛けている。それがまたキュヒョンを苛つかせると判っているからタチが悪いのだ。
「ほらジョンウナ、次はお前の番でしょ?」
ヨシヨシと頭を撫でられてソロソロと顔を出したイェソンは今にも泣き出しそうだった。そのままキュヒョンをチラリと見て、またイトゥクの背に隠れてしまう。今のキュヒョンは非常に苛ついていた。周りの視線を集めるイェソンの色香。そんな姿を他人になんて見せたく無かった。なのに今のイェソンはそれを抑えきれていない。その事に苛立ってしまったから思わず抱かれたいのか?なんて言ってしまったのだが。
「いつまでもそんな顔してると、ジョンウナを渡す事は出来ないよ?」
ニッコリと微笑んではいるがその目は笑っていない。こういった笑顔の時のイトゥクは本気だ。それが判ってキュヒョンは詰めていた息を吐き出して肩の力を抜いた。そのまま未だに何故自分を怒らせたのか理解していないイェソンへと慎重に声を掛けた。
「…ヒョン……もう怒ってませんから…出て来て下さい。」
何時もと変わらない優しい声音がして、恐る恐る顔だけ出したイェソンにキュヒョンは優しく微笑む。そう、自分が怒っても仕方の無い事なのだ。イェソンを怯えさせるのは自分としても本意ではないから。
「……ホントに…怒ってない?」
キョトリと見つめてくる瞳はまだ熱を残している。それでも自分を見上げる視線が縋ってくるようで、苦笑しながら手を伸ばした。
「僕がまだ怒ってるように見えますか?」
伸ばされた手を見てから二人の兄達を見つめて。それにイトゥクが優しく微笑んできてくれるのに背中を押される。そのまま伸ばされていた手を掴んだら優しく引き寄せられた。
「ほら、撮影が押しちゃいますよ?」
早くと腕を引っ張られてカメラマンの元へと向かう。そんな二人に長男達はヤレヤレと溜息を吐いた。今のやり取りを此処にいた全員が見ていた事に二人は気付いていたのだろうか?コレでまた二人の仲が周囲へと広がる事だろう。そんな弟達を守ってやるのも自分達の役目なのだが。
「ってかアイツもまたとんでもねぇ奴選んじまったなぁ…」
ありゃ絶対嫉妬深いぞ。半目になってしまったヒチョルに苦笑しながら、イトゥクは二人の背中を眺める。
「だけど、ジョンウナの事を一番判ってるのはアイツだよ…」
でしょ?ニッコリ微笑む姿にヒチョルは肩を竦めて見せた。まぁ何はともあれコレで撮影もスムーズに行くだろう。そう思っていた二人をまた悩ませる事態が発生するまで後10分。
※ただ兄さんの色気がダダ漏れだって事を書きたかっただけっていう。ついでにギュの普段見せない男の色気にトキメいちゃう兄さんも添えてみる(笑)
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