続きです。深夜4時にコレ上げる自分は朝から仕事って事を見事に考えてない感じですなハイ。

まぁそらはさておき、天然兄さん炸裂中です。
それでもOKカモーン!って方はどぞ!!






【甘えん坊3】



「オイ…あのボケは何勘違いしてんだ?」

キュヒョンとソンミンの部屋、そこに男四人は頭を付き合わせて座っていた。むさくるしい事この上ないが、そんな事はこの際どうでもいい。
あのボケと呼ばれた人物、イェソンは只今入浴中てある。というか強引に風呂に放り込まれた形になるのだが。
たからこの部屋に居るのはその他のメンバーだ。未だ不機嫌なキュヒョンは置いておくとして、ヒチョルは重要な事を聞かねばと変に熱を入れている。それに困り顔で、だけど気になる事は確かだしとリョウクも付いてきた。ソンミンに至っては全く判っていないのだが、取り敢えず此処に居る。

「何って…何がです…」

ポソリと言うキュヒョンはやはりご機嫌斜めだ。それにヒチョルはバシッと頭を叩いた。

「いった!何すんですか!?」

「うっせえ!キスの一つや二つで膨れんなバカがっ」

キュヒョンのご機嫌斜めの原因を作った張本人は偉そうに踏んぞり返っている。それにブツブツ言うキュヒョンを無視して話を戻した。

「あのバカはお前の気持ちに気付いてねぇだろ…」

言われて、悔しいが認めざる負えないので素直に頷く。

「気持ちって?」

ソンミンの素朴な疑問に、今度はソンミンの頭が鈍い音を発した。

「痛いよヒョンーっ」

涙目のソンミンに又もうっせえ!と一言言って。

「お前…何時からアイツの事好きな訳?」

その一言でやっとソンミンも気付いたらしい。これでもかという位に目を見開いている姿にリョウクは可哀想に、なんて哀れみの目を向けた。
そんな事には構う余裕は無いらしい。ヒチョルはキュヒョンの言葉を待っている。観念したのか、溜め息を吐いてからキュヒョンは口を開いた。


「…僕が事故にあった時…覚えてます?」

忘れる訳がない。キュヒョンが生死をさ迷った、あの酷い事故。今でも昨日の事のように思い出す程だ。

「あの後、僕が退院した後…あの人毎日来たんです。」

何処に、とは誰も言わない。ただ静かに聞いている。

「夜、皆が寝静まった後で…寝ている僕の枕元に来て…」

ずっと僕の事を見てるんです。


そういえば、とヒチョルは思い出す。あの頃イェソンは何時も寝不足のような顔をしていた。何でだかは分からなかったが…

「何してるのかって思って、ある日目を少し開けてみたんです」

そしたら、と。自分の口の辺りに手をかざしているイェソンの姿があったらしい。彼はキュヒョンがちゃんと呼吸をしているのか、確かめていたのだ。寝息を聞いて、それでも信じられなくて。手をかざして息が掛かるのを確かめて。1時間程そうやって、満足して帰っていくのだと。


「それが一ヶ月続きました」

「全然気付かなかった…」

同室だというのに、そんな侵入者に全く気付かなかったソンミンにキュヒョンは苦笑する。イェソンはメンバーからも変わっていると言われている。その行動は予測出来ない事の方が多い。だから当初はキュヒョンもやっぱり変な人だなぁと思っていた。だけど彼の自分へと当てたあのメッセージを聞いて、夜な夜な呼吸を確かめに来る姿を見ている内に。段々とイェソンという人物の事を知りたくなった。

「見てると色々と面白いでしょ?あの人。」

失礼極まりない発言だが確かに、と三人は思う。行動、言動は理解し難い部分があるものの、イェソンは何時も自分というものを貫いている。
その変な行動によってメンバーの心を癒してくれたりもするのだ。

「それに、甘えると照れるんです…」

ああ、とこれにも三人は頷いた。普段人にベタベタとしてくるイェソンは逆に甘えられたりすると照れながら、仕方ないなぁと受け入れる。
その表情は何となく可愛いのだ。だからメンバーもたまに、態と甘えたりするのだが。

と、そこで当初の疑問を思い出したヒチョルが口を開いた。

「忘れかけてたが、何でキスが甘えになんだよ」

まさか毎回やってんじゃねぇだろーなぁ?そう言われてキュヒョンは一度しかしてませんとキッパリ告げつつガックリと項垂れた。

「それはコッチが聞きたいですよ…」

数日前、勇気を出してイェソンにキスをしたのだと。なのに彼は何を思ったのか、それが甘えの延長だと判断したのだと。そう言って頭を抱えてしまった。


「イェソンヒョンって…」

「うん…鈍感過ぎ…」


三人は思わずキュヒョンに同情してしまった。恋愛には疎いと思っていたが、そんなアプローチをされても気付かないとなるとキュヒョンの恋は正に前途多難と言っていい。

「っつーか…回りくどい事ぁやめて、告りゃいいだろっ」

考えるのが面倒になったのだろう、ヒチョルがズバリと言えば、またもキュヒョンが溜息を吐く。

「あの人は僕を弟としてしか見てない…」

気付いてるでしょう?

そう言われて、迂闊な事を言った兄へとリョウクは窘めるような目線を送った。そうなのだ。イェソンはキュヒョンに対して、兄としての目線でしか見ていない。他のメンバーと同じ大事な家族。ただそれだけ。だからキュヒョンは自分の気持を伝える事が出来ないのだ。もしも伝えて、この関係さえも崩れてしまったら…


と、突然扉がガチャりと開いた。悪いこと等していないにも関わらず、四人は何故かビクリと肩を揺らしてしまったのだが、扉を開けた張本人はそんな四人には全く気付いていないようだった。

「お風呂、空いたよー」

のんびりと言いながら頭をタオルで拭いている。
が、そんな彼の姿に先程よりも驚きで四人は固まっしまった。

「ちょっ!ヒョンその格好っ」

先に口を開いたのはリョウクだ。慌てて立ち上がり、イェソンへと駆け寄る。ヒチョルは額に手を当てたままオイオイ勘弁しろよ…ボソリと呟き、ソンミンに至ってはポカンと口を開けたままイェソンを見上げていた。

「ん?格好?」

何に驚いているのか全く判っていないイェソンは自分の身体へと目線を落として。はて?と可愛らしく首を傾げてみせるのだから、もうお手上げだ。とそれまで黙っていたキュヒョンが、やっと口を開いた。それはもう聞いた事もないような低い低い声で。


「………何で……んです…」

「ん?」

キュヒョンの怒りがヒシヒシと伝わってくる事にヒチョル達は息を飲む。けれどイェソンは全く気付いていないようだ。キュヒョンの声が聞こえなかったのか、ノンビリと聞き返している。それに余計に怒りが込み上げてきたのだろうキュヒョンに他の三人は目を覆った。

「何で…服を着ていないんです…」

何とか怒鳴らないようにキュヒョンは唇を噛み締めていた。
だってそうだろう。好きな相手が自分の気持ちにも気付いてくれず、唯でさえ我慢しているというのに。その唐変木は今自分の目の前で、先程履いていた短パンを身に纏っただけの姿で突っ立っているのだ。

「だって…着替え持って行かなかったし。」

当たり前のように言うから頭が爆発しそうになる。
確かに強引に浴室に追い立てたから持っていなくても当然だろう。だがイェソンは普段から余り素肌を晒さない。仕事で着替える時でさえ、キュヒョンはなるべく見ないようにと心掛けていたりするのだ。それなのに。意表を突かれてそんな姿を見てしまったら…

改めて、キュヒョンはイェソンへと目をやる。
日に焼けていない白い肌。細いその身体には、しかし均等に筋肉がついていて。とても綺麗な身体をしている。触ったらその肌に手が吸い付くんじゃないか…そこまで考えて、ヒチョルの咳払いにハッとした。

マズイ……

自分の口元を手で覆う。そんなキュヒョンに溜息を吐いてヒチョルはイェソンを見やった。

「いいからお前早く着替えて来い。」

何だか何時もと雰囲気の違う兄に戸惑いを見せるイェソンに、何でもねぇからと手を振って。リョウクもホラッとイェソンの背中を押すと二人は部屋を後にした。


「………スイマセン…」


未だ口元を押さえたままのキュヒョンは床へと視線を落としている。
ヒチョルとて綺麗だとは言われているがれっきとした男だ。キュヒョンが何を思っていたのか位判るし健全な男だったら普通の事だ。だが、暴走しては元もこもない。

「お前、今日は上に来い。」

空いている部屋に泊めてやるからと。今日は離れた方がイイだろうという兄の言葉にキュヒョンは素直に頷く。きっと今日イェソンの顔を見たら、何をしてしまうか判らない。未だ頭の中には彼の白い肌が焼き付いて離れないのだ。酷い事をしてからでは、遅い。

立ち上がったキュヒョンをソンミンがソッと支えてやって。

「ミニヒョン…ありがと…」


小さく言ったキュヒョンに、ソンミンは優しく微笑んだ。






※ポヤヤン兄さん(笑)勘違いも甚だしいというか天然過ぎる兄さんにギュが可哀想だなぁと思いつつ書いてたり。

何だかんだで弟達に優しいレラ様を1番書きたかった自分です。





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