先日、ある人との会話でこんな話が出た。

 「○○をやると脳が活性化されてやる気ホルモンが出るそうだよ。
  テレビで脳科学者の□□さんが言っていた」

やれやれ。

日本では脳科学者の話は受ける。

○○をやると脳が活性化される脳が若返る、とあちこちで聞く。

しかし、私はこの現象をいつも笑いながら見ている。

やる気が出るとか、生き生きしてきたとかは、脳を持ち出さなくても分かるじゃないか。

「セクシーな女性の写真を見ると、男性の95%の脳が活性化されるそうだよ」

と聞いたら変だと思わないか。

そんなの当たり前で、脳を持ち出さなくても分かることだ。

自分のやる気やワクワク感は経験則から分かることで、脳科学者の話をきかなくては分からなくなるほど感性が壊れているんじゃないかと私は思うのだ。

大ヒットした某脳活性化ゲームは単純な計算をすることで前頭葉が活性化されやる気が出る、というトンデモ科学をベースにしていた。

しかし近年、海外の脳科学研究者によってこの説は完全否定され、ハーバードの教授はわざわざ本に書いてまでこのトンデモ科学を否定するほどだ。

単純な四則演算をしてもなんだかやる気が出ないな、くらいは自分の感性に正直なら早々に分かったはずなのにヒットしまくったのは現代人の感性の衰退に原因があると思う。

何をすれば自分はワクワクするのか、何をすれば元気になるのかは、自分の感性に忠実になることで分かることだ。

ワクワクし元気になれば勉強意欲もわき、記憶力も高まり、知能指数も向上する。

単純な話だ。

かつて右脳ブームの頃、左手を使うと右脳が活性化され、芸術的な感性が高まると聞いて左手を使っていた人がいるが、そんなことをするよりも、より多くの絵画を観て、より多くの音楽を聴き、より多くの映画を観た方が、はるかに効果的だ。

脳科学をベースにするよりも、自分の感性をベースにすることが、なによりも大事なことじゃないか。