人間の意識を説明するときに、潜在意識と顕在意識という説明をされることがある。

さらに、その構造を氷山に例えて、水面下に潜在意識があり、その上に顕在意識がある、というように例えられる。

私はこの説明は不完全であり、構造としての説明は全く間違いである、と思っている。

その一つの例をあげてみよう。

人間は、自分の思考を予測することはできない。

この事実を自覚できている人は少ない。

誰もが自分の思考は自分が支配しており、自分の思考は予測できると考えている。

ところが、現実には誰も予測することができないのだ。

あなたの思考をチェックして欲しい。

あなたは今、このブログを読んで、何か考えている。

さてその思考は、数分前に予測できただろうか。

あなたの思考は、私の記事を読んだことで変化が起きている。

たとえ些細な変化であったとしても、今のあなたの思考は、数分前のあなたは予測すらできなかったのだ。

時間を縮めてみればみるほど、自分の思考を予測することが困難になる。

自分の思考を見つめればみつめるほど、その微細な変化を追いかけることができず、わずかコンマ1秒先の思考が予測不可能になる。

これはまさに量子力学が示した不確定性原理と同じである。

つまり、思考は量子力学的作用で正確に予測することは不可能で、自分がどのような思考をするかは、確率論でしか決められない、ということだ。

ということは、くだんの思考氷河モデルで示されるように、顕在化した意識は常に観察することができるという考え方は、根本的に間違っているのだ。

顕在化する意識は常に変動していて、何が顕在化するかは確率でしか決めることはできないのだ。

そのような現象が思考の表層で起こっているということは、脳内=思考の中では、想像を超える現象が起きており、その情報の様相はまさに量子力学の世界にあるといえる。

つまり、私たちの思考は、私たちが知り得る次元を越えたところにあり、意識するという高次の働きによって確率的に定められた範囲の処理結果が出てくるのだ。


さて、この話はあまりにも突飛に聞こえるので、理解することすら放棄する読者も多いと思う。

ところが私はこの論を強く押しており、その証明に力を入れているということをお伝えしたい。

この仮説をもとに、いくつかの論を展開する予定である。