今の教育現場では、考えない訓練をしている、と前回書きました。

もう一つ、“諦める訓練”をしているのではないでしょうか。

偏差値で子供の能力が測られることで、「君は○○にはいけない。諦めて○○を目指せ」という指導がされることも多い。

「君は理系志望のようだが、数学が苦手だから文系にしなさい」という指導も当たり前になっている。

スポーツが好きな子供には、「勉強を取るか、スポーツを取るか」という指導をする場面も少なくないだろう。

つまり、子供の時から多くの引き算をさせながら、背伸びをせずに諦めることを習慣づけさせているのが現実ではないのでしょうか。

縮むことを習慣づけられた人間が、実社会に出で、“自分の殻を破って成長しろ”と言われても、そう簡単にできるはずがないでしょう。

子供の頃に「考えず」「諦める」ことを習慣づけられているにも関わらず、実社会に出れば「考えろ」「諦めるな」と言われる。

どっちが間違っているかと言えば、教育の方ではないでしょうか。

私は「考えず」「諦める」教育を変えなければ、この日本の未来はないと思っています。

「高度な数学なんて自分が目指す仕事では使わないから、いらない」というのも立派な“考えた”考えだと私は思います。

「数学の思考法は、どんな分野でも応用できそうだ。自分の目指す夢には数学は直接使わないけど、興味があるから数学を究めたい」というのも“考えた”考えです。

ともかく、今やっていることは自分にとって何になるか、そしてどう人生に活かせるか、を考えることからすべてはスタートすると思います。

子供に対しては、自分の「夢」を実現するために、今何をするべきか、今学んでいることをどう活かすかを常に意識させることが、真の教育だと思うのです。

そのチャンスを奪う教育は、もういらない、と私は思います。