私が「サクセスマガジン社」との共同プロジェクトを行っている時、数多くの成功者の取材データを見る機会がありました。
サクセスマガジン社は、すでに100年の歴史があり、古くはトーマス・エジソン、ヘンリー・フォードの記事や、近年ではCNNのテッド・ターナー、ビル・ゲイツなどが登場していました。
取り上げた成功者はすでに3万人にのぼっていました。
サクセスマガジンの取材の多くが、彼らの創業当時から現在に至るまでのストーリーを詳細に追うものでした。
その内容を精査しているとき、一つの共通点に気付きました。
それは、大きな成功を成し遂げた人ほど、大きな挫折を体験している、ということでした。
つまり、大きな挫折を経験した後、彼らは大きな飛躍を成し遂げていたのです。
これは、私の想像を裏切る事実でした。
それまで、大きな成功を収めた人は、順風満帆に成功へと駆け上がったのだと思っていたからです。
しかし、事実は、その反対を示していたのです。
私は、かつての自分を振り返ったとき、この原理が間違いなくあるのだという確信を持ちました。
私があの暗闇を見つめ、そして死の淵に立とうとしたとき、私の精神は底を打ち、逆方向に跳ね返っていったからです。
人は、最悪の逆境にあるとき、その時こそ、精神は最高度に研ぎ澄まされ、鋭敏になっています。
その時、心の底から願ったことは、強烈な意識として刻み込まれるのです。
「私はこうあるべきではない!」 「私はもっと高いところへ行くべきだ」 「この逆境から這い上がりたい」
ネガティブな現状であるからこそ、ポジティブな意識を刻み込むチャンスなのです。
逆境こそチャンス、という言葉は、メンタル面でも事実なのです。
私が最初に目にしたサクセスマガジンの記事は、CNNの創業者テッド・ターナーでした。
テッドは子供の頃から父エドから「サクセスマガジン」を読み聞かされていたそうです。
テッドは子供の頃に、「僕もいつかは雑誌の表紙を飾りたい」と思うようになったそうです。
しかし、テッドが青年になり、事業家への道を歩み始めたとき、父テッドがピストル自殺をしてしまいます。
この時のショックに立ち上がれなかったテッドは、人生最悪の精神状態を体験します。
自殺した父は55歳、のちにテッドは、自分も55歳になったら自殺するのではないか、という妄想を持つようになるほど、父の自殺は彼の精神に打撃を与えたのです。
しかし、その最も最悪の精神状態の時に、彼は事業家として成功すると事を強く願うようになります。
父のようにはならない、父の思いを俺が叶える、という強烈な意識を刻み込んだのです。
その後、地元の放送局を買収し、のちにCNNを創業することになります。
そして、彼はサクセスマガジンの取材を受け、さらに表紙を飾りました。
自分の写真が表紙となったサクセスマガジンを手にすると、テッドは天に向かって掲げ、
「父さん、どうだい、表紙になったぜ」
と強く叫んだといいます。
それは、彼が最悪の精神状態の時に、強く望んだ姿でした。
テッド・ターナーだけでなく、非常に多くの成功者が、人生最悪の時に、人生最大の願いを心に刻み込んでいます。
マイナスの力が強ければ強いほど、その力に抵抗しようとすれば、強烈なプラスの力が必要となります。
その力が、自分をマイナスの外へと導いてくれるのです。
人は誰でも、良いときもあれば悪いときもあります。
悪いときに、悪いところに心を集中させてしまえば、さらにその状況を悪く感じるようになります。
でもそれは、悪く感じるように考えているだけでなのです。
最悪の状況の時には、自分だけがその状況に追い込まれてるように感じるものです。
しかし、それは違います。
ある賢人の言葉が、私の心に残っています。
「最悪の時には、あなたよりももっと最悪の人を助けようと思ってみてください。
そうすれば、あなたは最悪の状態にあるのではなく、
あなたよりももっと大変なところで上を見つめる人がいることに気付くでしょう。
そして、あなたよりもはるかに最悪のところから這い上がって成功した人にも。
あなたはの状況は、あなたの心が決めているだけです」
自分の状況に意味を与えるのは自分です。
そして、自分に諦めない力を与えてくれるのも自分である、のです。
壁の向こう側が見えないとき、その時は、その壁を疑うべきです。
その壁は、偽物なのです。
それは、あなたの心が勝手に決めていることかもしれませんし、誰かが【そこに壁があるじゃないか】と言い聞かせているだけなのかもしれません。
そういっている人だって、その壁を勝手に作り上げているだけなのに。
私が死の淵に立ったとき、ギリギリのとろこで、その壁が幻想であることに気づきました。
それも、たった一つのメモ帳のおかげで。
次に、その壁の正体を書いてみたいと思います。
※リクエストがありましたら、コメントにどうぞ。
PS
ところで、昨日のNHKプロフェッショナルはご覧になりましたか?
とても感動しました。涙が出ました。
当番組でもトップレベルの素晴らしい内容だったと思います。
今回は作業療法士の藤原茂さんでした。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/091117/index.html
私が感動したのは、半身不随や脳卒中で体が動かなくなり、リハビリしても動かなかず、人生に絶望して、自殺さえ考えていた人が、笑顔になり、回復し、元気になっていく姿です。
いくらリハビリしても体が動かなかった人達が、藤原さんの療法によってみるみる回復していくのです。
藤原さんの信念は、
心が動けば、体は動く
です。
機能回復しようとして、体を動かす療法をしても、まったく体が動かない。
ところが、心を動かす、つまり、生き甲斐や喜びを感じてもらうようになると、体も後をついていくように動き始める、のです。
ある女性は左半身が動かなくなり、人生に絶望し、藤原さんにこう言います。
「車椅子にでも乗れるようになりたい。
そうすれば、階段に向かって、死ぬことができるから」
毎日のように、死にたい死にたい、と言っていたのです。
そこまで追い詰められていた女性が、生きる力を持つようになります。
そのキッカケが、料理でした。
家族のために動く右手だけで料理をしていたことを知った他の女性が、彼女を訪ねてきます。
その女性も半身不随でした。
「あなたの料理法を教えてください」
動く手だけで料理をする方法を教えて欲しい、と。
そして、自分が見つけてきた料理法を教えるようになると、みるみる表情が豊かになり、失った言葉も回復し、体も動き始めたのです。
すると、多くの悩みを持つ人が集まってきたのです。
新しい生き甲斐を見つけた彼女は、こう藤原さんに言ったそうです。
「脳卒中になったから、私の人生がある。
私は、脳卒中に感謝します」
この言葉を思い出したとき、藤原さんは言葉が詰まり、一気に涙が溢れてきました。
私も涙が止まりませんでした。
機能回復だけを目的にリハビリをしても体は動かない。
でも、心が動けば、体は動くようになるんだ、と藤原さんは確信したそうです。
他にも、体と言葉の自由を失った人が、自分の役割や生き甲斐を見つけることで、どんどん回復していく姿が登場しました。
仕事熱心だった男性が脳溢血で倒れ、動かなくなった体に絶望し、人生にやりがいを失います。
その男性は、惜しむかのように、最後にやっていた仕事の名刺を、大事に持っていました。
孤独にリハビリに取り組む男性。
しかし、失語症はなかなか回復しませんでした。
その男性に、藤原さんは施設の“案内係”の役割を与えます。
そして、案内係という「特別の名刺」を作り、男性に渡します。
名刺を与えられた男性は、誇りを持ち直し、自ら案内係を積極的に行うようになります。
すると、体もより動くようになり、言葉もスムーズに出るようになったのです。
心が体を動かす。
どんな状況であれ、生きる希望を持てば、人生は輝く。
そのほか、施設には数々のアイデアが散りばめられ、常に生きる希望を感じられる工夫がありました。
まだご覧になられていないのでしたら、是非、再放送をご覧ください。
人生を生きるための、超ヒントと感動が一杯の内容でした。