ミッキー・ロークが見事に復活した作品。


  ・レスラー http://www.wrestler.jp/


監督は、この映画を作るにあたって主演はミッキー・ロークしかいない、と主張し、製作会社から予算を削られても譲らなかったという。


製作会社はニコラス・ケイジを主演に立てるようにと言ったそうだが、ミッキー・ロークで大正解だった。


しかし、監督がミッキー・ロークをごり押ししたため予算が削られた上に、わずか4館の映画館のみのスタートという試練を受けることになる。


だが、蓋を開けてみれば週末には5万ドルを達成し、「ノーカントリー」を抜く成績を残す。


そして、ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞、アカデミー賞主演男優賞・助演女優賞にノミネートされるほどの評価を受けることになった。


80年代のヒーローでありレスラーのランディの孤独な人生を描いた作品。


ミッキー・ロークの人生とオーバーラップするストーリーだが、それを最も印象づけるのがラストでのリング上でのマイクパフォーマンス。


そこでファンに向けて語った言葉に、この映画の魂とミッキー・ロークの魂がある。


とにかく、ミッキー・ロークとマリサ・トメイの体を張った演技が素晴らしい。


本物のレスラーも驚かせたというファイトは、すべて本人が演じきっている。


トップロープから場外へのダイブや、隠し持ったカッターで額を切るシーンなど、体を張った演技に、まさに「ショックで口が開きっぱなしになる」ほどのインパクトを受けた。


さらにストリッパーを演じるマリサ・トメイの迫真の演技も素晴らしい。


44歳になるマリサ・トメイが、全裸で踊っているのだ。(スタイルが素晴らしくて年齢を忘れるが)



  ・・・・・ 以降、ネタバレ注意 ・・・・・



試合後に心筋梗塞となり、心臓バイパス手術を受け、医師から引退を勧告されたランディ。


必死でマットへの復帰を試みるが、わずかなランニングでされ、彼の弱った心臓はもたなかった。


肉体の限界を知らされたランディは、引退を決断する。


生活費を稼ぐため、スーパーの肉売りのバイトを始める。


しかし、荒れていくばかりの私生活のため、一人娘にも見限られ、孤独になった満身創痍のランディが、唯一心を寄せるのが、中年ストリッパーのキャシディである。


しかし、真剣な気持ちを告白するランディの気持ちに、キャシディは答えられない。


   「あなたは客なのよ。お客なの」


現実にうちひしがれ、バイト先で歯車と化した自分に嫌気がさしたランディは決心する。


 「俺はスーパースター、ランディなんだ」


彼が選んだ場所は、リングだった。


彼の決心を知ったキャシディは、ストリップ場を抜け出しランディを追う。


キャシディが着いたときには、すでにランディは入場前だった・・・


 「私がいるのよ。私が」


キャシディがランディを受け入れた瞬間だ。


しかし、ランディはファンの待つリングへと歩き始める・・・・



映画を見終わった瞬間に、全身から力が抜けていくのを感じた。


ランディは馬鹿なのか、それもとも男の人生を貫いたのか。


「グラン・トリノ」を見終わった後と同じ感覚が僕を襲った。



評価は★5つ(最高点!)