金髪の007、ダニエル・クレイグ主演の第二作目である。


前作からの続きということで、いきなり凄いカーチェイスから始まる。


ボンドカーのアストンマーチン・DBSがボロボロになるのが何とも痛快。


アクションシーンでは、ボート、プロペラ機でのアクションがあり、さすがに007だという迫力を感じさせてくれる。


ボンドガールのオルガ・キュリレンコもなかなかキュートであった。


僕は前作を観てからダニエル・クレイグのファンになってしまい、007最新作は必ず観るように決めた。


007にあるべきユーモアがなくなり、往年のファンには不満のようだが、今のストイックな007の方が僕は好きである。


ダニエル・クレイグ演じる新007の好きなところは、「捨てる」ところである。


自分の過去を捨て、恋人を捨て、心を捨てる。


それを象徴するかのように、前作でも無造作に「捨てる」シーンが描かれている。


高級ホテルの従業員に扮し、客から預かった高級車を駐車場に付けるシーンだ。


わざと他の車にぶつけて強引に駐車させ、007は涼しげな顔で運転席から出てきてキーを無表情で横にポイと投げ捨てる。


そのシーンが非常に印象的である。


007は何のこだわりもなくクールに任務を遂行するということを印象付ける重要なシーンだと感じた。


同様のシーンが「慰めの報酬」でも出てくる。


友人が射殺され、息絶えるとこを007は抱きしめながら最後を看取るのだが、その後、その友人を道端の「ゴミ収集所」に投げ捨てるのだ。


ボンドガールのオルガ・キュリレンコが、「友人にそんなとこをするの?」と質問する。


007は、「彼もそれを望むさ」と答える。


007の悲しい定めと無情さを現している重要なシーンである。


ダニエル・クレイグが素晴らしい役者なのは、捨てる、演技が凄いからだと僕は思っている。


007とは、「捨てる」人なのである。