ほぼ100年ぶりに、太陽の黒点がなくなる現象が続いている。

天文ファンの間ではこの「無黒点」状態が、ちょっとした騒ぎになっている。

というのも、太陽から黒点が消える時期が長くなればなるほど、地球が寒冷化することが知られていて、寒冷化は温暖化よりも遙かに人類へダメージを与えるから。

最近の温暖化も太陽活動の活発化が原因といわれており、先日もご紹介した「CO2犯人説」は科学的な根拠に問題があることが論議されている。

つまり、来年あたりから地球寒冷化の方が問題になる可能性があり、どうすれば地球を温暖化できるのか、というアベコベな議論が出てくるかもしれない。。



以下、日経のサイトを参照いただきたい。
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080908/1007780/?P=1

以下、サイトからの抜粋。

黒点の継続的観測は19世紀半ばから始まった。つまり人類は黒点観測のデータを150年分ほどしか持っていない。しかし、太陽活動が活発になると、太陽からの荷電粒子が地球の上層大気に当たり、大気中の炭素が放射性同位体(C14というもの)に変化する。太陽活動が活発になると大気中のC14が増えるわけだ。


 C14は回り回って植物の中に蓄積される。というわけで、樹木の年輪と中に含まれるC14の量を調べてあれこれ計算すると、過去何千年にも渡る太陽活動の推移を知ることができる。


 それで分かったのは、「太陽活動が不活発になると、地球は寒冷化する」ということだった。

 過去、何回も太陽活動の極小期が存在していることが知られている。もっとも有名な例は、マウンダー極小期というものだ。


 西暦1300年から1850年年頃までの約550年間は、太陽活動が弱まり、地球全体が寒くなった小氷河期だった。その中でも、1645年~1715年の70年間は特に太陽活動が不活発で、厳しい寒さが地球を襲ったということが判明している。これがマウンダー極小期だ。過去の気象の推定はなかなか難しくて、決定的なことが言いにくいのだけれど、マウンダー極小期の期間中、地球の平均気温は0.2℃ほど下がったとされている。


 たった0.2℃だが、これは地球全体の平均気温であり、場所によってはこれどころではない温度変化に見舞われることとなった。17世紀から18世紀にかけてだから、様々な歴史資料が残っている。それらからも、マウンダー極小期に気候が寒冷化したことが分かる。


 ヨーロッパ・アルプスでは氷河が前進して村が飲み込まれている。ロンドンでは冬季にテムズ川が凍結し、人が歩けるほどの厚みに氷が張った。オランダの画家ピーター・ブリューゲルは、農村の冬景色の絵を残しているが、それはまさにマウンダー極小期の真っ最中のことであった。


 寒冷化は食料生産に大打撃を与え、伝染病の流行をも引き起こす。この時期、世界各地で飢饉が起き、ヨーロッパではペストが大流行し、多数の死者が出た。


 さて、問題は今年8月の太陽黒点の消失は、今後どうなるのかということだ。もしも、このまま太陽活動が回復せずに、マウンダー極小期のような状態に入るとしたら、今後地球の気候は温暖かではなく寒冷化することになるかも知れない。


 昨今、地球温暖化についてマスメディアでも色々な報道がなされている。が、実際問題として地球温暖化と地球寒冷化を比べると、寒冷化のほうがはるかに深刻で恐ろしい。なぜなら、前にも述べたように、地球寒冷化は世界の食料生産に直接的な打撃を与えるからだ。


 植物全般は、人工的に二酸化炭素を多く含んだより高温の空気の中で育てると、通常よりもずっと早く大きく生育する。つまり、今私達が、適温だと思っている地球環境は植物からすると「寒くて二酸化炭素が薄い」イヤな環境というわけである。だから寒冷化すると、植物の生育状況は一気に悪化する。家畜だって飼料、つまりは植物を食べさせて飼育しているわけだから、植物の生育不順は即食糧不足に直結する。


 今回の黒点消失は、多くの人々が飢える寒冷化の時代の予兆かも知れない。