2011年7月24日にアナログ放送が終了し、地デジに完全移行する。


しかし、この地デジには、ある構造的欠陥があるにも関わらず、まだほとんど議論もされていない。


それが遅延問題だ。


地デジは画像を放送・受信時に圧縮・解凍する行程があり、最大で2秒の遅れが出る。


NHKの時報が廃止されたのもその理由からだ。


地震大国日本では、緊急地震速報をTVに流すことで被害を未然に防ぐ取り組みが行われている。

現在でも十分に効果があるとはいえないが、あるとないとでは心構えの点で大きな差がある。


場合によっては生き死にに関わることもあるだろう。


しかし、地デジに完全移行してしまうと、緊急地震速報が2秒も遅れる事態が起こり、万が一大震災が起こった場合、この2秒の遅れで命を落とす人が出てもおかしくない。


この点について、どのマスコミも議論しないのは、国策に対抗することができないからだろうか。


国民が最も使用している家電を全て新しいものに入れ替えるという国策自体、そもそも無理があるように思える。


2011年7月24日までに地デジに対応していない世帯が数百万単位で残る可能性がある。

さらに、地デジ電波が届かない地域も残されるという話もある。


この問題はTV局にも打撃を与えかねない。

なぜなら視聴者がそれだけ減る可能性があり、ただでさえ減っている広告収入が更に減る可能性があるからだ。


また、2020年ほどの未来を考えてみると、さらにおかしな事に気づく。


2020年になれば、大半の家庭に光ファイバーが届き、電波を受信しなくても高画質のTVを観ることができるようになるかもしれない。


そうなると、現在建設予定の「新東京タワー」の存在理由がなくなっていくかもしれないのだ。


家電メーカーにとっては地デジ特需を期待できるかもしれないが、2011年7月24日が近づけば近づくほど過当競争となり価格が下落し、どのメーカーも儲からなくなるだろう。


地デジで最も得をするのは、どこの誰なのだろうか。


そして、この国策は、本当のところ何を目的としたものなのだろうか。


TVや新聞というマスコミが絶対に議論できないことだけに、怪なのである。