METライブビューイング2022-23 第6作「ファルスタッフ」を観てきました音譜

 

数々の名作オペラを作曲したヴェルディが、79歳の時に作曲した最後の作品で、シェイクスピアの作品を原作としたヴェルディ唯一の喜劇(もう1作ある初期作品「一日だけの王様」は今日ではめったに上演されないそうです)となっています。

 

ヴェルディといえば悲劇というように、好きなオペラ作品で思い浮かぶものは、「リゴレット」「イル・トロヴァトーレ」「椿姫」などのドラマチックな悲劇ばかりで、ヴェルディ作の喜劇というだけで何となくピンときませんでした。

ですが、今回METの予告映像を見て、何だかすごく楽しそうで、改めて観てみようかなと映画館へ足を運ぶことにしましたニコ

 

 

観た感想は、とにかく楽しくて、カラフルな世界の中で展開するドタバタ劇に引き込まれながら、さすがシェイクスピア原作というだけあって、その中に潜むちょっぴり辛口の人間愛や人生賛歌が感じられて、時折笑いながらも、いろいろ考えさせられる魅力的な作品でした。

 

 

 

まずは、何といっても主役ファルスタッフを演じたミヒャエル・フォレの美しく響く豊かな声と正確な歌唱、演技、存在感が素晴らしかったです。ブヨブヨに太った巨漢で、好色で大酒飲みで、皆に疎まれ懲らしめられてもくじけない、楽天的でどこか憎めない主人公を生き生きと演じていました。

 

 

 

今回の演出では、舞台を原作の14世紀初頭から1950年代に移しており、衣装もセットもとてもカラフルでポップで洗練されており、一人一人のキャストのビジュアルが役にピッタリとはまっており、観ていて本当に楽しかったです。特に女性4人がそれぞれ魅力的で、表情豊かに演じているのが素晴らしかったです。

 

また、このオペラではアンサンブルが非常に重要な役割を果たしており、特に第1幕では、4人の女声、5人の男声、男女の若いカップルが、それぞれ舞台で中心になったり、入れ替わったり重なったりしながら、軽快に音楽を奏でて物語を進めていく様は見事でした。

 

 

 

このオペラのテーマは、最後にファルスタッフが皆と共に歌う「この世はすべて冗談、最後に笑った者こそが本当に笑うのだ」という歌詞の中に込められていると思います。

観た後に、何となくほろ苦さを感じながらも、ほっこりと幸せな気分になる作品だと感じました。

 

ぜひお時間がありましたら、映画館で鑑賞されてはいかがでしょうかウインク

 

 

 

(写真は全てMETライブビューイングのHPより拝借いたしました)