ローズウッドです
今年で4回目の参加となりました。
私が初めて参加したセミナー。
参加するたびに術後経過年数を実感します。
今年はプログラムが盛りだくさんだった為、ちょっと時間不足で駆け足的な感じでした。
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◆乳がんぶっちゃけトーク◆
Q予防切除について
乳がん学会では「強く推奨する」との見解。
・アメリカでは2000年くらいから予防切除が行われ、遺伝性乳がん発症リスクを低下させることができるというデータが出ている。
・乳がん発症の予防を目的とする乳房切除と乳房再建は保険適用外。
・実際、受けている人はいない。
⇒アジアの現場では受け入れるメンタルの問題もあって難しい。
・但し生存率の差は明らかな為、やるかやらないかではなく、提供できるシステムを作っておくことが大事。
Q最初の診断は非浸潤癌。術後病理検査結果では一部浸潤癌。なぜ異なるのか?
・針生検の結果はあくまで刺した部分での検査結果であり、実際、手術をして細かく見なければわからない。
Qホルモン薬服用、5年か10年か?
・リスクの高い人は10年服用した方が良い。
(化学療法を受けた人・リンパ節に転移が見られ切除した人)
☆疫学的見地からの再発リスクについて☆
・肥満、糖尿病、高血圧の人はリスク高い。
・有酸素運動している人はリスク低い。
・再発を下げる為に食事と運動指導が必要。
(大豆・乳製品も適度であれば問題なし)
Q脂肪注入による再建保険適用の可能性は?
・2年後の保険適用を目指す。
(技術を広めていく必要あり)
・脂肪注入の定着は患者側の個人差(脂質差など)がある。
また術者側の技術差もある。
⇒上手くいかなかった時の補償はどうなるのか?事前に聞いておくべき。
Q全摘後の再建方法の決め手は?
・若い人は自家組織が良いかも知れない。
(理由)人工物は年齢的に入替が必要となるだろう。被膜拘縮の問題もある。
・二次再建の人はセカオピも有効。あちこち聞きに行っても構わない。
☆再建データ☆
自家組織3割:インプラント7割
※インプラントをファーストチョイス。
諸条件を考慮して×な時には自家組織と考えてみるのもひとつ。
Q将来、乳がん手術はなくなる?
・放射線治療のみ、ラジオ波、凍結療法、レーザー(マイクロウェーブ)など。
・早期発見は切らない治療に繋がる。
Q若年性(35才)とそうじゃない乳がんの種類は異なる?
・若年性の場合は妊孕性の問題が発生する。
⇒卵子の保存も考えなければならない。
・年齢の定義より遺伝子の違いでは?
⇒遺伝性の場合は薬が違ってくる。
◆医療チーム対決!~それぞれの連携~◆
【昭和大学病院】
・昭和大学病院の中で再建を根づかせる。
・チーム医療。
・キーはIT。
・整容性と根治性。
仕方がなくギリギリ切除する場合もある⇒術前カンファレンスに形成外科医も参加。
・びばぼの会(勉強会)を作る。
【亀田総合病院】
・できるだけ多くの選択肢を提示。
・年間600件の手術実績。
・常に最新医療を安全に提供している。
・電子カルテを京橋・幕張と共有化することで遠方で不便な点を逆手に取っている。
⇒電子カルテは患者も見ることが可能。
・左右の乳房バランスが大事⇒術前術後に3Dカメラ撮影。(ベクトラ)
・リンパ浮腫治療にも力を入れている。
【埼玉医科大学】
・形成、美容外科医8名:再建外来担当3名:ブレストケア科3名で構成されている。
・質の高い知識、経験技術が豊富。
・温かい気持ちを忘れず、優しく笑顔で接することを心掛けている。
・外科医が綺麗に取って綺麗に再建する⇒乳腺チームと形成チームのコミュニケーションを密にしている。
【共通点】
・チーム医療に重点を置いている。
・乳腺外科医と形成外科医の関係が密。
・セカオピを受けるのも紹介状を書くのも問題ない。
◆検診・診断最新情報◆
(エコー検査)
・短時間、安価、被ばくしない。
・造影剤不要、場所も取らない。
・但し検査技師の技術差が大きいのが問題。
(デンスブレスト=高濃度乳腺について)
・どんな検査にも限界がある。
・マンモでも見えないものがあるのは当然。
・問題なのは特にデンスブレストにおいて見えない乳がんが多すぎるということ。
(乳がん検診エコーの有効性を検証する為の比較試験J-STARTについて)
・最終結果は未だ出ていない。
・中間報告ではマンモ+エコーとマンモのみで10%の差が出ている。
(MRI)
・一般的に手術前の精密検査として利用。
・MRIガイド下生検が平成30年4月~保険適用となった。
※マンモ又はエコーでは検出できずMRIによってのみ検出できる病変が認められる患者に対して、病変が含まれる乳腺組織を摘出する目的で実施する場合に限る。
・MRIガイド下生検のうち約38%が悪性。
・MRIガイド下生検ができる施設は登録上数多くあるが、実際に行なっている施設は非常に少ない。
⇒関東に集中していて地域格差が大きい。
連携していけたらと思う。
(病理)
・非浸潤がんか?浸潤がんか?の重要な区別をする仕事。
・乳がん増殖を抑えるプロゲステロン受容体(PR)が注目されている。
⇒プロゲステロン受容体(PR)とKi67を合わせて考える。
・HERT2陽性乳がんのTILs(腫瘍浸潤リンパ球)をきちんと判定しなければならない。
ー以下、正確に聞き取れていない為、省略ー
◆乳がん治療「放射線・手術・再建」◆
(放射線治療)
・放射線治療はがんの種類によっては手術と並ぶ根治治療である。
⇒放射線でがん細胞が死ぬ為。
・分割照射すれば正常な部分に影響はない。
・温存+乳房照射は標準治療である。
⇒放射線後の再建は自家組織はできる。
・インプラント再建後の照射は可能である。
・粒子線治療は乳がんはまだ保険適用外だが、日本は世界一進んでいる。
⇒世界にある11ケ所施設のうち、日本に5ケ所ある。
(オンコプラスティックサージャリー)
・根治と整容性の両立を目指すもの。
⇒がんを治しつつ、左右バランスの取れた胸を作ることがゴール。
・①サイズ②形③柔らかさ④対称性。
(それプラス)傷を小さく目立たなくする。
⇒「手術の後でも心に手術の事を残さない」
「心おきなく温泉に入れる」
・患者の思いを考えて切開の場所も選ぶ時代になった。
・乳房を感じる保険適応の乳房再建。
・整容性は形成前の乳がん手術で決まると言っても良い!
(きちんと切除した上、どこまで残して切るか?)
⇒乳腺外科医と形成外科医は対等であり、連携が重要。
◆心のケア サイコオンコロジーの現場から◆
(抑うつの症状)
1.抑うつ気分
憂鬱・気分が沈む。
2.精神運動性抑制
物覚えが悪い・集中力がない・持続力が続かない。
ホルモン療法中でもうつ病・ 認知障害が起こり得る!
3.運動性抑制
何もしたくない・億劫・面倒。
(がん患者のうつが見逃され易い理由)
・主治医の思い。
患っていて欲しくない。
・落ち込んでいても泣いていてもそれは仕方がないこと。
⇒正常反応の拡大解釈。
(ソーシャルサポート)
1.情緒的ソーシャルサポート
その人といるとホッとできる・癒される。
2.手段的ソーシャルサポート
車の運転など実際的な助けをしてくれる。
3.情報的ソーシャルサポート
正しい情報を集めてくれる。
ソーシャルサポートしてくれる人を2~3人見つけると良い。
(レジリエンス)
・人間には3ケ月くらい経つと跳ね返す力・精神的回復力がある。
・乳がんになった「原因」を考えるのではなく「意味」を探した方が良い。
⇒「立ち止まって考えてみる意義」「家族の結束」を感じる人が多い。
・脳はマイナス思考でネクラである。
「目標」「理由」を考えることにより、堂々巡りから脱却できる。
・何か夢中になっているとその時間だけでも忘れられる⇒脳をだます⇒脳のネガティブチェーンが外れる。
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【所感】
10時~17時の長丁場。
絶賛夏バテ中&集中力も限界MAX〜苦笑
ごく一部の簡単レポです。
目新しい情報は限られてましたね。
というか、それはどのセミナーに行っても同じで以前にもどこかで聞いた様な…。
なので今後は私的に「そうなんだ」と感じた時だけ書こうかな、と思います。
(あくまでも私目線だけど…)
でも毎年このKSHS全国大会に参加しているのは、日本トップクラスの乳腺外科医・形成外科医・放射線専門医・病理医等が一堂に揃って登壇されるセミナーだから
そして私が知っている限り、お1人の講演を聴講するのではなく、全てのプログラムがテーマに沿って先生同士が意見をぶつけるディスカッションスタイルというのが他には無いんですよね。
とにかくその「ライブ感」が半端ないです
場の雰囲気から先生方もリラックスしてざっくばらんな意見をおっしゃるので、ホンネの面白いお話が聞けますしね。
今回は敢えて発言者のお名前を伏せました。
また「ぶっちゃけトーク」というだけあって書けないこともあります~笑
私が書いたのは数パーセントに過ぎません。
他にも「なるほどねぇ」と頷けるお話を聞きましたよ。
また別フロアでは再建乳房を見て、聞いて、触れる「体感会」も開かれていて、再建を考えている人には参考になるんじゃないかなと思いました。
年に一度なので来年にはなっちゃうけど、イチ押しのお勧めセミナーです
そして最後に…
ステージ4のサバイバーさんの言葉。
「自分の死のビジョンを見つめながら、どう生きたいかを考える。何を優先して行きていくか?やり切ったと思える人生を送りたい。人生は長さより中身だと思うから…」
その境地に辿り着くまでの心の変遷も率直に語られただけに、現在のハツラツとした笑顔と凛とした姿は眩しく輝いていました
たくさんの勇気と希望をありがとう
という気持ちでいっぱい
そしてスタッフのみなさま
事前準備&当日の運営、今年もありがとうございました。
「感謝」