ローズウッドです音譜

 
数ヶ月ぶりにマンマチアに行って来ました。
 
テーマは
 
がんと就労
働く女性が、がんになったとき
 
スピーカーは
 
荒木葉子先生(産業医・荒木労働衛生コンサルタント事務所)
 
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産業医・荒木先生はNPO法人キャンサーリボンズなどでがん患者のサポート活動にも尽力されています。
 
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キャンサーリボンズ調査では
患者
職場に関する不安 66.6%
・体力面
・治療との両立
<求める支援>
・主治医との今後の見通しの相談
・チェックシートや復職へのガイドブック
・職場復帰への社内制度、上司・同僚や人事とのコミュニケーション
 
相談支援者
職場に関する相談 50%
・生活費・治療費・保険
・治療との両立
<困難に感じている事>
・法制度や社会保障について知らない
・職場の状態が判らない
・がん治療と就労について認知度が低い
 
という結果が出た。
 
医療現場では仕事が語られず、職場では病気が語られない。
 
仕事に対する思いやがんのステージも違う。
 
当事者が主人公意識を持ち、心をまとめる力が必要となる。
 
『「がんと働く」リワークノート』を開発。
 
 
 
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このノートは仕事復帰を目指すがん患者のツールで、自分自身の病気や仕事の情報を集め、心身の状態を整え、職場や医療機関に主体的に働きかけていく為のもの。
 
※それがなかなか私には高レベルに思えた。
 
<復職→復職後にあたって>
自分のキャリアやライフプランの整理
治療について
・現在の病状、副作用や後遺症、体調管理
・これからの治療や検査
職場について
・職場の病気休暇制度、復職プログラム
・仕事の計画、職場への伝え方、希望の配慮
セルフケアのポイント
・食事・運動・痛み・スキンケアなど
 
特に本人が主体的になって治療計画をよく伝える事が大切だが、予後について100%伝えるかは微妙である。
 
企業によっては言った途端、「それなら要らない」と言われてしまう場合もある。
 
本人が得た情報をどう出していくか?そこが難しく、それは自分自身で決めるしかない。
 
<本人が主体になることの重要性>
・病気や仕事は個人によって異なる
・病気と治療バランスは個人によって異なる
・病気を伝えることの利益・不利益は個人によって異なる
 
<がん(病気)の意識啓発ヘルスリテラシー>
人生には3つの坂がある。
上り坂、下り坂、まさか(ま坂)
 
この3つ目の道に準備できているかどうかが大事である。
 
がんは個人と組織のBCP対応疾患である。
※BCPとはマネジメント用語で日頃からリスクが発生しても最低限に抑え、事業継続していける様に準備しておく事。
 
自分が部下ががんと診断されたら…防災訓練の様にそうなった場合を想定して、前もって定期的に考えてできる準備をしておく。
 
ヘルスリテラシーとは健康や医療に関する情報を獲得して、理解・活用する能力の事。
 
<リワーク編(職場復帰)>
あなたにとって大切な事を整理しよう。
 
がんになった「社員の思い」が大切。
 
「戻りたい!」「働きたい!」思いが今までの制度を変えていく事に繋がる。
 
会社では「患者」ではない。
 
自分の準備→体調・気分のチェックリストが必要。
 
主治医に確認したい治療と仕事の年間スケジュール。
 
日本人は遠慮がちだが、復帰後に出来る仕事と配慮して欲しい事のリストアップ。
 
職場の制度などリワークポイントの確認。
 
復帰後に頑張り過ぎてしまう人が多い→復帰後の体調チェックシート。
 
職場への伝え方を悩む人が多い。
 
受け入れる側もドキドキの面がある。
例)今までと違っている外見にどう声をかけようか?と困ってしまう。
 
いつ伝えるか・どこで伝えるか・誰に伝えるか・何を伝えるか・なぜ自分は伝えたいのか・なぜ判って欲しいのか・どの様に伝えるか→気持ちの整理と共によく考え、伝え方を事前に練習してみる必要がある。
 
<最近の動き>
今、行政はどう動いているか?
 
がん対策基本法 2007年施行
 
がん対策基本推進基本計画 2012~2016年→働く世代のがん対策の充実
 
改正がん対策基本法 2016年12月→がん患者の雇用継続に配慮する努力義務を明記
 
次期「がん対策基本推進基本計画」でがん患者の就労支援の強化
 
働き方改革実現会議→病気治療と仕事の両立
・会社の意識改革と受け入れ体制の整備
トライアングル型支援の推進
※主治医、会社・産業医、労働者健康安全機構両立コーディネーター
<コーディネーターは応募すると直ぐにいっぱいになる状況である>
※但しトライアングル型支援が本当に現実的かは疑問に感じる部分もある。
 
<治療と職業生活の両立の状況>
事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(H28.2.23)
 
・疾病を理由に1ケ月以上休業している従業員がいる企業割合
 メンタルヘルス:38% がん:21% 脳血管疾患:12%
・仕事を持ちながらがんで通院している者
 32.5万人
 
疾病を抱える労働者の就業可能性の向上
 復職日から5年勤務継続率 51.5%
 復職後5年間の再休職率  38.8%
 
疾病を抱える労働者の就業に関する課題
・仕事上の都合で適切な治療を受ける事ができない。
・疾病に対する本人の理解不足と職場の理解・支援不足。
 
■事業所の課題
・病気になった従業員の適正配置や雇用管理等の対応に苦慮 89.5%
<苦慮した内容>
・治療に関する見通しが判らない 60.2%
・復職可否の判断が難しい    59.1%
 
<女性としての問題>
・役職が低い。
・非正規雇用が多い。
・今は入院期間が短い為、がんと向き合う時間が少ない。
・戻れる、戻れないは個人差が大きい。
がんと就労は女性雇用の問題と直結する。
 
<留意事項>
・安全レベルを高く掲げている企業には戻りづらいのが現状。
<悪くなれば休んでいいよ、くらいのレベルが理想的>
 
<職場づくりの好事例>
・松下産業
 35歳以上社員の人間ドック全額会社負担。
・ティーベック
 診断受診日は特別有給休暇扱い。
・東京トラック運送
 がん検診受診日を出勤扱い、受診費用を全額会社負担。
 
<有益なポータルサイト>
・国立がんセンター
・がん診療ガイドライン
・がんと就労
・がん制度ドッグ
・科学的根拠に基づくがん検診
 
<東京都の調査>
■事業所が仕事と療養の両立で困難と考えること
・休業中の賃金支給等の金銭的補償が困難。
・長期間働けない従業員の社会保険料の事業主負担が大きい。
・代替要員の確保が困難。
・柔軟な勤務制度の整備が困難。
・病気そのものや治療の内容、仕事への影響が判らない。
 
■退職の頻度
・進行度が高い。
・企業規模が小さい。
・非正規雇用。
・役職が低い。
・罹患年齢が低い。
・女性。
 
■多様な働き方の導入は困難
・半日単位の休暇制度 62.0%
・退職者の再雇用制度 56.6%
・治療目的の休暇休業制度 35.8%
・労働時間の短縮 35.1%
50人未満の事業所や非正規労働者対応率は低い。
 
■東京都ではがん患者の採用、継続雇用に助成金!
 
採用奨励金
 週所定労働20時間以上勤務:60万円/人
 週所定労働10時間以上20時間未満勤務:40万円/人
雇用継続助成金 
 雇用継続助成金(復職支援):30万円/人
 雇用継続助成金(制度導入加算):1制度導入で10万円 最大30万円
※復職時に治療と仕事の両立に配慮した勤務・休暇制度等を新たに導入する場合。
 
<治療と職業生活両立…企業のリアリティ>
・不安定な状況での適正配置の困難。
・賃金の負担。
・社会保障費の負担。
・柔軟な勤務制度が困難。
・安全配慮義務。
・社員間の不公平感。
 
<治療と職業生活両立…労働者のリアリティ>
・経済の確保。
・雇用の確保。
・生きがい。
・自尊心。
・社会との接点。
・家族の安心感。
 
その反面
・療養に専念したい。
・副作用の辛さ。
・仕事のせいで病気になった。
・病気を知られたくない。
・体力気力の衰え。
・皆に迷惑をかける。
・配置転換、降格などに耐えられない。
・残りの人生を仕事以外に使いたい。
 
という気持ちがある。
病気開示による利益不利益がある。
 
<まとめ>
がんと就労については
自助(自分で自分を助ける事)
共助(家族・企業等で助け合う事)
公助(行政による救助・支援)
 
の相互連携が必要である。
 
きらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきらきら
 
【所感】
・東京都の調査結果に企業の実態がよく表れている→現実は厳しいという感じ。
・企業も積極的に動き始めたがまだまだ。
・東京都の助成金制度は素晴らしいと思う。
・国の打ち出している制度が絵に描いた餅に過ぎない気もする。
・自ら動き、会社の制度を替えるというのはなかなか難しい。
<キャリアアップを諦めてないパワーある人には可能かも?>
 
私は非正規雇用でないけど、一番下の社員区分でキャリアアップや報酬面を捨て身体に負担が掛からず、家庭と両立して働き続けられる緩い雇用条件を選択してます。
一段上の社員区分変更も断わりました。
<一段あがるだけで結構キツくなる会社の為>
 
がんに罹患していてもしてなくても今は多種多様な働き方があり、「何を優先するか?」個人の考え方次第だと思うんです。
 
ただそんな私でも手術・放射線治療・定期検査での休みや早退について快く受け入れて貰う為に、できるかぎり万全の仕事の引き継ぎと上司に病気の治療計画を説明しました。
上司から職場仲間にもある程度の事は伝えられ、それを私は了承しました。
 
会社が医療コンサル系という事もあって職場の理解は比較的ある方だと思うけど、自分がそこを乗り切る為の自己努力の必要性は実感しています。
 
頑張り過ぎない事は大切な事です。
 
無理のない範囲内で今できる自分の仕事に対する「誠意」の様なものを示していければ、職場の理解も得られるのではないかな…そうあって欲しいと思います。
 
「2人に1人ががんになる」と言われる時代。
 
仕事仲間が上司ががんに罹患する可能性だってある。
 
そして治療には膨大なお金がかかる…。
 
企業だって有能な人材を失うのは大きな損失である。
 
互いが歩み寄っていけたら良いですよね。
 
ごく普通に治療ひと段落した人が職場復帰できる様な社会になって貰いたいものですクローバー