日曜日。まだお盆前なのだけど、朝から早めのお墓参り。
そしてお昼から映画「デンデラ」を観てきました。


姥捨山には続きがあった…というキャッチコピーの映画です。
70歳になって雪山に捨てられたおばあさんたちが
山奥で共同体を作って生きながらえていたという設定です。
平均年齢65歳以上の大女優たちが、過酷な雪山ロケで撮った映画。


以下、ストーリーバレありです。


斎藤カユ:浅丘ルリ子
椎名マサリ:倍賞美津子
三ツ屋メイ:草笛美津子
浅見ヒカリ:山本陽子


山口果林/角替和枝/赤座美代子/山口美也子 他















もういい?













70歳でお山に入った(捨てられた)カユは、雪山で行き倒れた。
しかしそこには30年前にお山に入った、当年100歳のメイがいた。
メイは「デンデラ」という共同体をつくり、山で生き延びていたのだ。
カユでデンデラは50人になり、メイはついに復讐計画を実行に移そうとする。
自分たちを捨てた村を襲い、男たちを皆殺しにしようと言うのである。
デンデラには、計画に反対するマサリたち少数派もいた。
しかしデンデラは熊に襲われ、雪崩によってメイをも失ってしまう。


映画館の大画面に映るのはおばあちゃんばかり。
前宣伝で、大女優たちがスッピンで熱演!とか言われてましたが、
特殊メイクやら汚しやら、多少の手は入っていましたね。


しかしやはりルリ子さまは美しかった。マスカラなしでも目力は健在。
カユは、いやおうなしにデンデラに巻き込まれるが、
ただ周りに流されるのではなく、自分の気持ちと向き合っていく。
マサリは、村の掟によって男たちの慰み者として過ごしてきた。
だがマサリは村への復讐には反対する、
「貧しいことが全ての元凶。デンデラが豊かになることこそ復讐」と。
デンデラはマサリたちを「意気地なし」と見下して呼ぶものの、
共同体の仲間として扱っている。そこはデンデラの懐の広さ。
そして100歳設定のメイ。復讐の鬼です。まさに鬼女。
けれどメイは独裁者ではなく、祭では皆と共に笑って過ごしていた。
途中に挿入される、メイの回想シーンが秀逸でした。
お山に入って1人で生き延びて、川魚を取って食い、
川面に写る自分の顔を見て、魚の骨で髪を梳き、涙を流す。


ちょっと笑ってしまったのが、着ぐるみの熊。
着ぐるみだとわかってしまうのがちょっと悲しい…。
戦闘員のおばあちゃんたちの動きは、あくまでおばあちゃんだった。


デンデラの30年の歴史で、熊に襲われたことは一度もなかった。
しかし、村への復讐をしようとしたとたん、
デンデラは幾つもの試練に見舞われてしまう。
熊の襲撃シーンは、スプラッタ。血がバシャバシャ飛び、
おばあちゃんたちは首をもがれ、足をもがれる惨劇が凄まじい。
筋だけ考えると寓話ですね。


自分たちを捨てた村への復讐心が、熊との死闘にスライドし、
最後は生き延びることへと話が移り変わっちゃいます。
そこがちょっとあれあれあれ?な感じでした。
重厚な物悲しい映画なのかと思ったら、
ちょっとB級っぽさが漂っていたのが拍子抜けでした。


この映画を見ようと思ったのは、監督が天願大介さんだったから。
そう、「楢山節考」の故・今村昌平監督の息子さんです。
カユはまさに、緒形拳さん演じる辰平の母おりん。
倍賞美津子さんの役柄も、楢山節考のオマージュ?


おとぎ話の姥捨山では、母を捨てたフリして隠してた男が、
殿様が抱えていた難題を母の知恵で解決し、
殿様から姥捨の免除を勝ち取るというものですよね。


なんというか…おばあちゃんたちが可哀想…
と、小学生のような感想で逃げたくなっちゃう映画でした。